010617号ゴミゼロ通信「溶融炉の何が問題か？」

☆ゴミゼロ通信2001年６月１７日号（今号３３０通発信）
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┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●天竜市で今起こっていること
●溶融炉問題ネット結成その後
●溶融炉技術何が心配！

●「この大いなる残飯よ…食品リサイクル法と環境ビジネス」●
津川　敬（環境ジャーナリスト）
●〈第４５回定例会〉毎月第２土曜日
日時２００１年 7月14日(土)午前１０時～12時
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　今日、天竜市中央公民館で開かれた

「ガス化溶融炉の学習会」講師　津川敬さん（環境ジャーナリスト）

主催北遠の環境を考えるネットワーク

に参加してきました。参加者は手でざっと数えて約８０名。

最後まで津川さんの講演を熱心に聞き入っていました。

　集会には御殿場市深沢地区の住民も参加していました。

　その地区に、産廃業者が溶融炉施設を導入しようとしているためです。

その地区でも津川さんを呼んで学習会をやろうという計画があります。

県下に溶融炉導入の動きが広まっているのです。これは偶然ではないと思います。

もう少し、資料と情報を整理して、ゴミゼロ通信で明らかにしていきたいと思っています

　天竜で今起こっていることは全国のどの都市で起こってもおかしくないかもしれない

ことかだろうと思いました。

　何故、こんな難しいテーマの集会にこんなに人が集まったのでしょう？

かなり詳しい資料を入手したので、近日中に是非公表したいと考えています。

もう少し、お待ちください。

（Ｔ）

┏━↓ ●溶融炉・灰溶融炉何が問題？●↓ ━━━━━━━━━━━━━━┓

静岡市６３億円で日立造船から灰溶融炉導入
　静岡市は６月議会で正式に灰溶融炉導入契約を決定しようとしている。県下でも、島田市、藤枝市、浜松市、天竜市、御殿場市の産廃業者と溶融炉・灰溶融炉導入が検討されています。その問題点を徹底検証してみた。

●溶融炉が行なわれなかった理由

　溶融炉は最新の技術というより、昔からあった技術。ただ昔はダイオキシより「耐火レンガが保たない、窒素酸化物や低沸点の重金属類(カドミウム、鉛、水銀など)が揮散」等の問題が多く、わざわざと低温焼却（９００度以下）してきた経過があった。

●では何故今、溶融炉？

　ごみ焼却のダイオキシンが社会問題化され、１９９６年に厚生省（現・環境省）がダイオキシン規制を打ち出し、ごみ処理広域化計画に基づき「高温で連続焼却できる大型炉の建設」をその中核に据えたため、装いを新たに再登場した。問題先送りの「見切り発車の技術」とも言える。

●ドイツでは、事故が多発。脱ガス化溶融炉の動き

・九八年八月十二日ドイツ・フィルト市・シーメンス社ガス化溶融炉事故
（三井造船と同型。事故前はドイツで実際のものが動いているから大丈夫と発言し、事故後は別物だから心配ないと言葉の使い分け）
・九九年二月二二日ＰＫＡ社のガス化溶融プラントガス漏れ事故
・九九年十二月カールスルーエ市のサーモセレクト社製ガス化溶融炉。二〇〇〇度という超高温を出す溶融炉部分で炉壁の耐火レンガが広い面積にわたって崩落。

●溶融炉技術が未確立の技術ではないか？

　焼却炉（ストーカ炉と流動床炉）は四〇年、二五年の稼働実績があっても「薬品漏れ」「炉内圧上昇」「公害防止装置の故障」「配管づまり」トラブル頻繁。それでもリスク管理のノウハウがあるから何とかなってはいる。
一方、ガス化溶融炉は始まったばかり、リスク管理のノウハウもない。メーカーの実験炉と実機炉は違う。技術そのものの信頼性、安全性が十分確立しているとはいえない。①運転には原発なみの慎重さが要求され、②運転はメーカー側の技術者と作業員にまかせるほかはない。

●ダイオキシンが消滅するのか？

「高温分解＝消滅」ではない（ベンゼン環は破壊されない）。溶融炉の温度が上がるまでの温度ムラ、燃焼からガスの冷却過程等、一時的な低温下等で、ダイオキシンが再合成の可能性は否定できない。もちろん、技術的にダイオキシンを削減する方法はあるが、膨大な装置やその運転コストがかかることは焼却炉の場合と同様である。

●ダイオキシン測定値が信じられるか？

　「いつ、どんな状態で測定したか」によって大きく違うし、日本の測定機関のレベルが低い、同じものでも米国との測定値との開きがある。「今度はどのくらいにしておきましょうか？」測定会社が清掃工場担当者に言ったとか、言わないとか…。
（注：今ゴミゼロネットではダイオキシン値測定プロジェクトを検討中、請うご期待！）

●超高温になると別の有害物質が生成！？

　塩ビを一〇〇〇度で燃やした時、発ガン性と環境ホルモン作用がある可能性が高い物質が発生したり、ごみの焼却に高温を出せば出すほど、変異原性や発ガン性を示す物質が発生することが指摘され始めてきている。

●溶融炉施設の建設・運転費用が大き過ぎる！その膨大なコストを税金負担でよいのか？

　吉田町・榛原町が島田市のガス化溶融炉の建設費負担が重いという理由で広域組合から抜け、島田市と広域を組む川根３町も運転費の負担はよいが、建設費負担を拒否していることが「中小自治体には重すぎる負担」の典型的な例。
　それでも建設コストには国庫補助と借金によってほとんど賄われ、当面１割程度の負担で建設が可能。しかし、運転費用（ランニングコスト）がどれだけかかるか予測できない。拡大生産者責任に基づく排出責任者負担に逆行しないだろうか？

●焼却灰が３分の１ぐらいの溶融スラグになる等といわれているが、その使い道はあるのか？

　静岡市では灰溶融炉からできあがったスラグはＪＩＳ規格があり、安全に商品としてスラグを売る（＝焼却灰のリサイクル）ことができると主張している。しかし、すでに、コンクリートの廃材を路盤材に６５％２４５０万ｔを使われている。数年後には全国いたるところで溶融スラグが作られ、公共事業も縮小されるだろう。仮に安全であったとしても、スラグをどこの公共事業で使ってもらえるのだろう？

●そのスラグを路盤材等に使って安全なものだろうか？

神奈川県藤沢市で九六年から九七年にかけ、溶出試験を終えた溶融スラグを路盤材に敷いて三ヵ月後、水質調査を行なったところ、安全基準の４５倍の鉛が検出された。

●日本の安全基準を信じて良いか？

　日本の溶出試験が国際的にみて甘い。日本の溶出試験の基本となる骨組みは「スラグの中に有害重金属が入っていても、それが溶け出さなければいい」実際には対象物質（ここではスラグ）をＰＨ五・八から六・三の水溶液に入れ、六時間浸透させて有害物質（重金属）が溶け出してくるかどうかをみるだけ。（酸性雨はＰＨ四以下の場合があり）
　これに対し欧米では「現実に想定できる最も過酷な条件下で溶出し得る量」を検証するもので、日本にくらべＰＨ設定がきわめて厳しい。
　ある研究家によれば「灰溶融したままの溶融スラグは無結晶のガラス体にすぎないため、酸性雨に曝されると重金属の溶出は避けられない。骨材として砂利や砂の補助材に用いる場合、混入率一六％前後が限界だ」という。
完全に重金属を封じ込め、骨材や路盤材にするためには再加熱もしくは徐冷などを行い鉱物結晶化（抗火石様のスラグ化）させねば無理だが、かなりのコストがかかる。ちなみに前述の藤沢市ではこの徐冷式スラグで路盤材工事を再開している。
　ある技術者の意見。「安全性を疑い出したらきりがない。国の基準に従うだけ。新たな基準が出たら対応する」技術は今わかっている事、定められた基準に対応しているにすぎない。

●焼却灰は本当に半分から三分の一のスラグになるのか？

　最近は燃焼管理や技術の高度化で焼却灰は砂のようにサラサラになっている。つまり熱灼減量（焼却することによって体積が減る）のレベルが上がっている。メーカーのいうほどの減容効果があるかは大いに疑問。

●仮に完璧な技術であったとしても、もっと広く市民の理解を得ながら建設すべきではないか？もっと情報公開されるべきではないか？

　ダイオキシンの測定も含め、ごみ処理は住民代表の参加基本であるべき。そのことを通しても市民のゴミ排出抑制効果も生まれる。

●科学技術に頼り過ぎて、人として本来考えなければいけない「物を大切にする心」が失われないか？本来見直さなければならない川上（大量生産・大量消費）対策が置き去りにならないか？

　技術によって引き起こされた問題を技術で解決するのは完全に解決するのには無理がある。溶融炉とは「何でも、しかもプラスチックなど高カロリーのごみは必ず入れる必要がある、分別不要・分別してはいけない処理方式」。ごみの排出抑制の基本となる分別排出を不要にしてしまう恐れがある。
川下の流れを良くすれば＝受け皿を増やせば＝溶融炉を導入すれば、ゴミが増えるだけだ。排出抑制はもちろん、「大量生産・大量消費」を抑制する社会システムこそが求められる。
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┏━ ●「この大いなる残飯よ…食品リサイクル法と環境ビジネス」● ━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　津川　敬（環境ジャーナリスト）

　６月１日（金）、日報主催の「環境展」最終日に滑り込む。午前中「バグフィルターに穴が開いた」千葉県野田市クリーンセンターでの聞き取りにやや時間をとられたため、会場（有明の東京ビッグサイト）に着いた時は２時半を少し回っていた。最終日は終了時間が１時間繰りあがって４時までだったから、実質１時間ちょっとの余裕しかなく、出展数５０６、小間数１５８１ある会場全部はおろか、その５分の１も見回ることはおぼつかなかった。

　１９９２年に「廃棄物処理展」として発足したこのマイナーな展示会は出展者、入場者とも現在の半分以下であり、ごみ収集車やバキュームカー、ダストボックスに小型焼却炉ぐらいしか展示品はなかったという。
　しかし９０年代半ばからのＤＸＮ規制や循環型社会騒ぎに乗って去年からはタイトルも「２０００ＮＥＷ環境展」に変わり、中身も環境ビジネスの一大イベントに変貌した。その分野も同展キャプションに〈資源化、大気・水質・土壌汚染防止、エコ製品〉とあるように、処分場・焼却・選別・破砕・圧縮技術はもとより、ＲＤＦ、医療・感染性廃棄物処理、搬送技術、土壌改良、プラスチック処理、分析・測定、ＰＣＢ処理と、かつて「紙オムツからミサイルまで」を豪語した総合商社なみの盛況ぶりである。

　したがって全ブースをくまなく歩いたら開催全期間の４日をかけても足りそうにない。そこで重点を生ごみ処理技術一点に絞った。だがその数８２社。全出展数の１６％を占める。
「何せ１兆円産業の呼び声もありますから」。あるベンチャー企業の説明員はこういって笑った。３年前まで住宅関連の仕事をしていた会社だという。同様に衛生器具、キッチン用具メーカー、板金業者などもこの分野に〝転業〟していたのだ。ともかく必死なのである。食品リサイクル法の成立を見越して、参入してきた業者は２００とも３００ともいわれているが、何ヵ所かで話を聞いてみると、ある共通点が浮かび上がった。

　すなわち、①中小ベンチャーと大企業子会社のジョイントが目立つこと。先のベンチャーは脱臭装置を開発した大塚製薬グループと提携しており、三菱電機エンジニアリングはＵＣＣ上島珈琲と手を結んでいた。②ＮＴＴ、東芝、日立などの大手関連企業が進出していること、③どの製品にも地方大学の教授らが〝秘密の菌〟などを提供していたことである。菌の成分は当の企業にも明かさない。教授らの銭ゲバぶりを彷彿させる話だ。
　わが国の食品廃棄物は年間約１９４０万トン。そのうち堆肥や飼料として利用されているのは９％にすぎず、残り９１％は焼却・埋立て処分されている。これが食品リサイクル法成立の背景だった。
「市場は無限大です。ホテル・旅館、食品メーカー、農家・酪農家、飲食店、工場や会社の社内食堂、スーパー・コンビニ、テーマパークなどーー」と前記説明員はメモを見ながら説明してくれた。だが会社が主なターゲットとするのは学校の給食センターだという。　処理技術の大半は消滅型である。一時盛況をきわめたＥＭや堆肥型はかなり劣勢らしく消滅派企業は、「そんなものつくったとして誰がいつ引き取るんですか」と強気である。　そんな中でユニークだったのは東芝テックが開発した〝乾燥型〟であった。できた製品はどうするのかと聞いたら、西濃運輸に引き取らせ、各地方で飼料や肥料に加工するのだという。

　なぜ、日本はいまなおバブル期なみの〝残飯天国〟なのか。環境をどう保護するかの視点はどこにもない。あるのは２０１０年に４０兆円産業になるという環境ビジネス市場でのシェア獲得であり、企業の生き残り戦略である。生ごみや有機性廃棄物が無限に出てくれないと成り立たない世界なのだ。
　帰りがけ、ついに出たという感じの商品に出喰わした。老朽清掃工場の解体に向けた防護服、それも密閉型化学防護服である。
「心地よい」「環境に優しい」「丈夫で軽い」「ドライ粉塵に強い」そして「ローコスト使い捨てタイプ」だという。素材は摩擦に強いスパンボード不織布で、１着あたりの価格は１０００円以下である。説明員に「使用後はどう始末するのか」と聞いたら、「除塵してから産廃業者に引き渡すんですかね」と、他人事のような答えが返ってきた。人の健康と安全を守る使い捨て商品！。どこかいびつな環境ビジネスがここにもある。
「２００１ＮＥＷ環境展」ーーー。５月２９日から６月１日の４日間、総入場者数、１１万９２１８人という。その中のひとりが、僕だった。

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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク（略称ゴミゼロネット）
〈第４５回定例会〉毎月第２土曜日
日時２００１年 7月14日(土)午前１０時～12時
　所　アイセル２１　３階３１集会室
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内容

①生ごみたい肥化
②溶融炉・処分場問題・ネットワーク
③古着リサイクル・容リ法その他

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