010302号ゴミゼロ通信「四日市の運動にご支援を」

☆ゴミゼロ通信2001年３月２日号（今号２８８通発信）
情報満載！ゴミゼロネットのホームページ　
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読んでほしい三重県四日市で何が起こっているか？
「公共関与は錦の御旗か」津川敬さんレポート
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/youyuro/koukyoukanyo.htm
┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●津川敬さんからのレポート「生転載」

　　たった今、「検証ガス化溶融炉」の津川さんから以下のメールが届きました。四日市で起きていることは三重県の特殊な出来事かもしれない。（そうあって欲しい）しかし、こういう強行なやり方をせざるをえない、全国のごみ事情もある。とにかく四日市から眼を離さないように！！

　北川知事が「全国の模範になるような施設にする」と言うのであれば、県や市の関係者は胸を張って出席してもよいはずです。（反対運動側の）参加者は約１５０名で、ほとんどが女性でした。参加した女性たちの「着工反対」「子どもたちによい環境を残そう」などの、慣れないけれども元気な「おたけび」がくりかえされ女性パワーが爆発しました。　　　　　　　　　　　　

「みどりと環境を守る四日市市民の会ニュース」（第３号、'０１・２・２５）

　市民の会は現在６万名を目標に精力的な「建設中止を求める署名」活動に入っていますが、同時に三重県津地裁に「建設差止仮処分」申請を近々行ないます。
　小生が現地の依頼で送った仮処分に関連する意見書をご参照頂けると幸甚です。

＜意　　　　　　　見　　　　　　　書＞　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　千葉県鎌ヶ谷市西道野辺１０－２６－４０２
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　環境問題フリーライター　　津川　敬

　私はいま全国的に進行しつつある廃棄物の広域処理とそのために用いられる大型溶融技術の問題点を調査研究している立場から、今回三重県環境保全事業団（以下、事業団という）が建設に着手している大型溶融施設（石川島播磨重工業㈱とクボタ㈱による共同事業体による請負契約）の問題点について以下のとおり意見を申し述べる。

●ガス化溶融炉の登場の背景

　ごみを熱分解してガスを発生させる、あるいはごみを１３００度以上の高温で溶融し、減容化するーーー。ともに１９８０年代に開発された技術だが、コスト面、安全面に難があり、実用化には至らなかった。
　しかし、１９９６年に厚生省（現・環境省）がダイオキシン規制を打ち出し、「高温で連続焼却できる大型炉の建設」をその中核に据えたため、それらの技術は装いを新たに再登場した。それがガス化溶融炉である。
　その原理は前段の熱分解装置（熱分解ガス化炉）に投入したごみから熱分解ガスを発生させ、炭化したごみの残渣をそのガスで溶融するというもので、すでに２０を越えるメーカーがこの分野に参入して熾烈な市場獲得競争を展開中である。
　溶融技術の中にはコークスという副資材を使ってごみを溶融する新日鉄㈱などのメーカーがあり、すでに２０ヵ所以上のプラントが全国で動いているが、前記のようなガス化溶融炉はようやく５ヵ所程度で稼働したにすぎず、技術についての安全性・信頼性についてはまったく見極めがつかぬまま、「ダイオキシン対策に有効」の掛け声の中で〝見切り発車〟したというのが実情である。ではこの技術がもつ問題点は何か。

●ガス化溶融炉の技術的問題

①　まず前段のガス化炉において熱分解ガスの漏洩が懸念されることである。特に熱分解　に空気を遮断したキルン（回転炉）を用いるメーカーの場合、回転するキルンを締め付　けるシール部分にトラブルがあれば、そこからガス漏れが起きることもある。すでに１　９９８年８月１２日、日本でも同系の炉が動いているドイツ・シーメンス社のガス化溶　融炉の熱分解ガス化部分にシール部の損傷があり、大量の毒性をもつガスが噴出した事　故は日本にも大きく伝えられた。このためシーメンス社はこの分野からの撤退を余儀な　くされている。今回事業団が導入を決定した石川島播磨重工業㈱のガス化炉も原理はこ　れと同じである。

②　後段の溶融炉部分はこの分野で１０年以上の実績をもつというクボタの溶融炉を用い　る工程である。これは全体が円筒状になった装置（表面溶融炉）の中に被対象物（焼却　灰、飛灰、下水汚泥など）を小刻みに投入し、これを回転させながらバーナー燃焼させ　る、というものである。温度は炉内で１３００度以上になるため、ダイオキシンは分解　すると主張しているが、それでダイオキシンが消滅するわけではない。その点はのちに　再度触れることとする。

　ここで特記すべきは事業団側が１９９９年に導入すべき溶融技術を公募したところ、日本の代表的な溶融炉メーカー１０社が応募してきたのだが、後日、その業務内容を詳細に知るや、うち６社が入札参加を辞退した。その中には「鉄でも医療廃棄物でも何でも溶かせる」ことを売り物にする新日鉄㈱や、福岡県八女市で実際のプラントを稼働させ「無事故で問題なく動いている」ことを内外に宣伝している三井造船㈱なども含まれており、今回行なうべき廃棄物処理が如何に困難を伴うものであるかを雄弁に物語るものである。
　結局、自社の技術に絶大な自信をもつ㈱荏原製作所、㈱神戸製鋼所、日本鋼管㈱（いずれも実際のプラントを建設中で、神戸製鋼所は稼働を開始）などの３社は選考過程で斥けられ、石川島播磨重工業・クボタ連合（正式には「石川島・クボタ建設工事共同事業体」以下、石川島・クボタ共同事業体という）の技術が採用されたという経緯になっている。ちなみに石川島・クボタ方式のガス化溶融炉は今回が第１号の受注である。
　だが同事業体が技術選定で１位になったのは必ずしも技術の安定性・信頼性、さらにはすぐれた環境保全性を買われたわけではない。石川島・クボタ共同事業体が評価されたのは「焼却灰と飛灰の混合溶融」という問題の多い処理技術において他のメーカーより「一日の長」があると認められたにすぎないのである。

　もともと灰溶融技術自体は未成熟の技術であり、特に飛灰は、①塩類が多く、スラグが固まりにくいこと、②全体が粉末状で飛散するため炉内に投入しにくいなど、技術上の隘路が多く、全国ほとんどの清掃工場ではセメントや特殊な薬剤で飛灰を固め、処分場に投棄しているのが実情である。ましてや性状の異なる焼却灰（焼却の際、炉の下に落ちる燃え殻）と混合の上、溶融する技術は十分に確立しているとはいい難い。これは多くの専門家が指摘するところであり、いくつものメーカーが事前に異例の辞退届を出した事実がそれを裏書きしている、といえよう。
　ちなみに飛灰と焼却灰はダイオキシン類対策特別措置法上、特別管理廃棄物となっており、これと一般廃棄物扱いの公共下水汚泥が混合処理されること自体に問題は多い。以上の廃棄物は３４ないし３７の県下各市町村から搬入されるという。

●ダイオキシン対策は万全か

　特に今回の事業は県下の各企業から搬入される産業廃棄物を前段のガス化炉で熱分解させるところに特徴がある。
　高カロリーの発生ガスは加熱用に回し、カーボン分を含んだ残渣類は後段の溶融炉に送る。一方の焼却灰等はガス化炉を経由せず、いきなり溶融炉へ投入して重油バーナーで溶融するというもの。こうした工程の各局面でダイオキシン発生のメカニズムはどのようなものか。

　まず第一にガス化炉内での発生である。ここに受け入れるのは前記、県下各企業から出る産業廃棄物であり、その種類は有機性汚泥、動植物残渣、繊維くず、建設廃材、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くず等となっているが、企業側が処理料金に敏感なこと、搬入産廃のバランスが質、量とも安定的とはいえないこと、また事前点検に完璧を期し難いことなどで、熱分解によりダイオキシンが発生しやすい産廃（有機性汚泥、廃プラスチック類および塩ビ等）が大量に入る可能性も高い。この点は事業団側が事前に設置した溶融処理検討委員会による評価・指摘事項でも「ごみの熱分解過程における排ガス中にはダイオキシン類が多く含まれるとの報告もあるので、有価物（残渣中の鉄、アルミなどの金属類）を取り出す場合は十分留意する必要がある」と記しているほどである。

　第二に溶融炉から二次燃焼炉へ高温の排ガスが入り、それが冷却されて集じん装置へ送られるプロセスでのダイオキシン発生である。もともとダイオキシンは焼却炉内部の温度が高いほど分解の度合いが大きいといわれ、旧厚生省もその理論をダイオキシン規制の中核に据えている。

　しかしダイオキシンは燃焼過程より排ガス処理過程からの発生量がはるかに多いことは国際的にも認識が一致するところである（１９８５年のドイツ・バイロイトにおけるダイオキシン国際会議）。すなわち１３００度以上の高温になった排ガスを次の工程で冷却するには徐々に３００度という温度域を通さねばならない。そのゾーンで排ガス中の塩化水素、酸素、一酸化炭素などが飛灰（ばいじん）中に存在する銅、コバルトなどの重金属類を触媒としてダイオキシンが再合成されるのである。
　事業団側が発行する広報などには「廃熱ボイラーから出たガスを冷却室で１６０度に急冷するから大丈夫」とＰＲしているが、そのためには大量の冷却水が必要となる。その大半は高温により蒸発するとも別の資料で述べているが、その水収支は明らかにされていない。この場合、完全に循環水がゼロになるわけでなく、過剰な分は排水せねばならぬが、その中には相当量の重金属類が含まれているなどの問題が残る。ちなみに排水処理に採用される凝集沈殿法はｐＨコントロールが難しく、これにかかるコストも膨大なものとならざるを得ない。
　さらに排ガス処理過程で発生するダイオキシンを完全除去するためにはバグフィルターという高価で扱いにくい集じん装置の取り付けや、活性炭吹き込み、さらには最終の仕上げとして触媒反応塔など、きわめてコストの高い装置を設ける必要がある。

　だが、ダイオキシンは排ガス濃度だけの問題ではなく、むしろ飛灰に多く含まれるのであり（割合は、飛灰に９１％、焼却灰に５％、排ガスに４％程度）、排ガスの数値が基準を下回っただけでこと足れり、というわけにはいかない。
　２０００年１月から施行されたダイオキシン類対策特別措置法でも集じん装置に捕集されたばいじん等の基準が設定された（１グラム当り３ナノグラム以下）。
　機器のフロー図では焼却灰・飛灰を溶融したあとにダスト（溶融飛灰）が排出されることになっているが、その処理方法は明示されていない。さらに４０近い自治体から特別管理廃棄物としての焼却灰・飛灰が毎日トラックに満載されて運ばれてくることの危険性も問題である。灰を湿らせて飛散を防ぐ措置をとることは当然であるが、台数が多いこともあり、それが完全に行なわれる保証はない。
　そして何よりもダイオキシン連続測定技術が確立していない点も問題であり、年に二、三回の排ガス測定で基準値を下回ったからダイオキシン問題は解決、とは到底いい難いのである。

●ダイオキシン以外の有害物質

　事業団側の広報では溶融スラグ（溶融炉から排出されるガラス状の物質）は路盤材など土木資材に使えると記述しているが、全国的にはスラグが使いものにならず、施設内に山積みになっているのが実情である。理由は二つあって、ひとつは路盤材の材料は廃コンクリートが大半であり、それが過剰ぎみであること、第二にガガラス質のスラグであるためスラグ中に封じ込められた重金属類、とりわけ鉛分が酸性雨などにより溶出する危険性が高いことである。
　ガス化炉・溶融炉に投入されるすべての廃棄物（産廃、焼却灰・飛灰など）には有害物質が含まれており、特に見逃せないのはクロム、ニッケルなどのレアメタル、水銀、鉛、砒素などである。塩ビについては搬入制限をするといわれているが、搬入側企業の注文が厳しければ、搬入産廃の量と質にかなりの変動が予想される点も懸念される。
　しかも最近になって高温になればなるほど、多環芳香族炭化水素という発ガン促進作用のある物質が多量に排出され、それにニトロ基がつくｎｉｔｒｏ－ＰＨＡなる強力な発ガン性をもつ物質が生まれる、という研究も公表されている（第９回環境化学討論会・２０００年６月）。また塩ビを１０００度で燃やした場合、ベンツアントロンとベンツ（Ｃ）シノリンという物質が同定された、という専門家の報告（西岡一・同志社大学教授「超高温でも安心できないプラスチックごみ」技術と人間・９９年６月号）もある。

　もともとごみの焼却に１０００度以上の高温を出すことは重金属の揮散や窒素酸化物の生成などにより、長い間タブーとされてきた。にもかかわらず、ダイオキシン分解という名目だけで開発されたガス化溶融炉は技術的にも環境保全性からも、到底地域社会には受け入れ難い技術といわねばならない。ましてや半径５００メートルのところに住宅密集地のあるような場所に建てらるべき施設ではないことは明らかである。
　以上の諸点から本件建設計画に反対する。

　なお市民の会は下記のようなＨＰを立ち上げました。ぜひアクセスし、激励のメッセージなどお送り下さい。

　　　　　　　　　　　　　http://www.ne.jp／asahi/yokkaichi/midori/

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