010708号ゴミゼロ通信「溶融炉Ｑ＆Ａ」

☆ゴミゼロ通信2001年７月８日号（今号３４８通発信）
情報満載！ゴミゼロネットのホームページ　
http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/
┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●溶融炉問題質問公募の質問と津川さんの回答の一部の紹介
１．溶融炉技術がリサイクルの最先端という幻想

２．灰溶融炉に期待が過剰なのでは？

３．飛灰処理・その高コスト構造！

４．ダイオキシン無害化鹿児島県川辺町の実験をどうみるか？

「技術が生み出した矛盾を技術で解消する」やり方には限界がある

５．海上埋立は安全か？

●地域限定日刊勝手連通信のご購読の御願い

●〈第４５回定例会〉毎月第２土曜日
日時２００１年 7月14日(土)午前１０時～12時
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
●去る６月２４日付けで
　　率直な「溶融炉」に対する疑問・質問を募集します！

ということで募集したところ何人からの質問メールを受け取りました。

まだ十分整理されているわけではありませんが、

ゴミゼロＨＰでも、全国各地の溶融炉に対する動きをみても、

未整理のままでも、公表した方がよいのではないかと思い

津川さんによる回答を公開します。

少し難しいかもしれませんが、

是非ご参考にしてください。

引き続き、質問を受付けます。

（多分、津川さんは答えてくれると思いますので）

今後ともよろしくお願いします。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

●長崎県多良見町議会議員　大我喜代志からの質問
-------------
Q１．先日、飯塚市のクリンセンターを視察した折、所長いわく、「焼却施設ではありません。あくまでリサイクルを目的とした施設で、リユースできないものは溶融処理によるリサイクルです。」との説明がありましたが、いわゆる日本の「焼却主義」「埋立主義」（その場しのぎの放任主義？）からは一歩進んだ「ごみ処理」施設と考えられるのでしょうか？
-------------

Ａ１．彼(が「リサイクルセンター」と言い出した背景には「溶融」という技術が如何に住民の生活感情に反しているかを雄弁に物語るものです。可燃・不燃・医療系・有害廃棄物などすべて投入可能(新日鉄の宣伝ビデオ）といいながら、これを導入した自治体はどこでも「ごみの分別・減量がまず大切」といっています。これは形式論理的にも矛盾といわざるを得ません。
　もうひとつの背景は「何でも投入OK」といってきたことにメーカー側が後悔し始めていることです。いま、方々で「何でも入れることによるトラブル」が結構起きており、何よりもメーカーはそれによるイメージ低下を恐れているのです。現に三重県四日市市の溶融施設に１０のメーカー(新日鉄も入っていた）が入札に応じたのですが、その内容があまりにも厳しいものだったので、うち６社が入札辞退しています。実際、ドイツにおける相次ぐ事故も投入廃棄物に無理があったためなのです。宣伝文句とは裏腹にトラブルに対しどこのメーカーも神経質になっているということです。

-------------

Q２．当町のクリンセンター（焼却場）は急場の「ダイオキシン対策」としては、大丈夫なのですが、灰の最終処分の関係で、「組合」による「広域大型処理施設」での灰溶融に期待するところですが、灰溶融処理と、「ごみそのもののRDFor溶融or焼却処理etc」とは切り離せないのでしょうか？
-------------

Ａ２．おそらく「ガス化溶融炉」か「ストーカ炉＋灰溶融」かの選択だろうと思いますが(違ったら御免なさい）、現在１６ヵ所の清掃工場を持つ東京都２３区部は、全部の工場ではなく、うち５ヵ所に灰溶融炉を建設する計画を立てています。大我さんの地域がどんな事情を抱えているのかわかりませんが、灰溶融炉はいまのところコストが嵩み、トラブルも多く、減容効果も疑問の技術としかいえません。できればご本人からもう少し詳しい状況をお聞きできれば、と思います。

-------------

●三重県四日市「みどりと環境を守る四日市市民の会」の参加者からの質問

-------------

Ｑ３．溶融炉に持込む焼却残渣は、低部より取り出す焼却灰とバグフィルターで捕獲する飛灰ですが、焼却灰を溶融炉に供給し処理するのはともかく、飛灰を炉に供給し再度溶融処理し、飛んだ飛灰をバグフィルターで捕獲し取り出す意味は何にあるのでしょうか？先生はどの様に説明を受けておられますか？

-------------

　これはおそらく三井造船の二段バグフィルターを指すものと思われます（石川島播磨＋クボタのシステムはこれではない）。つまり、最初のバグフィルターで飛灰を回収し、二つ目のバグフィルターで脱塩処理を行なった上、排ガスを煙突から排出。最初のバグで回収された飛灰を再び溶融炉に投入し、これをスラグ化する。二つ目のバグフィルターでは脱塩剤を用い、塩化水素や硫黄酸化物を中和反応させ、塩化カルシウムなどに無害化するというかなり複雑な工程です。結局出てくるのは〝脱塩残渣〟と称する物質のみで、投入ごみ量からみれば「わずか２％」にすぎないと、昨年調査に入った八女広域事務組合（三井造船の溶融炉を採用）の担当者は胸を張っていました。
　ただし、この方式は三井造船のオリジナルではありません。㈱テクノフロンティアという中小メーカーが開発したものですが、ランニングコストなど、一切明らかにしておりません。かなり高いものにつきそうです。
「飛灰をバグフィルターで捕獲し（通常は捕捉といいます）、取り出す意味はどこにあるのか」というのが主なご質問ですが、これは「飛灰というものをすべて溶融処理して系外に排出しない」というメーカー側の企業戦略としかいいようがありません。このコンセプトにやたら感動し「三井造船に決めた」自治体も少なくないのです。それはその自治体の考え方でしょう。要するに２０以上のメーカーがガス化溶融炉の分野で一刻も早く市場を確保するには、競争相手との〝差異化〟を図るしかありません。その結果、（二段バグフィルター方式で）どんなにランニングコストがかかろうとも、それはその自治体が選んだ道なのです。
　ただし、最近の取材でわかったことなのですが、この「二段バグフィルター方式」は三井造船ではなく、荏原製作所の特許であり、そのライセンスを巡ってこの業界は〝仁義なき闘い〟を展開しているそうです。何とも凄まじい話ではありませんか。
-------------
　　　

Ｑ４．焼却残渣中のダイオキシン処理には各種の方法が研究開発されてきています。その中の化学処理の一つにナトリュームによるものがあり、先般鹿児島の川辺町で成功したとしてマスコミ報道されました。この方法をゴミ焼却炉出口に適用すればガス化溶融炉は不要になる筈です。その際の違いは、処理後の残渣の量と利用先の違いだろうと思います。

　化学処理した残渣と溶融炉よりのスラグとの利用面での違いに焦点をあてて比較検討した文献、記事等御存知ないでしょうか？

-------------

　鹿児島県川辺（かわなべ）町についてはすでに南日本新聞が誇らしげに報道しているところですが（本年３月１９日）、「ナトリウムとＤＸＮの化学反応で塩素を除去」といった方式は大小無数のメーカーが「我が社こそ先駆け」とばかり売り込んでいる数多い技術のひとつなのです。たとえば荏原製作所がやはりドイツから導入したと称するハーゲンマイヤー炉があります。これは「酸素がない状態でのＤＸＮ分解」ですが、その一方で三井造船のダイオブレーカーのように「酸素を思いっきり与えてベンゼン環を破壊し、ＤＸＮの再合成を防ぐ」というコンセプトもあるのです。いったいどちらの方式が正しいのでしょうか。たぶん誰にも分からないでしょう。こんな時、多くの学者や研究者はマスコミなどが〝優勢〟と判断した側につくものです。
　このように大メーカー、中小メーカー、ベンチャーが入り乱れ、「ＤＸＮ分解」で一発当てようと血眼になっているのが今日ただいまの状況なのです。鹿児島県川辺町で実験したというドイツ・ハノーバー大学のフリードリッヒ・ベルジング博士という人物についての情報はまだはっきりしていません。その博士が同町で会見した時のメッセージによると「焼却灰ＤＸＮ無害化実験は成功率８０％」だったといいます。残り２０％は「焼却灰の水分の計測法に誤りがあった」とのことで、肝心の飛灰についての説明はまったく欠落しているのです。これは同紙記者の取材能力不足なのかも知れません。小生も何度か現地に連絡をとっているのですが、ハッキリした答えが返ってきません。場合によっては現地へ飛ぼうと思っていますがーーー。
　以上の情報やデータから言えることはＤＸＮの無害化処理については「高校の化学実験で何とかモノになった」レベルの話にすぎないようで、これを本格的なごみ処理技術として採用するにはまだまだ克服すべき多くの課題が横たわっているということです。
　たしかにエレクトロニクス技術が、モバイル→ケイタイと限りなくミクロ化し、「パソコンはもはや時代遅れ」が公然と論議されている昨今、「大型溶融炉は時代遅れ」と解釈したいお気持ちは分かりますが、それはあくまで理論上のものです。仮に川辺町方式が実用可能だとしても、多分、いまの行政と大メーカーはそれを〝補助技術〟のレベルに留めておくことでしょう。せっかく生まれた巨大ビジネス市場を彼らは決してあきらめることはありません。
　いずれにせよ、「技術が生み出した矛盾を技術で解消する」やり方には限界があるということなのです。

-------------

Ｑ５．「ガス化溶融炉は、埋立て処分場の延命に効果があり、狭い日本では処分場の確保が困難であるので必要である」との説明を多くの国民が受け入れている様です。

　しかし、日本は海に囲まれており、そのほんの一部を埋立て処分場として使えば解決出来るのではないかと思います。処分場からの有害成分が海に流出するのを防ぐ技術は十分に完成しています。つまるところ、政治と行政の貧困、それに、一部処分場の地権者と処理業者の結託がそれを妨害している様に思います。海に処分場を設ける主張は、出来ないものでしょうか？　問題があるとすれば何でしょうか？

-------------

Ａ５．貴方は本当に「日本は周囲を海に囲まれており、その一部を埋立て処分場として使えば解決できる」とお考えですか。確かに海は桜台のような住宅密集地から離れており、海岸線は無限です。処分場の立地としてどちらがふさわしいか、という発想もわかる気がしますが、いま日本の国土全体にどれだけの廃棄物が埋まっているかご存じですか。高度成長以後の４０年、我々の想像もつかぬところに大量のごみが埋められているのです。そして内陸部に中間処理施設も含め処分場をつくることは困難になりました。
　だからといって、「無限につづく海岸線のほんの一部」なら埋めてもかまわないのかどうか。それを仲間の方々と論議してみてください。産廃を企業の外に（つまり自然環境の中に）放り出すというやり方をつづける限り〝無限〟と思われている海もアッと言う間に埋め尽くされてしまうことでしょう。そしていま産業界は米屋さんのような意見が出るのを待っているのです。
　たしかに小生もあの場所につくるな、という主張をし、意見書もその趣旨で書かせてまらいました。だけどそれだから海を埋めてもいいとは思いません。ただし誰かがいったコンビナートの中に移せ、というアイデアは検討に値します。現に茨城県の鹿島コンビナートでは、激しい住民運動の末、「住宅地付近から工場団地の中へ」場所を移すことに成功しています（むろん運動内部に異論もありましたが）。
　なぜ藤前干潟の埋立てに市民も当時の環境庁も反対したのか。あれは単なる「渡り鳥保護運動」ではなく、このやり方（埋立て地にごみを捨てる）を続けている限りごみ問題は永久に解決しないと市民たちが気付いたからです。東京湾、名古屋湾、大阪湾その他瀬戸内海沿岸を無秩序に埋め立てた結果、内湾の持っている自然浄化の機能が如何に失われてしまったか。海洋王国〝日本〟はすでに窒息寸前なのです。ではその他の地域ならいいのか。だがそれをいったん許したら漁業への影響を含め、生態系を壊す乱開発につながることは必至であり、それこそ日本中が窒息する事態ともなりかねません。
　それと気になったのですが、米屋さんがいう「処分場からの有害成分が海に流出するのを防ぐ技術」とはいったいどんなものなのですか。具体的に教えてください。
　いろいろ勝手なことを書いて申しわけありません。せっかく生まれた「みどりと環境を守る四日市市民の会」ですから、十分な内部討論によって運動理念を実りあるものにして頂きたいと祈っております。

-------------

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

●地域限定日刊勝手連通信のご購読の御願い

ゴミゼロネットを始めて早４年

ゴミゼロ通信も１４０通以上これまで発行してきました。

今私、個人的異常事態が発生しています。

恥ずかしながら

私の頭の中から、ごみ問題がやや影を薄めています。

静岡県の知事選に関わりを持っているからです。

「ごみ問題・環境問題は超党派で取り組もう」というのは私の信念です。

また別の信念に基づき、今ほぼ毎日

「県政を変えよう！勝手連通信」を発行し

水野誠一さんの応援を勝手にやり始めてしまっています。

この通信はかなり内部的な通信ですので、

ゴミゼロ通信の読者の一部の方のみ送信させてもらっています。

でも、読者の皆さんの中で、「水野さん」を応援しよう。

そのために毎日（多いときは日に３回）の勝手連通信を読んでみよう

という方、ご連絡ください。

尚７月２９日以降は再び、ゴミゼロ通信はさらにパワーアップして

復活いたします

--------------------------------------
「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク（略称ゴミゼロネット）
〈第４５回定例会〉毎月第２土曜日
日時２００１年 7月14日(土)午前１０時～12時
　所　アイセル２１　３階３１集会室
--------------------------------------
内容
①生ごみたい肥化
②溶融炉・処分場問題・ネットワーク
③古着リサイクル・容リ法その他
--------------------------------------
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
☆あなたの友人のメールアドレスをお知らせください
☆ゴミゼロ通信は転送、転載、複写何でもＯＫです
☆あなたの情報、ご意見、ご感想をお待ちしております
☆※送信御迷惑な場合は遠慮なくご連絡ください！送信を止めさせていただきます
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
●●ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク●●
　☆連絡先☆