010321号ゴミゼロ通信「スウェーデンに学んだぞ！」

☆ゴミゼロ通信2001年３月２１日号（今号２９７通発信）
情報満載！ゴミゼロネットのホームページ　
http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/
┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●３．１８リサイクルと循環型社会を考える広場１６０名の参加で大成功！●
●本当に地球に優しい国！スウェーデンから学んだこと
・徹底した地方分権と製造者責任で持続可能な社会を目指すスウェーデン
・日本と「循環型社会の定義」がまるで違う
・スウェーデンの「持続可能な社会」はより具体的
・９０年代スウェーデンの廃棄物政策のポイント
・持続可能な社会を目指して経済の安定も達成
・日本が問われている
●ビンとペットボトルどちらが環境に優しいか？●
・あらゆる観点からのＬＣＡ評価がされた
・もし全ての容器がリターナブルになったら？
・ごみは増えなくても、処理費用が倍増？
・容リ法ではメーカー負担は軽く、自治体＝税金負担は重い
・リターナブルビンは環境に優しく、経費も安いのだが…
・抜本的な容リ法改正・課徴金制度導入を！
・「行政がごみ処理をするのが当たり前」という常識を超えて！
●第2回意見情報交換会＝溶融炉問題ネット準備会開催
日時　２００１年４月１日（日）PM1：30よりＮＰＯ活動推進センター（静岡市）
●溶融炉問題ネット結成集会＋記念講演会
日時　２００１年５月２７日午後１時３０分より

静岡市女性総合会館「あざれあ」研修室

●５月１２日（土）午後３時～“いぎりす便り”の栗岡理子さんの帰国報告会●
●静岡市議会議員団との懇談会　５月上旬～中旬（平日の夜）を企画中
●ゴミゼロネット第４２回定例会
日時２００１年４月１４日(土)午前１０時～１２時
　所　アイセル２１　４階４１集会室

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●３．１８リサイクルと循環型社会を考える広場１６０名の参加で大成功！
┏━↓本当に地球に優しい国！スウェーデンから学んだこと↓━━━━━━━┓

　３月１８日「スウェーデンから学ぶ」講演会は１６０名以上の聴衆が集まり大成功に終わった。スウェーデン大使館２２年勤務を経て環境問題スペシャリストとして講演会活動等で活躍中の小沢徳太郎さんと生活クラブ・びん再使用ネットワークでリターナブルビンの普及活動やＬＣＡの環境評価等で活動されている中村秀次さんの講演と討論を以下主観的にまとめてみた。

〈小沢さんのお話の要旨〉
●徹底した地方分権と製造者責任で持続可能な社会を目指すスウェーデン

　「大量生産・大量消費・大量廃棄社会」「これは長続きするはずがない！」と誰もが不安に思いながら、何も前進できない日本。
　ところが、スウェーデンは、９０年代に入り８７年国連報告を受け、９２年地球サミットで確認された「持続可能な開発（Sustainable Development）」という概念を「人にやさしい福祉国家」から「人と環境にやさしい（生態学的に持続可能）持続可能な社会」への転換として具体的にめざした数少ない国だった。

●日本と「循環型社会の定義」がまるで違う

　昨年「循環型社会元年」を宣言し、そのために「循環型社会形成推進法」を成立させた＝日本型「循環型社会」は、廃棄物の処理方法＝廃棄物の循環利用だけに限定し（しかも実効性に乏しい）、「持続可能な経済成長」を前提にしている。「はじめに経済成長ありき」の日本と「生態学的に持続可能な社会」を目指すのスウェーデンとは「循環型社会」と言っても似て非なるものだ。

●スウェーデンの「持続可能な社会」はより具体的
　持続可能な社会には①人にやさしい社会であること（高福祉）だけでなく②生態学的基盤にしっかり根付いた経済成長のみが持続可能であること③環境に真にやさしい具体的な目標（環境の質に関する１５の目標参照）をもつことが求められる。それを国家として追求しているのがスウェーデンであると小沢さんは強調された。その中のひとつとして廃棄物対策が位置付けられている。

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＜環境の質に関する１５の政策目標＞
①清浄な空気②上質な地下水③持続可能な湖沼・水域
④豊かな湿地⑤海⑥富栄養化の防止
⑦環境の酸性化を自然の範囲内に⑧持続可能な森林
⑨豊かな農村風景⑩雄大な山岳風景⑪良好な都市環境
⑫有害物質のない環境⑬安全な放射線環境
⑭オゾン層の保護⑮気候変動の影響の少ない環境
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●９０年代スウェーデンの廃棄物政策のポイント

　その特徴は、①行政特に地方自治体＝市町村が権限をもって廃棄物処理計画を実行していること、②日本のように行政が廃棄物の処理責任負うのではなく、回収・リサイクル・廃棄の責任は生産者＝製造者にあり、その費用は製品価格に上乗せされ、消費者が最終的に負担していることがある。対象製品は、包装、古紙、タイヤ、自動車、電気・電子製品と広範囲にわたり、今後は繊維製品、家具、建設廃棄物を検討中とか。又、使い捨てＰＥＴ容器の使用中止、有害物質の除去等が具体的にすすめられている。最近では消費者に売ったものもリース（貸与）のように修理・引取責任まで生産者が引き受ける実験も実施している。

●持続可能な社会を目指して経済の安定も達成

　日本的に言えば、そこまで規制が進めば経済がダメになると思いがちだが、スウェーデンはそれでもここ１０年間４～５％の経済成長、財政赤字の大幅削減、失業率の低下なしえた。経済優先で「持続可能な社会」を犠牲にするのではなく、明日のためになすべきことをした上で、経済活動をしてきた結果であろう。会場から、「そんな法律が何故作れたのか？産業界等で反対があったのでは？」との質問に、「日本の常識から考えてもわからないかもしれないが、政治家と科学者のリーダーシップが発揮されて、産業界も含め、人間は自然の法則から免れて生存できないこと＝『持続可能な社会』への転換を合意できているからだ。」「しかし、市民は意外と環境に対する詳細な知識が少ない」との説明であった。

●日本が問われている

　大事な事は「持続可能な社会」＝「次世代まで安心して引き継げる社会」の基本だろう。その上にごみ問題で言えば製造者責任＝拡大生産者責任が問われる。ただ、それは単に「企業の責任だ」という消費者との対立概念ではなく、企業・消費者・行政の共同の責任分担ではないかと思う。しかし、スウェーデンでやれたことが日本で全く同じようにやれるとは限らない。政治家や科学者のリーダーシップが期待できないとしたら、気が付いた市民が行動を起こして行くしか、次世代の生存権は守れないのではないだろうか？（Ｔ）
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〈中村さんのお話しの要旨〉
┏━↓●ビンとペットボトルどちらが環境に優しいか？●↓━━━━━━━━┓

●あらゆる観点からのＬＣＡ評価がされた

　
びんとペットボトルどっちが環境に優しいか？びんに決まっているだろうと思いながらも、中村さん自身も密かな疑問だったそうだ。この度、東大安井教授を筆頭とするプロジェクトチームによってそのことが解明された。①製造・輸送等全工程におけるＣＯ2の排出量②ライフサイクルの水質汚濁物質の排出量（洗浄したりすることによる水質汚染）③ライフサイクルの固形廃棄物排出量④SOXの排出量⑤NOXの排出量等々、エネルギー消費、水使用、水質汚濁、地球温暖化のあらゆる観点からＬＣＡ（Life Cycle Assessment　環境評価）が実施され、昨年６月２０日朝日新聞の夕刊にも大きく報道された。中村さんはこのプロジェクトチームのメンバーの一人。
(※注：ゴミゼロ通信２０００年６月２５日号掲載
http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/000625.htm）
　結果をみれば、あきらかにリターナルビンがペットボトルを優っていた。ただ、ワンウェイビンは、指標によってペットボトルより悪いという結果が出ている。

●もし全ての容器がリターナブルになったら？

　日本の飲料容器は１本５００ml換算すれば年間約５００億本使用されているが、残念ながら約１割しか使われていない。
　もし全ての飲料容器がリターナブル容器になると、①現状、飲料容器から１３６万ｔのCO2排出を７８万ｔの削減で５８万ｔにできる②サマータイム（夏に１時間ほど時間を早めて省エネをする）効果より、大きい④国民の３割がアイドリングをストップするのと同じ効果⑤硫黄酸化物 (S0x) の４４%削減効果⑥窒素酸化物 (N0x)の半減効果⑦廃棄物９割削減効果があり１５００億円処理費＝税金の削減⑧最終処分地も１割以上延命できると訴える。
　しかし現実は、ビール容器のびんのシェア８８年７割が９６年４割弱（缶になっている）に炭酸飲料についてもリターナブルボトルの一人負けが現状だ。
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★＜日本の飲料容器の推定生産量＞（全部500mlの容器に換算した数字）
総本数…493億本（400本／本・年　国民一人年間）
ペットボトル…92億本
ワンウェイびん…68億本
リ夕ーナブル5回（炭酸飲料）…1.3億本
リ夕―ナブル20回（ビールと牛乳びん）…55億本
アルミ缶…75億本
スチール缶…92億本
紙容器…108億本

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●ごみは増えなくても、処理費用が倍増？

　全国の８８年～９５年まで家庭ごみ（一般廃棄物）排出量は五千万ｔでほとんど増加していないが、全国三千自治体のごみ処理費用は８８年１兆２千億円から９３年２兆３千億円と大きく増加。ごみの量は増えていないのに処理費用ばかりが上がっている。それは収集方法が変更され、自治体がいわゆる資源ごみの回収を始めたことで急速にごみ処理費用が上がったと考えられる。（ガラスびんでは５割から８割、スチール缶が４割から８割、アルミ缶も４割から８割とリサイクル率が上がっている）だから、処理費用はうなぎ上りに昇った。８８年と９３年比で、年間１人当たり８，９００円の差。月間１人当たり８００円私たちはリサイクルのために毎月負担をしてきたということになる。

●容リ法ではメーカー負担は軽く、自治体＝税金負担は重い

　容器包装リサイクル法での事業者の負担はペットボトルでは中身メーカーが０．５円程度、ガラスびんですと中身メーカーが０．２円程度。ところがある自治体では、１本あたりペットボトルで２０円から５０円、ガラスびんで３０円程度かかる。容リ法施行によって反って使い捨てのペットボトルが急増してしまったこともうなずける。

●リターナブルビンは環境に優しく、経費も安いのだが…

〈生活クラブのリターナブルの費用〉１本選別・洗浄するのに２９円。１本あたり２９円が商品価格に上乗せされる。〈カレットでリサイクルする場合〉資源の日にごみステーションへ、回収して、カレット業者に、そのカレットが原料になってびんが作られる。（自治体負担１本３４円）食酢メーカーはびんの製造メーカーさんから1本２５円程度で購入するので、２５円は食酢の価格に上乗せ（税金で負担した３４円、回収・分別・保管費用上乗せされない）。本当は２５円＋３４円＝５９円のはずなのに。
このようにリサイクルやごみ処理が税金で行われているという仕組みのなかでは、リ夕ーナブル容器はなかなか伸びていけない。たいへん不利益な、冷遇された状態にある。

●抜本的な容リ法改正・課徴金制度導入を！

　使い捨てのペットボトルやワンウェイびんより、繰り返し使うリターナブルびんの方が環境にも、費用としても優れているのに反って減少しているのは容リ法も含めた日本の法制度に問題がある。事業者自ら回収し、自治体に回収を委託する場合は、回収・分別・保管費用も事業者が負担する。製造時課徴金制度やデポジット制度でリユース（再使用）を優先する制度をつくる必要があると中村さんは話しを結んだ。
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＜製造時課徴金制度＞
　アルコールや清涼飲料、調味料などの容器として、新しく製造された容器を、中身メーカーが容器メーカーから購入した際に、課徴金（環境税の一種）と課す。
　例えば容器１本３０円の課徴金を課す場合、３０回使用するリターナブル容器は１回１円（３０円÷３０回）商品価格に上乗せされる。一方、一度しか使われないワンウェイ容器の場合、３０円の課徴金はそのまま商品価格に反映し、1本あたり３０円の負担となる。このように容器を繰り返し使い、資源、環境保全に貢献すれば負担が少なくなる制度。
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●「行政がごみ処理をするのが当たり前」という常識を超えて！

　講演会でのテーマは色々あったのだが、遠くの国スウェーデンをうらやむより、「どうしたら、日本が持続可能な社会への国民的合意ができるのか？そのための社会システム創りは？」を考え実現できない限り、「できることから始めよう」だけの延長線上には解決の道がないのだろうと感じられた。「行政がごみ処理をするもんだ」という過去の常識を問い直すことから始めたいと思う。（Ｔ）
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＜独り言＞

　内容豊富な3月18日講演会。１６０名の参加はゴミゼロネットの実力からすれば上出来。でももっと来て欲しかった。地球のルールを守った上で、経済成長も財政再建も達成できた不思議の国スウェーデンの話。

　でも実は、いまひとつ自分で消化できないまま、当日の討論の進行役をしてしまった。今号のまとめも正直ちょっと苦労した。討論の司会などは背伸びしすぎであったと反省。

　でも、懇親会は２０数名参加で、ノリノリのまま盛り上がりました。やることいっぱい。力なし。さてゴミゼロネットは何処へ？

　そう言えば久しぶりのゴミゼロ通信。情報整理の速度が急に落ちてきて…。

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●第2回意見情報交換会＝溶融炉問題ネット準備会開催
日時　２００１年４月１日（日）PM1：30より
場所　ＮＰＯ活動推進センター（静岡市）
議題　
１．各地の灰溶融炉・溶融炉・最終処分場問題の意見・情報交換
２．「溶融炉問題ネット」の運営について
３．「溶融炉問題ネット」結成集会の運営について
４．その他
参加資格　ごみ問題に関心のある方ならどなたでも。溶融炉について賛成・反対、行政、企業、一般市民どのような立場の方でも、参加を歓迎します。
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●溶融炉問題ネット結成集会＋記念講演会
日時　２００１年５月２７日午後１時３０分より
場所　静岡市女性総合会館「あざれあ」研修室
内容　
「溶融炉と処分場を考えるネットワーク」（略称　溶融炉問題ネット）の結成集会
記念講演「灰溶融炉・溶融炉に未来はあるのか？」（仮題）津川敬氏（検証ガス化溶融炉著者）
参加費　５００円

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●第４３回定例会５月１２日（土）午後１時より●
☆いつもは午前中に行なう定例会ですが、午後に変更です　
●午後３時頃から特別企画“いぎりす便り”の栗岡理子さんの帰国報告会●
ご家族の都合でイギリス・ブライトンに１０ヶ月滞在した栗岡さん。
ヨーロッパ中に広がったオイルショック、修理屋さんが繁盛するイギリス、ドイツハノーバーの環境万博・スウェーデンへの旅行も、各国のトイレットペーパー、最近では口蹄疫のこと……たくさんの情報を送ってくれました。これらのことを一気に話してくれるかもしれません。イギリスのごみ事情を中心に楽しい話になること受けあい！
夕方からは食事会も企画中です。
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静岡市議会議員団との懇談会
５月上旬～中旬（平日の夜）を企画中
自民党から共産党までの市議会議員の方々と静岡市のごみシステムを熱く語ろうという企画。すでに全議員に“名古屋の熱い夏＝容リ法中間総括”を配布。静岡を大きく変えるキッカケになれば
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク（略称ゴミゼロネット）
〈第４２回定例会のお知らせ〉毎月第２土曜日
日時２００１年４月１４日(土)午前１０時～１２時
　所　アイセル２１　４階４１集会室
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内容
①溶融炉・処分場問題・ネットワーク
②容リ法市議会議員との懇談会について
③生ごみのたい肥化その他
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●●ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク●●
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│壷阪道也　　　　　　　　　　　　　　　　　
│〒421-0111静岡市丸子新田277-4
│TEL・FAX 054-257-3177　　　　　　　　　
│Email mirai2@bj.mbn.or.jp future2@nyc.odn.ne.jp
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