010826号ゴミゼロ通信「御殿場小山RDF底なし地獄！」

☆ゴミゼロ通信2001年８月２６日号（今号４９７通発信）
情報満載！ゴミゼロネットのホームページ　
http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/
┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●「古着のリサイクルはおまかせ！」御殿場エコハウス訪問！●

● 御殿場小山RDFの底なし沼地獄！
・故障続きの欠陥施設・維持は増える一方！
　「RDFは止めた方がよいのでは？」「私もそう思う」と担当職員
・「コストがごみ焼却方式より安い」という大嘘！
・お金をつけて売っているRDF
・急増する倉庫の保管量と保管料金
・環境に全然優しくないRDF
・RDF幻想と科学技術過剰信仰」への大きな警鐘・反面教師に
● 御殿場・小山ＲＤＦセンターとは？（紹介パンフレットより）

●　ガス化溶融炉Ｑ＆Ａ予告編

Ｑガス化溶融炉でダイオキシン問題は解決するのですか　
Ｑバグフィルターなどに金がかかっても

ダイオキシンが減るならそれでもいいのでは？
●〈第４７回定例会〉（毎月第２土曜日）
日時２００１年９月８日(土)午前１０時～12時
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┏━↓●「古着のリサイクルはおまかせ！」御殿場エコハウス訪問！● ↓━━┓

　8月20日ゴミゼロ仲間１１人でNPO法人御殿場エコハウスを訪問してきた。
　エコハウスは単なるごみ問題・リサイクルを考える市民グループというより御殿場市環境衛生課から広～い敷地と建物を借り受け、補助金をもらいながらの一大拠点だった。
　メインは年間１００t以上持ち込まれる古着。まったく売れないものを選別し、持ち帰ってもらう。良品はエコハウスで１点１００円で売る。（年間１３０００点の売上、１日１００点以上売れることも）残りは神奈川県の業者に今でも買ってもらっている。その古着はウェスになったり、今でも東南アジアに輸出されているという。（これはここ数年以上のエコハウスの実績の力。その業者もエコハウスの選別能力を評価して、有料引取りを続けてくれている）
　説明してくれた勝又さつき理事長などは「私の着ている服はここで１００円で買ったもの。靴を入れて今日の服装は３００円」「私も今日は３点３００円ですよ！」と他の人も。古着と言っても良い物ばかりに驚くゴミゼロネットの仲間。つい買いあさっていた。
　他に常時持ち込まれる廃油で固形石鹸と粉石鹸を毎日生産。アルミもアルミ箔など１０種類以上に分別してより高い工夫がされていたり、物品交換コーナーも面倒見がよく運営され、成立率５割以上の成績。
　月から金の９時～１６時までいつも１０人くらいのスタッフが忙しそうに楽しそうに活動しているようだ。
　詳報はまた別の機会に。貴方も是非時間があれば訪問していみてください。
（Ｔ）

問合せ先
特定非営利活動法人　エコハウス御殿場
〒412-0045　御殿場市川島田446-10
TEL/FAX　0550-88-3337
Email ecogoten@isis.ocn.ne.jp
HP　　http://www6.ocn.ne.jp/~ecogoten/

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┏━↓●　● 御殿場小山RDFの底なし沼地獄！●　●↓━━━━━━━━━┓

　御殿場エコハウス訪問の目的のひとつは御殿場・小山のRDF施設の訪問。
　２０日の午後はRDF施設を訪れました。
※後述　御殿場・小山ＲＤＦセンターとは？（紹介パンフレットより）参考

●故障続きの欠陥施設・維持は増える一方！
　「RDFは止めた方がよいのでは？」「私もそう思う」と担当職員

RDF施設は御殿場アウトレットならぶ観光コースのひとつとか。訪れた施設は真新しい近代設備の風貌。担当職員に通された管理棟の中の会議室。焼却施設などにも見られるビデオルーム。

　異変は最初からあった。私達を引率してくれたエコハウスの勝又さんに担当者が「ビデオはやめましょうか？」「すばらしいビデオだから見ましょう」と勝又さん。
ビデオはいかにRDF施設が環境にやさしく、すばらしい設備であるのかでうめつくだされていた。もちろん現実は連日報道された施設内の事故、売れ残るRDF、維持費・予算の膨張と悪い話ばかりである。
　ビデオを見終わって、担当職員との質問と意見交換の時間。

少々意地悪だと思いながらもその途中で

「まことに失礼ながらRDFは止めた方がよいのではないでしょうか？」

と私、優しく？切り出してみた。
「私もそう思う」

「もう真実は相当報道されているから、とりつくろってもしょうがないから…」

と担当職員。一同苦笑とため息。

「どうなってるの？」理由はだんだんわかってきた。

　後ほど見せてもらった「御殿場市・小山町広域行政組合だより2001.5．21号」（以下たより）に回りくどい、わかりにくい表現ではあるが、A4版６ページにわたりかなりの真実が書かれてある。
　
「たより」によれば
ＲＤＦ選定理由として以下の４点を上げ
①ごみ焼却より、環境負荷が軽減。
②貯留や輸送が可能で、廃棄物のエネルギーを随時有効利用。
③プラスチック類も資源化ができ、結果的に最終処分場の延命効果がある。
④法律等に示された施策に合致。また、施設の建設費、維持管理費ともに低廉
尚且つ
「建設費は高いが燃料消費量が節減できるなど維持管理費を含めた十五年間の総コストは、安いし、運転管理、保守、点検が容易であり、施設規模としては中・大規模施設に向いている」
という理由でRDFにある二つの方式のうちJ・カトレルシステムを採用したとある。

しかし、これらの理由がすべてウソで塗り固められたものだったのだ。

●「コストがごみ焼却方式より安い」という大嘘！

　静岡市を例に取れば、ゴミを収集運搬して、焼却処分、埋立する場合、焼却・埋立費用は施設建設費を別にすれば現在１kg１０円程度である。
　御殿場市・小山町広域行政組合（以下広域組合）は当初、運転コストは５～７円/kg程度と住民に説明していたようであるが、実は「たより」によれば当初から１３．３円/ｋｇを見込んでいた。最初から焼却よりコスト高だったのだ。

　しかし、いきなりの火災事故、大型ごみの選別不能、金属ごみ混入による施設の破損等の問題続きの中、動き始めて２年目の2000年度は２４．７円/ｋｇ、今年度の予算では何と２８．４円/kgのコストがかかることになっている。（いずれも「たよ
り」より）実に焼却方式の３倍である。
　「たより」はこのコスト増の原因を「設備の維持に多額の経費」として機器の高度化複雑化により保守管理作業をメーカーに委託したこと、市民の分別不徹底による金属類の混入により破砕機の刃等の交換回数の増加等を上げている。

　1年間に処理されるゴミ約３万トン、処理コスト２８．４円/ｋｇ、つまり年間経費８．７億円。しかしこれだけでは済んでいなかった。RDF総予算は年間１３．３億円である。
（2001年度）その差額４．６億円は？

●お金をつけて売っているRDF

　ごみがこのRDF施設を１kgあたり３０円近くのお金をつかって固形燃料になっている。この固形燃料が有益なものであればまだ救いようがある。
　「RDFはいくらで売れているのですか？」「５００円/ｔ（=50銭/ｋｇ）です」と担当職員。「はぁ～」と一同絶句。ただ同然である。しかも「運賃は広域組合持ちです」ときた。
　調べてみれば名古屋と兵庫へそれぞれ年間5000ｔ程、RDFを出荷しているが、運賃を１kgあたり、１４円と１０円くらい負担しているという。
　「運賃負担があるから管内（御殿場周辺）消費をしたいのですが」と担当職員。
　現在中外製薬と公共の温泉施設等へ管内ではRDFを売っている？がこれもまた運賃負担があるので実質1．4円/kgの広域組合負担。

●急増する倉庫の保管量と保管料金

　「それでも出荷できていればいい方で…今8000ｔのRDFが倉庫で眠っている…」と担当職員。
調べてみれば、

1999年度余剰分 1,700ｔだったのが2000年度は4000ｔにもなって計5700ｔ。
今年度当初予想余剰分を2300ｔで2001年度末に8000ｔの余剰予測をしたもの
すでに8200ｔ(7月末）このまま行けば2001年度余剰分7500ｔで計13300ｔ。

1999年度余剰分 1,700ｔ
2000年度余剰分 4,000ｔ
2001年度4～7月余剰分 2,500ｔ
2001年度予想余剰分 7,500ｔ

というふうになっていた。
RDFは１ｍ各程度の大きさの袋に入れられ保存されている。
１袋６９０ｋｇだそうだ。RDFが水に濡れたら使用不能。
1袋1月あたり750円の保管料は相当かかる。最近は３５０円/袋・月の契約の倉庫をみ
つけたそうだ。
ざっと計算すれば
年間１ｋｇあたり６円～１２円の保管料がかかる。

なるほど県外へ１０円～１４円/ｋｇでお金をつけて売るより６円～１２円/kgの保管料を使った方が安い場合もある。もちろん翌年管内で１．４円/ｋｇで売れればである。

「たより」でも管内消費を優先とある。何故売れないのだろう？

●環境に全然優しくないRDF

「ただで売っているのに何故そんなにRDFが売れないのですか？」
「RDF施設ないでもRDFを生産するのにボイラーの発熱装置が必要。それをRDFでまかなおうとしたらダイオキシンが規制値以上に出る可能性があって使えないのです」との説明。
つまり、RDFの技術が検討された時期はこんなにダイオキシンのことが問題になっていなかったのだか、RDF施設はダイオキシンの発生を抑えるには相当問題がある。だからRDFを燃料とする施設はコスト高にもなるし、敬遠されがちのようだ。
もっとやっかいなことはRDFを燃やせば約2割が（普通の燃料２倍以上）焼却灰になる。その処理コストも膨大だ。

※RDFは処分場いらずの施設というが、御殿場・小山のゴミの処分場が要らないだけ
で、どこかでその焼却灰の処分場が産業廃棄物として必要になってくるという意味。

●RDF幻想と科学技術過剰信仰」への大きな警鐘・反面教師に
　
　2000年度御殿場・小山で28000tのごみがRDFへ運ばれ、17000tのRDFに生まれ変わっ
たという。（ごみ重量の約６割のRDFに生まれ変わる）2001年度の予算は13.3億円。
（決算はもっと増えそう）１kgのごみをRDFにするために４３円（焼却・埋立の4倍以上）の計算だ。もちろん８０億円の建設費は含まれていない。

「たより」は市民に対して、ごみ排出時の分別を呼びかけている。不適物は１個混じれば故障の原因になる。
止めないで当面使い続けるとしたらどうしたらよいのか答えが出てこない。仮に生ごみがほとんど混じらないRDFなら品質が向上して、引き取り手が増える可能性があるという。

　御殿場エコハウスでは御殿場市の委託を受け市民による生ごみの集団分別回収のモニター実験もやっているが道は険しそうだ。
　私達の質問攻めに終始にこやかに対応してくれた職員のNさん。
「早く、担当を変わりたいでしょう？」と最後に質問をすれば
「それはみんなの願いです」との回答。
「いっそ爆弾でも投げ込まれて壊れてしまえば、なんとかなるのに」と公言する職員
もいるとか（エコハウス勝又さん談）

RDF施設内の階段わきには小学生の見学者が書き残していったと思われるメッセージがあった。
「RDFさんありがとう」
どこの施設にもありがちなメッセージ。しかし、小学生に何と説明しているのだろう。

「RDFを今すぐ止めても、そのごみは？」御殿場・小山の行政も住民も恐ろしい「RDF底なし沼地獄」へ入り込んでしまったようである。
　RDFの「良し悪し論争」は終わった。全国の自治体でまだRDFを検討しているところがあれば御殿場・小山へくれば良い。
RDF幻想の真実はすぐにわかるだろう。
御殿場・小山の行政と住民を巻き込んだ「悲劇」は「RDF幻想と科学技術過剰信仰」への大きな警鐘・反面教師となり今後RDFを作ろうという自治体・広域組合が生まれなければ、少しは行政も住民も救われるだろうか。
（T）
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┏━↓● 御殿場・小山ＲＤＦセンターとは？（紹介パンフレットより）●↓━━━┓

Refuse（廃棄物）Derive（得る）Fuel（燃料）
＜施設名＞御殿場市・小山町広域行政組合ごみ固形燃料化施設
（御殿場・小山RDFセンター）
＜所在地＞静岡県駿東郡小山町桑木４４５－１
＜敷地面積＞２２，２８８㎡
＜建物及び延床面積＞工場棟6,360㎡管理棟1,032㎡その他232㎡
＜建設工事費＞７９億２千７０万円(契約金額)
＜着手＞平成７年10月16日
＜完成＞平成11年３月10日
＜設計・施工＞J-カトレルグループ

三菱商事・石川島播磨重工・荏原製作所・フジタ共同事業体
＜処理方式＞固形燃料化方式 RDF(J-カトレル方式)
＜処理規模＞150t/15h(5t×15h×2系列)

＜代替エネルギーになる固形燃料です＞
RDFは原料となるゴミを約３分の2に圧縮、また乾燥しているので、コンパクトで運搬が容易です。石炭の2分の1のエネルギーを有していますので、石油や石炭などの代替エネルギーとして、マクロ的な観点からみても環境負荷の軽減に貢献します。

＜長期保存が可能です＞
RDFは添加物の作用に加え、乾燥しているので長期保存をしても腐敗しにくく、ごみの臭いもほとんどありません。

＜地域へ還元できるリサイクル型エネルギーです＞
RDFは、温熱・冷熱・電気などとして、地域へ還元できるリサイクル型エネルギーです。例えば、一般家庭から排出されたごみから成形したRDFを燃焼させ、地域冷暖房としてオフィス・文化施設・スポーツ施設へ供給することが可能です。現在御殿場市内の温泉センターや製薬会社の研究所用冷暖房の燃料として再利用しています。

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┏━↓●　●　ガス化溶融炉Ｑ＆Ａ予告編 ● ●↓━━━━━━━━━━━┓

津川さんからガス化溶融炉のＱ＆Aの草稿の一部が届きました。
是非参考にしてください。
ご意見・ご感想もお待ちしています。
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津川　敬（環境ジャーナリスト）
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Ｑガス化溶融炉でダイオキシン問題は解決するのですか　

◆ダイオキシンは二度生まれる
「一三○○度以上の高温だからダイオキシンは苦もなく分解しますーーー」。溶融炉メーカーは例外なくこういって自治体をケムに巻きます。だが冷静に考えればダイオキシンが高温で消滅するわけではないのです。　
　アメリカニューヨーク州セントローレンス大学の化学教授ポール・コネット博士はある講演の中で次のように話しています。
「一九八五年にドイツのバイロイトで開催された国際ダイオキシン会議で、なぜ高い温度だけではダイオキシン問題が解決しないかがはっきりしました。排ガスが焼却炉を出たあとでダイオキシンが再度発生することがその会議で明らかにされたのです」（一九九八年にアムステルダムで行なわれた第四回国際経営会議での講演から）。
　では焼却の過程でダイオキシンはどのように発生するのでしょうか。そのメカニズムは複雑で、十分解明されてはいないのですが、とりあえず二つのルートがあるといわれています。すなわち、

　　焼却炉の中でクロロフェノール、クロロベンゼンなどの前駆体が発生し、それがダイ　オキシン類になる（プレカーソル反応）。
　　炉から出る排ガス処理過程で塩化水素や酸素、一酸化炭素が*ばいじん中の塩化銅、　亜鉛、コバルト、マグネシウムなどの重金属類に触れダイオキシン類が再合成される。　排ガス温度が三○○度前後でそれが最も顕著になる（デノボ反応）。

　これに対し、ダイオキシンの分解とはどんな状況を指すのでしょうか。
　図のようにダイオキシンは二個の*ベンゼン環が酸素でつながれ、そこに塩素がつくことで生成されます（ジベンゾフランは酸素一個）。
　ここでいう分解とは生成されたダイオキシン類が八○○度以上の高温によってブリッジ役の酸素が切断され、塩素が脱離する現象を指します（脱離とは脱着ともいい、化学用語のひとつです）。平たくいえば「塩素分がベンゼン環から剥がれること」ですが、ベンゼン環そのものは壊れません。排ガス処理過程で再合成に寄与することになります。　
　もともと分解の定義は「一種類の物質から二種類以上の物質を生じさせる化学変化」のことです。たとえば後段で紹介する「触媒」によってダイオキシンが炭酸ガスと水になるような反応が本来の分解ですから、前記の現象をダイオキシン分解と呼ぶべきかどうか、疑問が残ります。
　しかも　の燃焼過程で出るダイオキシン類の量より、　の排ガス処理過程で合成される量の方が一○○倍も多いといいますから、「一三○○度の高温でダイオキシン分解」というメーカー側の宣伝はきわめて作為的というほかはありません。ただし「分解イコール消滅」と思い込んでしまう側も問題なのですがーーー。
　では排ガス処理過程でどのようにダイオキシンの再合成を防ぐのでしょうか。

◆バグフィルターの前に活性炭
　ダイオキシン類は大部分が*ばいじんに含まれていますから性能のいい集じん装置が必要です。以前は*電気集じん機が主流でした。この装置の特徴は排ガス温度三○○度前後で運転せねばならぬことで、それ以下の温度（たとえば二○○度）では*低温腐食という不都合が起きるからです。
　ところが前項で見た通り、三○○度というのはダイオキシン類の再合成にとって最も都合のよい温度域なのです。六○年代半ばから八○年代はじめまで、「最新鋭の公害防止装置」だった電気集じん機は一転して「ダイオキシン製造装置」との汚名を着せられ、それに代わって登場したのがバグフィルターでした。
　バグフィルターは「袋状になったフィルター」のことで、フェルトやガラス繊維を使った濾布（ろふ）でばいじんを捕集する装置のことです。その濾布に堆積したばいじんが濾過効果を高めるため非常に微細な粒子までとることができるといわれています。
　だがひとつ問題があって、焼却炉から出る排ガスと溶融炉から出る排ガスの性状が違うことです。
　ひと言でいえば溶融炉から出る排ガス中のダイオキシン類は大部分ガス状になっているため、バグフィルターの捕集能力が弱い。つまりガス状だから濾布をスリ抜けてしまうのです。そこで用いられるのが*活性炭です。
　空調機のフィルターや冷蔵庫の脱臭などでおなじみの吸着剤が活性炭で、バグフィルターに入る前の排ガスにこれを吹き込むことでガス状ダイオキシンを炭素分リッチにし、捕集しやすくするのです。
　活性炭には粉末状と粒状がありますが、粉末活性炭を吹き込む方式では排ガスに万遍無く当たらない可能性があるともいわれています。そこで最近では粒状活性炭（粒径四～二○ミリ）を吸着反応塔に収納し、その中に排ガスを通す方法が開発されています。この場合、ダイオキシンだけでなく硫黄酸化物、窒素酸化物、重金属類も除去できるというのが開発メーカーのいい分です。いずれにしても溶融炉においてはトンあたり平均一○万円もする活性炭を使わなければ、バグフィルターの機能が発揮できないということです。
　しかしいま問題となっているのは使用済み活性炭の始末です。そのまま炉に投入すればまた有害物質が出てきます。再加熱して活性炭を再生するというメーカーもありますが、全量をリサイクルできるわけではなく、その分コストも嵩みます。
　活性炭の使用はまた別のところで問題を起こしています。溶融飛灰の有力なリサイクル手段として注目されはじめた*山元還元にとって活性炭が障害になるというのです。
　ある研究論文は「活性炭の安易な使用は山元還元を志向する場合、考慮を要する」と指摘しています（古角雅行ほか「溶融排ガスに対するバグフィルターの適用と問題点」第９回廃棄物学会研究発表会論文集）。
　これに対してもうひとつの〝商品〟が登場しました。それが触媒です。

◆金がなければ触媒はつけられない！
　触媒とはそれ自体変化せず、他の物質の化学変化を仲介し、その速度を早めたり遅らせたりする物質のことです。たとえば窒素酸化物をアンモニアに反応させ、窒素と水に変える際、酸化バナジウムを触媒に用います。九六年前後からはダイオキシン類の分解に触媒を使う動きが加速してきました。これにはチタン系の金属が使われており、通常は図のように触媒反応塔をバグフィルターの下流に設置します。反応塔の中には一五センチ角のハニカム（蜂の巣）状の触媒がギッシリ詰め込まれています。このほかにステンレスを板状に重ね、その表面に酸化チタンを塗布する構造のものもあります。
　この分野でトップ企業の㈱日本触媒ではその利点を次のようにあげています。

　　触媒でダイオキシン類を炭酸ガスと水に分解するので二次処理は不要
　　九九％の高効率で分解可能
　　アンモニアを添加することで窒素酸化物の分解も可能
　　ばいじんによる触媒の目詰まりがなく、触媒層の圧力損失が少ない
　　コンパクト、省スペース、低コスト　　　　　　　　　　　　（同社カタログより）
　これは活性炭方式が持つ弱点、「使用済み活性炭の処理が必要」「ランニングコストが高い」「設置スペースが広くなる」「高圧損失が不可避」などに対する自社優位宣伝そのものです。実際はどうなのでしょうか。
　まず触媒に用いるチタンなどの金属は高価で、劣化が激しいのです。特に排ガス温度が三○○度以下になると触媒の活性（特性）が低下するので、通常は三五○度から四○○度で使用するのですが、最近では塩化水素、硫黄酸化物、水銀、ダイオキシン類は温度が低い方が除去率が高いので、一五○度から二○○度でバグフィルターを通します。触媒は目詰まり防止のためバグフィルターの後に設置されますが、活性を低下させないため、排ガスを再加熱させるなどの複雑な操作が要求されるのです。
　また窒素酸化物を同時除去する必要からアンモニアを添加するのですが、その副産物として*酸性硫安（硫酸アンモニウム）が生成されます。それが触媒の劣化を加速させ、後部機器の閉塞をもたらす可能性もあるのです。酸性硫安に腐食性があることと、固形化して触媒の命ともいうべき細孔を塞いでしまうことで、処理する廃棄物の質が悪ければ悪いほど劣化は早いということです。
　数年前（九七年ごろ）あるメーカーを取材した時、そこの技術者がふと漏らした言葉が印象に残っています。
「触媒は高いですよ。金のない業者（自治体）はとてもつけられません。つけたとしても劣化するたび交換ができるかどうか」。
　それを裏書きするようなケースが九八年一一月、熊本県菊池市で起きています。㈱九州産廃という業者が一日当り一○○トンの処理能力を持つ溶融炉（ロータリーキルン）を日立造船に発注したのですが、その際、触媒反応塔をつけなかったのです。
　当時、住民は建設に絶対反対でした。しかし菊池市当局は住民の合意を得ぬまま公害防止協定を結び、稼働を認めてしまったのです。その時、ダイオキシン数値については新ガイドラインどおり一立方メートルあたり○・一ナノグラムに決めたのですが、測定結果は二・四ナノグラムでした。業者としては暫定基準八○ナノグラムは十分クリアしているから問題ないという姿勢でしたが住民は納まらず、一時はプラントを撤去する、しないという騒ぎにまで発展しました。ちなみにプラント全体の建設コストが約二五億円で、そのうち触媒反応塔が二億円もしたのですから、業者がそのコストを〝節約〟したかった気持ちもわかるような気がします。
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Ｑバグフィルターなどに金がかかっても

ダイオキシンが減るならそれでもいいのでは？

◆扱いにくいバグフィルター
　ことはそう簡単ではありません。まずバグフィルターに対する過度の期待が横行していることです。バグフィルター信仰といっても過言ではないでしょう。バグフィルターはあくまで粉塵やばいじんの濾過装置であって、ダイオキシン除去装置ではありません。
　まず構造的に濾過させる温度が高くできないため、オペレーターはその運転にかなりの神経を使います。焼却炉で八○○度前後、溶融炉で一二○○度前後という高温排ガスを一気に二○○度以下に冷却する技術はまだ未成熟であり、温度が下がり切らねば濾布は焼損してしまいます。排ガス温度が低すぎても結露ができ、そこに吹き込んだ消石灰が付着しても目詰まりが起きます。そのため、以前は排ガスをそのまま逃がすバイパスなどが設けられており、現在でも使われている気配があります。
　つまりかつての電気集じん機にくらべ相当に扱いにくいということです。それは排ガスを通す速度と関係があって、電気集じん機を通る速度が一秒あたり一メートルに対し、バグフィルターは一メートル通すのに一分はかかるのです。
　電気集じん機は静電気の原理を応用したもので、ばいじんをイオン化させ、その粒子をマイナスの電極に吸着させるのですが、クーロン力（一アンペアの電流が一秒間に運ぶ電気量）が強いのでスピードがあっても捕集は可能なのです。しかしバグフィルターは吊した毛布に空気を吹き付けるようなもので、排ガスの速度を速くすると圧力がかかって目詰まりなど、思わぬトラブルを起こすことがあります。
　昨年（二○○○年）、神奈川県高座清掃施設組合の焼却炉でバグフィルターに穴が開いた事故があり、その原因を施工者の石川島播磨重工業（ＩＨＩ）はこう推測しています。「①流速のピーク時に粒径の大きなダストが濾布表面に衝突し、それが繰り返されて破孔に至る、②平均流速（ピーク時を含む）が設計値より速いため、粒径の小さなダストでも高いエネルギーを持ち、磨耗が進行して破孔に至る」（事故報告書より）。
　新エネルギー・産業技術総合開発機構（ＮＥＤＯ）が九九年度からはじめた「都市ごみ焼却施設におけるバグフィルターに関する調査」によれば、一○のトラブル項目のうち、最も高かったのは「破損等濾過布に関するもの」でした。同年度だけで濾布に孔が開くなどの事故が全国で二七件もあったのです。
　調査は全国七九の都市を対象とし、八四％の高いアンケート結果が得られています。以下項目は「ダスト排出装置のトラブル」「払い落とし装置のトラブル」「腐食・磨耗」などとつづきます。
　その意味で今年（二○○一年）起きた千葉県野田市のバグフィルター損傷事件は象徴的といえるでしょう。

◆濾布をケチった？大メーカー
　今年四月八日、野田市（約一二万人）の清掃工場（八四年竣工、三菱重工業のストーカ炉・一四五トン）で約六○○本あるバグフィルターのうち、七八本の濾布に穴が開いていたことが発見されました。
　同市は昨年（二○○○年）、約一○億円をかけ、それまでの電気集じん機をバグフィルターに交換するなどの改修工事を行い、同年七月から稼働をはじめました。ところが今年三月一六日に実施されたダイオキシン測定で、ばいじんが通常の約一○○倍出ていたことが判明しました。その事実を受け、四月初旬に炉を緊急停止して点検したところ、先のトラブルが発見されたのです。
　施工者である三菱重工業側の説明によると、排ガスを均一化して濾布に流す整流板という装置に欠陥があったとのことです。その結果、拡散されない排ガスが一部分に集中して濾布を破損させた、というのが結論でした。市民がそれを知ったのは新聞報道によってです。しかしなぜ整流板なる機構にトラブルが生じたのか、新聞は触れていません。
　五月に入って地元自治会が市に情報の公開を求めたところ、すでにその半月前に事故報告書は三菱重工業側から市に届いていたのです。市側も情報隠しをやっていたわけです。　だが事故の原因はもうひとつありました。三菱重工業が使った濾布がＫという国内メーカーがつくったガラス繊維製品で、値段も安かったことがわかったのです。現在は一般的にテフロンとガラス繊維を混紡したテファイヤー（商標名）が使われていますが、これは世界的化学メーカー・デュポンの特許製品です。
　ガラス繊維は標準寸法（直径約一六センチ、長さ約三メートル）で一万三○○○円程度ですが、テファイヤーはその三倍です。しかもデュポン側はこのところ、さらなる値上げをいい出しているそうで、中小のバグフィルターメーカーは困惑しています。
　いずれにせよ〝天下の重工〟が結果として「安い濾布」を使ったことは間違いないのですが、このことから金をかけなければ他の清掃工場でも同じような懸念があることを意味しています。もっとも前出の神奈川県高座清掃施設組合が入れたバグフィルターの濾布はテファイヤーだったそうで、「高い濾布」だから安心というわけでもなさそうです。

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┏━↓●　●　１週間で届いたお便りメール ● ●↓━━━━━━━━━━━┓

いつもはほとんど反応がないゴミゼロ通信。でも今回は津川さんも含め沢山の方から励ましのメールやら御言葉をいただきました。これからも宜しくお願いします。

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残暑お見舞い申し上げます。
いつもゴミゼロ通信有難うございます。文中から壷坂さんの大変な努力と汗を感じながら読ませて頂いております。これからも期待しています。頑張ってください。
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ゴミゼロ通信復活お慶び申し上げます

選挙の時の「勝手連通信」　活動する上で励ましになりました。
常に情報がある、ってことは選挙が身近に感じられ、こんな私
でも動かされたのだと思います。
結果は残念でしたが、これからの動きもあるようだし、時々の
「勝手連通信」を送ってくださるのであれば、私もできることから
参加させてもらいます。

選挙が終わり、子供のいる夏休みも一段落、私の活動も始動
はじめました。
エコクッキングと題し、主婦を集めての調理会をしました。
私たちのグループですすめている「杉チップを使っての生ごみ
処理容器」の普及もかねてのものです。参加者は8名（少ない」
ごみを減らすため・家計のため　私たち主婦のできることを考
えました。
エコクッキングーーと考えて毎日の調理が苦しくならない
ようにしましょう。と先生の助言でした。
家族が少なくなったら、小さなおなべを使いましょう。
　・エネルギーのため、残り物をなくするため、
旬のものを食材に
　・新鮮な食材は傷みも少なく、火力も少なくってもいい・・・・などなど
最初の一歩　ってこんなことからなんです。
8月末に、情報紙を作ります。
私たちのグループのささやかな活動の発表の場とします。

11月に開かれる消費者展では目標200枚のマイバックをグルー
プで作り、売ります。
でも、私個人はそんなことを活動の基盤にしたくないと思って
います。
たとえばマイバックを持つ意味を深く考えたい
行政に対してある面では協力し、学習したこと・生活から生み出
したことを提案したい。町民にも広げたい。　
そこから考えたい。
そこが、ほかのグループ員と違うつらいこと・・・

パソコンの調子が悪く全部入れ替えてしまったので、取っておき
たい「ごみゼロ通信」が消えてしまいました。
ｈｐから探します。

再開を待ち焦がれていましたので、うれしくってメールをしました。
私のこのメールもちゃんと送れるでしょうか
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　下記のゴミネットの内容は、びっくり！
　山梨の人の話も、びっくり！　どうするか？？

●清水市は海洋投棄！
・浸出水は垂れ流し？山梨県から質問メール
・処分場は海洋投棄！でも浸出水はキチンと管理
・焼却灰はもろ出しで直接海へ！
・どれだけの清水市民が知っているのだろう？
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いつもＭＬの配信をありがとうございます。
遅くなりましたが
「ゴミゼロ通信」の再開おめでとうございます。
相変わらずのパワフルさに驚きです。
これからも情報提供お願いします。
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＜独り言＞

　何から伝えれば良いのだろう？何から整理すれば良いのだろう？いたずらに時間が過ぎていくような。それでも反応があって大感激。

　時計の歯車はやはり刻々と刻まれている。

どこかで逆回転できることを願いつつ…

　今日のテレビ静岡の「特報！しずおか」静岡市の灰溶融炉導入を取り上げていただきました。１５分の番組（実質１０分ちょっと）で「処分場の危うさ、溶融スラグの危険性、とにかく大量生産・大量消費にメスをいれなければ」としっかり表現されていたすばらしい番組だったと思いました。

でも日曜の早朝、という時間どれだけの人がみてくれたでしょうか？

ゴミ処理にお金がかかっている。とくに灰溶融炉は６０億円以上の施設だといことやダイオキシンに対する不安が実は解消していないことは残念でしたが、時間の関係上不可能だったと思います・

テレビ静岡の舘石記者さんどうもありがとうございました。

マスコミの皆さん！これからもよろしくお願いいたします。

　（Ｔ）
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク（略称ゴミゼロネット）
参加費１００円で誰でも参加できます
〈第４７回定例会〉毎月第２土曜日
日時２００１年９月８日(土)午前１０時～12時
　所　アイセル２１　３階３４集会室
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内容
①生ごみたい肥化
②展示会（環境展）
③その他
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│Email mirai2@bj.mbn.or.jp future2@nyc.odn.ne.jp
│HP　http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/　　　　　　　
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