010328号ゴミゼロ通信「続々スウェーデンからもっと学ぼう！」

┏━↓● スウェーデンから学ぶ「循環型社会＝持続可能な社会●↓━━━━┓

●「北欧の光と影？高福祉・高負担の活力の失われた国」批判は正しいか？
　北欧、特にスウェーデンに対して「過剰福祉は競争原理を否定し、国際市場での競争力が低下、企業から経営インセンティブを奪い、企業の国外脱出を加速したり、勤労意欲を低下させ、貯蓄意欲をそいでいる」という批判が存在するが（参考１）、それらはかなり古い情報に基づいて展開されており、これらは事実にまったく当てはまらないようだ。こうした批判は情報不足の一般市民どころか、長谷川慶太郎氏のような著名な方々が、２０年前の状況を今尚、最新著や最近の雑誌の記事にも書いていることは問題であろう。
　例えば、長谷川慶太郎氏はその著書「国家は頭脳を持っているか」青春出版１９９９年８月出版（参考７）の中で「…いわゆる自由主義国家での社会福祉国家の理想も破綻したと言われる。その理由の一つは、高率の税金を忌避して、企業と経営者が国外に脱出して、経済の活力が失われた。個人的才能に恵まれた『自由業』の人々も国に帰らなくなった。高額所得者ほど母国に住みたがらない。いたしかたないことだが、それが国の経済発展を阻害しているという認識が広がった。隣接する欧州諸国でも、公的負担の割合は４０％から５０％のあいだで、決して小さくないのだが、それでも北欧よりはましだし、北欧の母国を出てしまえば、うんと税金の安い地域はほかにいくらでもあるからだ。…」と説いている。しかし、この批判は事実に基づかないものであると言える。

●事実を見誤るエコノミストと市民
　私たちは著名なエコノミストの意見を無条件に鵜呑みにしがちである。しかし著名なエコノミストであろうと必ずしも正しい分析ができるとは限らない。例えば、ほとんどのエコノミストたちが、８９年を頂点としたバブル経済の崩壊を誰もが予測できなかったどころか、バブルの繁栄の継続を信じて疑わなかった事実を佐和隆光氏（京都大学経済研究所教授）は指摘する。（参考５）又、近未来にたいする予測能力だけでなく、長谷川慶太郎氏のように、過去の事実も正確に分析しないで、経済や社会を語っている場合があることに注意すべきだろう。

●論客各氏も認めるスウェーデンの税制改革
　日本はバブル経済崩壊の建て直しのために、バブル経済の再来を期待するかのように、公共事業の拡大という旧来の形で建て直しを図ろうとしていたほぼ同時期にスウェーデンも又同様な金融危機に陥っていた。
　大前研一氏によれば「…スウェーデンが９２年の金融危機から立ち直った時の対策…フィンランドとノルウェーから始まったヨーロッパの金融危機において、スウェーデンでは為替マーケットを閉め、資金ショートで倒れそうになった金融機関に対し、国家が国有財産を抵当に入れられる限り入れて、できる限り与信の肩代わりをしている。…」（参考１１）
　神野直彦氏（東京大学教授　財政学）によれば「…スウェーデンは、バブルがはじけた１９９３年に、国内総生産比１２．３％という絶望的な財政赤字に苦しみ、それを解消するために、国民に協力を訴えた。『強い福祉』を実現するために、協力して『強い財政』を築こう。財政再建のために経費を削減すれば貧しい人々が痛みを受ける。それが故に、豊かな人々は税で痛みを分かち合ってほしいと。…」（参考８）
　又、この税制改革を環境というの側面から見れば、小沢徳太郎氏（環境問題スペシャリスト）は「１９９２年６月の地球サミット後にスウェーデン政府は…循環政策案を…国会で承認…政策案の目玉は税金部門の『課税対象の転換』でした。…ほとんどの政党が『経済発展』『雇用の確保』および『環境改善』に寄与するこの『グッズ（良いもの）減税・バッズ（悪いもの）課税』に基本的に賛成した…。」であったという。（参考２）

●大幅減税と金融改革を断行したスウェーデン
　つまり、スウェーデンでは金融・財政危機に際し、政府が全力で立ち向かい、環境税を含む税制改革で乗り切ろうとしたのである。ここまでであれば、短絡的に「悪いもの」＝環境破壊の企業＝法人税の強化やマネーゲーム＝投機の禁止等々と安易に想像しがちであるが、事実はまったく逆であった。
　環境税導入と引替えに大幅減税を断行したのである。その結果、法人税率は２８％（税引き前繰入れにより実質２６％）で欧州の中で最低、外国企業のスウェーデン支社利益は非課税で送金可能、２４５，０００クローナ以下の大部分の勤労者の所得税は一律２００クローナでよい制度になっている。
　又、竹中平蔵氏（慶應義塾大学教授）によれば「…具体的には、二つの政策が挙げられる。第一に、…日本とは比較にならないスピードで銀行に公的資金投入を行い、金融システムを安定化させた。…第二に４０１KやＥＳＯＰ（従業員持株制度）など、国民の貯蓄資金と株式投資を直接結びつける制度を拡充した。いうまでもなく、アメリカは金融自由化という視点からこれをおこなった。スウェーデンでは、勤労者の資産育成という観点が強かった。…」（参考１０）つまり、株式市場の活性化も行なっている。その結果「…９０年末の株価を１００とすると、９９年９月初めの価格は、日本７５に対し、アメリカは４２０…しかし、先進工業国のなかで一カ国だけアメリカをさらに上回る株価上昇を実現した国がある。スウェーデンだ。同国の株価は、実に４６０まで上昇している。アメリカとスウェーデンという一見対極にあると思われる二つの国で、ともに株式というリスク資産に国民の貯蓄が積極的に向かえるような、新しい枠組みをつくったのである。…」（同）というのである。

●未来への希望あふれる国＝スウェーデン
　どちらにせよ、環境税も含め、間接税の比率がスウェーデンでは高いと思われるが、それに対し、スウェーデン国民の8割以上が増税に賛成する（３割以上が強く賛成）というように国家・政府に対する信頼関係が築かれている。日本の6割以下が賛成（1割以下が強く賛成）との差は歴然としているだろう。（参考４）
「十年後の自国は今より良くなっていると思うか」の問いに日本人は３４．２％に対し、　５８．６％のスウェーデン人（参考１３）、社会への満足度（満足＋やや満足の合計　数字概算）日本…３５％スウェーデン…７３％（参考１４）の差となって現われている。

●風力発電建設基金―北海道での動きから
　小沢さんの講演会のちょうど１週間後、自然エネルギーに詳しい飯田哲也さんの講演会に出席した。氏は北欧を中心とする自然エネルギーの導入の動きを説明してくれた。その中で日本の事例として、北海道での市民の手による風力発電施設建設を紹介してくれた。風力発電所を市民の基金によって創り、その電力を北海道電力に売電しようというプロジェクトだ。
　ここで注目をしたのは、金利０％のこの時代に２．５％の金利で基金を市民に呼びかけ、１億円を集めきったという話しである。建設には２億円かかり、まだ足りないのだが、ここまでくればあとの1億円も銀行からの融資も可能だという。市民の側からすれば、「原発はいらない、もっとクリーンなエネルギーを！」という純粋な気持ちでの基金への投資であっただろうが、これはこの低金利時代での有利な投資であり、資産形成の方法の一つなのである。計画によれば、１０年で市民への借金の返済も可能だという。
　どこまで、この計画が確かなものか？北海道電力は現行制度（現行では風力発電の電気はコスト高になる）のまま風力発電の電気を買い続けるのか？等々疑問は残りつつも、市場経済の中で、市民による投資―資産形成と自然エネルギーへの転換が同時に行なわれるという切り口が大いに私を勇気付けた。

●市場経済と「持続可能な社会」との共存を目指して
　こういうことが、もっと大規模に行なわれているのが、スウェーデンなのでは？と思い直してみれば、エネルギー転換の事業は拡大・成長産業だし、可能性は無限に広がる。「弱肉強食とマネーゲームの国＝アメリカ」を構造改革の世界標準と誤解する世間の風潮、その裏返しとして、それらすべてが企業経済＝市場経済の悪の側面と誤解していしまっている私たち自身、どちらも片手落ちなのだと気が付いた。
　私たちは、「拡大生産者責任」という意味で、商品価格にリサイクル費用、ごみ処理費用、環境復元費用を上乗せすることを提案し続けてきた。時として、ごみ問題＝企業だけの責任として、この「拡大生産者責任」を企業責任の追及と誤解しがちである。しかし、これは企業も市民も次世代まで共存して生きていくためのルールであって、そのルールの範囲内で自由な経済活動を通して、未来を展望するためのものであることを改めて思い知らされる契機になった。

●未来は必ずある！
　「日本のような大量生産・大量消費社会が必ず行き詰まる」と誰もが知りながら、「目先の経済再生・企業利益、便利・快適生活」をつい求めてしまって、未来に希望がもてないまま私達は閉塞感に陥ってしまっている。スウェーデンという国が挑戦している「持続可能な社会」を「経済的にがんじがらめの規制の中で閉塞感を持った社会」という大いなる誤解は、実は私たちの不安の単なる裏返しにしか過ぎないのではないだろうか。事実を冷静に見つめれば、意外と簡単に明るい未来への道を手にすることができるのでは？と私は思え直すことができたように感じている。
　実は、私はごみ問題を単なる生活問題とは思っていない。「大量生産・大量消費・大量廃棄の持続不可能な社会」の切り口として見ている。ゴミ問題からもいろんなことが見えてくる。そして、未来は必ずある。そう思いたい。
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┏━↓ 小沢さんか送られてきた資料の要点↓ ━━━━━━━━━━━━━┓　
●参考１
「スウェーデン・モデルへの批判」は正しいのか？
①過剰福祉は競争原理を否定する傾向があるので、国際市場での競争力が低下する。
②官僚機構が肥大化し、息詰まるような官僚主義が社会まで行きわたっている。
③過剰福祉が勤労意欲を低下させ、貯蓄意欲をそいでいる。
④高福祉政策のゆえに企業から経営インセンティブを奪い、企業の国外脱出を加速する。
⑤平等主義の徹底はサービスの画一化につながりやすい。また選択肢を制限することになるので選択の自由は実質的に剥奪されてしまう。
⑥平等なサービスを提供するために国民総背番号制度などが導入され、それが管理社会化を促進している。
⑦パブリック・セクターの超肥大がサービス精神を低下させている。また民間活力が低下する。
⑧胎児から墓場までの人生のあらゆる段階で、過剰福祉が提供されるため、特に青年層で倦怠感が拡散し、ヤル気を失った青年は麻薬の乱用に走ったり、アルコール依存症になるかもしれない。
⑨重税政策は地下経済を繁殖させる。
⑩高負担のため青年の国外流出が止まらない。
☆こうした批判がさまざまな表現を変えて何度も繰り返されることになる。

●参考２
スウェーデンは１９９０年の税制改革で…環境税が導入され、所得税が減税されました。またＯＥＣＤ加盟２４カ国の中で最も低くなりました。…持続可能な社会は…まず温暖化の状況が深刻にならないようにすること…オゾン層の破壊をこれ以上進行させないことです。…１９９２年６月の地球サミット後にスウェーデン政府は…循環政策案を…国会で承認…政策案の目玉は税金部門の「課税対象の転換」でした。…ほとんどの政党が「経済発展」「雇用の確保」および「環境改善」に寄与するこの「グッズ（良いもの）減税・バッズ（悪いもの）課税」に基本的に賛成した…。（「２１世紀も人間は動物である」小沢徳太郎著より）

●参考３
法人税率
日本…４８％（？）
ドイツ…４５％
フランス…４０％
米国…４０％
オランダ…３５％
イギリス…３１％
フィンランド…２８％
スウェーデン…２８％

●参考４
生活領域別価値観…増税容認
　　　　　　　　　強く賛成　　賛成　　　計
ドミニカ共和国　　　36.4％　　47.7％　84.1％
スウェーデン　　　　32.6％　　47.7％　80.3％
中国　　　　　　　　18.9％　　57.1％　76.0％
ドイツ　　　　　　　11.8％　　52.5％　64.3％
日本　　　　　　　　 7.7％　　49.8％　57.5％
アメリカ　　　　　　11.7％　　41.9％　53.6％

●参考５
思いやりを欠く「市場主義」に訣別を
佐和隆光（京都大学経済研究所教授）ＧＥＮＤＡＩ２００１．３より
予測できなかった９０年代
１９８９年末、日経平均株価は３万８９１５円という…高値を記録…９０年１月３日の日経新聞紙上に有名経営者２０人へのアンケート調査…「９０年中の日経平均株価の高値は「いくらになりますか」との質問に対して、最も強気な人は４万８０００円、最も弱気な人ですら４万２０００円と答えており、…８９年末に株価や地価が、まもなく下落局面を迎えることを予測する専門家は、皆無に近かった。…竹村健一氏は『ゴールデンナインティズ』（黄金の９０年代）と題する著書の中で「九〇年代は日本の時代である」と断言してはばからなかった。長谷川慶太郎氏は『投機の時代』と題する著書の中で「汗水垂らして金儲けをする時代はもう終わった。これからは頭を使って投機で金儲けをする時代がやってくる。今時、投機をやらない奴は世捨て人だ」ということをこれまた断定的にいっていた。８０年代末、当時の評論家やエコノミストは、単に見当外れの予測を得意げに語っていたばかりか、現におきたこととはまったく逆さまのことをまことしやかに宣伝していたのである。…目下、エコノミストの多数は「市場（万能）主義」の唱道者を自任している。

●参考６
２１世紀の世界モデルは日本
長谷川慶太郎（雑誌「論争」１９９９年１１月号）より
…どうして日本が第三回「地球温暖化防止京都会議」の主催国・議長国を務めたのか。それは日本が高い技術水準をバックに、世界で最も典型的に「地球環境保全」と経済成長を両立させることに成功した「モデル国」になっているからである。その背景には、第一次オイルショック以後、「省エネルギー」に日本の民間企業がどれほど熱心に、かつ徹底して努力を重ね、成果を上げてきたかという事実がある。…

●参考７
福祉国家が危機にさらされている原因
長谷川慶太郎著「国家は頭脳を持っているか」青春出版１９９９年８月出版
まえがき
…一例をあげれば、１９９７年１２月に開かれた「第三回地球環境保全会議」で論議された「自動車排ガス規制」の強化をめぐる話し合いが、日本車よりの燃費の高い車種しか生産していない欧州諸国代表のすさまじい反対で、ついに成立しなかった事実を想起すればよい…
…いわゆる自由主義国家での社会福祉国家の理想も破綻したと言われる。その理由の一つは、高率の税金を忌避して、企業と経営者が国外に脱出して、経済の活力が失われた。個人的才能に恵まれた「自由業」の人々も国に帰らなくなった。高額所得者ほど母国に住みたがらない。いたしかたないことだが、それが国の経済発展を阻害しているという認識が広がった。隣接する欧州諸国でも、公的負担の割合は４０％から５０％のあいだで、決して小さくないのだが、それでも北欧よりはましだし、北欧の母国を出てしまえば、うんと税金の安い地域はほかにいくらでもあるからだ。…

●参考８
２０００年１月１０日朝日新聞論壇
競争社会から協力社会へ
神野直彦（東京大学教授　財政学）
　この世紀の転換期に日本が目指している「競争社会」とは、言語矛盾という感さえする。競争の本質は、自己が成功するには他者が失敗しなければならないという点にある。
　しかし、社会とは他者との協力なしには生存できない人間が共同生活を営む場である。いやしくも社会というからには、「他者の成功に献身すれば、自己も成功する」という協力原理が埋め込められていなければならない。
…スウェーデンは、バブルがはじけた１９９３年に、国内総生産比１２．３％絶望的という絶望的な財政赤字に苦しみ、それを解消するために、国民に協力を訴えた。「強い福祉」を実現するために、協力して「強い財政」を築こう。財政再建のために経費を削減すれば貧しい人々が痛みを受ける。それが故に、豊かな人々は税で痛みを分かち合ってほしいと。
　こうして大不況のもとで、あえて増税を断行したスウェーデンは現在は、財政を黒字にしたばかりか、失業率も９３年から半減させ、経済成長率も３．６％に高めて、財政も国民経済も再建に成功している。…人間のきずなを重視する「協力社会」では人間同士の能力を高め、人間の生活を守ることに財政が動員される。実際、スウェーデンでは財政再建の過程で、教育・研究開発・情報技術インフラ・福祉に財源が重点配分されている。教育がとりわけ重視されているのも、経済成長と雇用確保と社会正義（所得平等）という三つの課題を同時に解決するには、教育しかないと考えられているからである。…「競争社会」では人間はコストを高める妨害物と見なされ、企業も政府もリストラによって、人間の共同生活の場である社会から人間を追放してしまう。「協力社会」では人間の能力を相互に高め合い、生産性を向上させることによって、経済成長を実現させていくことになる。…

●参考９
日本経済は没落か繁栄か
小宮隆太郎　青山大学教授　（論争　東洋経済２０００．１）より
…不況が長引いている日本と好況の米国と比較して、日本には無くて、米国にあるもの、あるいは米国の方が優れているもの…華々しい技術革新や、新しいビジネスが米国の経済的繁栄の原因と考えられがち…しかし、私の考え方では、それらは一国全体の経済・社会の繁栄つまり一人あたりの所得の向上にとって必ずしも決定的な重要性を持つものではない。…米国の医学、製薬、遺伝子工学の産業は世界のフロンティアを行く…医療費支出のGDPに対する比率は世界最高であるにもかかわらず、国民の平均寿命は米国よりも日本、アイスランドの方が長い。…北欧諸国やスイスは世界最高の所得水準を達成しているが、それらの国が華々しい技術革新や新ビジネスで米国に匹敵するわけではない。それらの国の繁栄は、国民一人々々の能力の高さと良き政府を持っていることに基づく。教育が普及し、所得分配が比較的平等で、様々な知識・技術についてベスト・プラクティスの普及が速やかである。また国民は理性的で良識を持ち、基本的人権を尊重しているので、経済・社会問題を解決するための国民のコンセンサスが形成されやすい。人々は法律を遵守し、犯罪率が低く、治安は良く、労使関係も安定している。北欧諸国では社会保障が世界で最も行き届き、人々は現在および将来の生活不安に悩むことが少ない。…

●参考１０
取り残された「資産政策」
竹中平蔵　慶應義塾大学教授　（論争　東洋経済１９９９．１１）より
…９０年末の株価を１００とすると、９９年９月初めの価格は、日本７５に対し、アメリカは４２０…しかし、先進工業国のなかで一カ国だけアメリカをさらに上回る株価上昇を実現した国がある。スウェーデンだ。同国の株価は、実に４６０まで上昇している。アメリカとスウェーデンという一見対極にあると思われる二つの国で、ともに株式というリスク資産に国民の貯蓄が積極的に向かえるような、新しい枠組みをつくったのである。
　具体的には、二つの政策が挙げられる。第一に、…日本とは比較にならないスピードで銀行に公的資金投入を行い、金融システムを安定化させた。…第二に４０１KやＥＳＯＰ（従業員持株制度）など、国民の貯蓄資金と株式投資を直接結びつける制度を拡充した。いうまでもなく、アメリカは金融自由化という視点からこれをおこなった。スウェーデンでは、勤労者の資産育成という観点が強かった。…

●参考１１
大前研一の「答え」はこれだ（扶養社　１９９８年５月）
　日本が金融危機から再生するためにもっとも参考にすべきは、スウェーデンが９２年の金融危機から立ち直った時の対策だというのが私のかねてからの主張である。フィンランドとノルウェーから始まったヨーロッパの金融危機において、スウェーデンでは為替マーケットを閉め、資金ショートで倒れそうになった金融機関に対し、国家が国有財産を抵当に入れられる限り入れて、できる限り与信の肩代わりをしている。…現在、日本の金融システムがあたかも崩壊するかのように騒がれているが、例えば９７年に起こったアジアの金融危機と比べてみると、アジアの金融危機の原因は各国の対外債務にあったことは明らかで、日本とはまるで事情が違う。なぜなら日本は、世界最大の債権国であって対外債務などないに等しいからだ。…この問題は、アジア諸国と比べても、意外に簡単に解決できることなのである。

●参考１２
毎日新聞２００１年１月２６日
　世界経済フォーラム（ダボス会議）は…環境を破壊せずに経済成長を図れる能力の度合いを指標で示した各国別順位（１２２カ国）を発表した。１位フィンランド（８０．５）、２位ノルウェー（７８．２）３位カナダ（７８．１）４位スウェーデン（７７．１）と北欧勢が占めた。主要国では米国１１位（６６．１）、フランス１３位（６５．８）、ドイツ１５位（６４．２）、英国１６位（６４．１）、日本は２２位（６０．６）だった。

●参考１３
日経新聞１９９８年７月２２日
…調査は３月、日、米、英、独、仏、スウェーデンの６カ国で、１８－６９歳の男女計２８０１人を対象に実施した。「十年後の自国は今より良くなっていると思うか」との問いに、「そう思う」と答えた日本人は３４．２％で六カ国中最低。最高は米国人の６３．０％、５８．６％のスウェーデン人が続いた。…

●参考１４
日経新聞１９９９年１月３日
総務省が１９９９年１月２日に発表した「世界青年意識調査」
社会への満足度（満足＋やや満足の合計　数字概算）
日本…３５％
タイ…７７％
フィリピン…７３％
スウェーデン…７３％
米国…６８％
英国…６４％
ブラジル…４２％
フランス…４１％
ドイツ…４１％
韓国…４１％
ロシア…２５％