☆ゴミゼロ通信2003年5月25日号(今号514通発信)
情報満載!ゴミゼロネットのホームページ 
http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/
┏━↓ 今日の話題のダイジェスト↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
●吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会開催決定
<吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会>ダイオキシンは安全か!?
日時 2003年7月5日(土)13:30〜16:30
場所 アイセル21 会議室
・<吉津ダイオキシン汚染とは?>
・「ダイオキシンは安全!?」市民集会参加の呼びかけ
●吉津ダイオキシン汚染を考える 壷阪道也
・3月24日の住民説明会で起こったこと
・「第2、第3の吉津をつくらない!」と新担当課長が言うけれど…
・公開されたプロジェクト会議録
・何故撤去をしないのだろう?
●<資料>吉津ダイオキシン汚染土に関する静岡市の決定
●「ダイオキシン 神話の終焉」この本の何が問題か?
●集会情報
・7/5 吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会実行委員会
6月5日(木)19:00〜 NPOセンターにて
・「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク
〈第68回定例会〉6月14日(土)午前10時〜12時
 所  アイセル21 3階33集会室
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吉津ダイオキシン汚染に関する過去のゴミゼロ通信
03年1月20日号 http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/030120.htm 
02年10月28日号 http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/021028.htm 
02年10月13日号 http://plaza25.mbn.or.jp/~gomizeronet/021013.htm 

┏━↓●吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会開催決定●↓ ━━━━┓
<吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会>ダイオキシンは安全か!?
7月5日集会チラシPDFファイル109kb 
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/shiryou/yoshidu/7-5chirrashi.PDF 
日時 2003年7月5日(土)13:30〜16:30
場所 アイセル21 会議室
講演 「ダイオキシンは安全か?吉津ダイオキシン汚染を考える」
 藤原寿和氏(化学物質問題市民研究会代表)
報告  「吉津ダイオキシン汚染の現状」 吉津地区住民他
その他 質疑討論等
参加費 500円
主催 市民集会実行委員会
問合せ先 
壷阪道也 054-257-3177
大橋裕子 090-7225-3231
オレンジテーブル 054-209-8218
大橋不二夫054-278-7013

協力団体募集中!
 <協力団体>5月25日現在
清流ネット静岡
静大環境サークル“リアカー”
アスベストについて考える会
オレンジテーブル
清水地球村
静岡地球村
「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク

●<講師プロフィール>
藤原 寿和[ふじわら・としかず]さん
1946年 茨城県に生まれ 
1970年 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
2002年4月 現職・環境局多摩環境事務所管理課火薬電気係に
[学会] 廃棄物学会  
[所属]
「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク」事務局長
化学物質問題市民研究会代表
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議常任幹事
残土・産廃問題ネットワーク・ちば代表
有害化学物質削減ネットワーク事務局長
カネミ油症被害者支援センター事務局長

●<吉津ダイオキシン汚染とは?>

 安倍川への合流点から藁科川沿いに2〜3キロのところに静岡市吉津地区がある。その地域の3ヶ所に大橋解体(現在廃業)が20年以上も産業廃棄物の野焼きとその焼却灰の埋立処理をし続けた。10数年前から町内から静岡市に要請し続けたが、静岡市は指導をしたものの業者は結局従わず、一昨年倒産してしまった。(静岡市の指導のあり方も甘かったという批判もある)昨年の夏、住民によるダイオキシン汚染調査が行われ、3326pg-TEQ/gがマスコミにも報道され大きな社会問題となった。業者が倒産してしまっている今となっては静岡市の代執行による汚染土の撤去が求められているのだが、静岡市は去る5月中旬に撤去しないことを決め、5月25日現在、住民説明会の予定すらないという。

●「ダイオキシンは安全!?」市民集会参加の呼びかけ

 20年以上続いた解体業者による野焼きと焼却灰山積み放置の吉津ダイオキシン問題について去る5月中旬静岡市はダイオキシン汚染土を実質的に撤去しないことを決めた。
 「生活環境保全上の支障が生じていない。また生じるおそれも無いと考えられる。」が静岡市の結論である。住民が昨年7月に行ったダイオキシン値調査で3326pg-TEQ/g、静岡市が解体業者に行わせた調査結果でも150〜1500pg-TEQ/gという値が検出されている。静岡市新沼上清掃工場の飛灰のダイオキシン値550pg-TEQ/g(00年9月調査)を考えると到底、生活環境保全上の支障が生じないとは考えられない。(注:焼却時発生のダイオキシンの90%が飛灰に含まれていると言われ、ダイオキシン類特措法の完全適用により、管理型処分場にすら飛灰は直接持ち込めなくなった)
 何故静岡市は「支障が生じないし、生じるおそれもないと考えられる」と結論を出したのだろうか?
 3月24日の吉津住民に対する説明会の席上で、説明会の静岡市側の最高責任者は「ダイオキシン−神話の終焉」という本を紹介しながら、住民のダイオキシンに対する不安の訴えに対し「…奇形への影響もまったく根も葉もないと言っている学者もいる。是非そういう本もありますので…」等々と2時間近くに渡る説明会の半分近くを「ダイオキシンはそんなに危険ではない」かのごとくの説明を行ったという。もちろん、これは説明者の個人的意見であると信じたい。何故なら、この本は説明者も含めた静岡市廃棄物行政にとっての憲法とも言える昨年12月1日に本格適用された「ダイオキシン類対策特別措置法」を真っ向から否定する本だからである。
 この本の中で共感できる部分も確かにある。特に「あとがき」の「ダイオキシン類対策特別措置法の本格適用にも関わらず、マスコミ・市民運動・学者もダイオキシンに関して沈黙している」との指摘である。「ダイオキシン問題を風化させてはならないのでは!?」との思いを込めて、吉津ダイオキシン汚染とこの「神話の終焉」の本をきっかけに、今風化しかけている「ダイオキシン」ついて今一度考えるキッカケになればとこの集会を準備した。
多くの市民の方の参加を心よりお願い申し上げる。(市民集会実行委員会)

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┏━↓●吉津ダイオキシン汚染を考える 壷阪道也●↓ ━━━━━━━━━┓

●3月24日の住民説明会で起こったこと
・「ダイオキシンは安全!」と言わんかばかりの担当責任者
・プロジェクト会議では「住民に正しいダイオキシンの情報を」の意見の記録
・説明を求めても、担当責任者は私に会ってくれなかった

 去る3月24日吉津地区で静岡市は住民に対する説明会が行われ、そこに参加した前田由紀子静岡市議会議員が、説明会の模様をテープに録音をしており、私はそのテープを後で聞くことができた。
 担当責任者が「ダイオキシン-神話の終焉」の本の紹介らしき説明が各所で行っている。何度も聞きなおす中で、どうも気になって仕方が無かった。テープ起こしまでして、ゴミゼロネットの仲間にも意見を求めた。「うまく話しているねぇ〜」というのが一様の反応だった。確かに、その説明会の発言は「神話の終焉」を全面賛美はしていないし、「環境省に従って行っていく」とも強調している。それでも、この本の説明が大半を占める説明会だったのだ。

 去る5月16日にその説明会で担当責任者であったA課長に事前にお話しをしたいと申し入れたのだが、「すでに担当責任ではないし、申し送りもしてある。あなたと話すことは一切ない」としっかり断られてしまった。私は「『神話の終焉』の紹介は個人的な判断でされたと信じたいので、個人的にお話ししたい」とも切り出してみたが、「すべて申し送りしてある」との答え一点張り。あの本の紹介は組織的承認の元にやられたのだろうか?と疑ってしまう。

 公開された「建設残土処理検討プロジェクト会議録」によれば、第5回(2月18日開催)では「住民に対してダイオキシンに関する情報を正しく伝えることが必要である」という意見の記録がある。
 この会議の決定に従って、住民説明会では執拗なまでに「ダイオキシンはそれほど心配はない」かのごとくの説明があったのだろうか?

 5月16日はA課長の代わりに担当のBさんと話しができた。
 「プロジェクトチーム会議の決定に従って、A課長は説明会であの本を紹介したのですか?『ダイオキシン特措法を完全否定する本』を説明会だけでなく、何度も住民に紹介しているのは一般的な意見紹介の枠を大きく越えているのではないですか?」
 Bさんは「あの時の本の紹介は問題ないと思います。法律の遵守は私たちの務めです」と繰り返すだけだった。
 後で聞いたことなのだが、A課長が私に会わないのは「ゴミゼロネットのホームページで吉津についてあることないことを書いている」かららしい。確かに、訂正申入れされたことはあるが(参考 ゴミゼロ通信03年10月28日号)、あることないことを書いている間違いだったとは到底私には思えない。(見解の相違だろうか)

●「第2、第3の吉津をつくらない!」と新担当課長が言うけれど…
・指導のあり方の反省は静岡市にあるのだろうか?

 5月16日に担当のBさんとお話しする際、その上司であるC課長と雑談程度のお話しをした。
「以前A課長も吉津の大橋解体に関する静岡市の指導は反省するところもあるという発言を聞いたことがあるのですが、どんなことを反省しているのですか?」と私はC課長に尋ねました。しかし、C課長は「大事なのは第2第3の吉津をつくらないことが大事だ」と繰り返すだけで、具体的なことは言わなかった。

 吉津に野積された焼却灰は産業廃棄物である。その適正処理(片付け)責任はその排出事業者にある。産廃まで税金を投入して処理していたのでは、事業者は廃棄物を出しっぱなしになってしまうので、自己責任=排出者責任を明確にすることが重要である。それには異論などない。(ただ住民の安全を守る意味では別ではあるが)

 しかし、吉津の場合は少なくとも野焼きと産廃焼却灰の自家処理が実質的に禁止された平成4年7月(92年7月)以降の静岡市の指導のあり方に問題はあったのかどうかは静岡市の道義的責任を問われるところであり、「第2第3の吉津を作らない」というなら、より具体的な反省が求められると思う。

 92年2回、94年11回(内文書指導1回)、95年3回(内文書指導1回)、96年1回、97年1回、98年9回(内文書指導1回)、99年6回(内文書指導1回)、01年1回、02年4回、合計39回が公開された指導記録であった。
<参考>
吉津ダイオキシン汚染に関する静岡市の指導記録
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/shiryou/yoshidu/shidokiroku.htm

 担当のBさんは、「私が担当したのはつい最近のこと、過去のことはわからないが…」と断りながら、「それぞれの担当者は一生懸命指導をしたと思いますが…」と私に言った。
 私は静岡市役所の職員、特に廃棄物関係の方がいい加減に仕事をしているなどと考えたことはない。大事なことは約10年間の指導のあり方への政策的な反省点をどう求めるかではないだろうか?

 記録によると94年、95年は結構熱心に指導を繰り返しているが、96年、97年とパタッと止まってしまう。又98年、99年と熱心な指導記録が残るが、00年、01年とパタッと又止まる。

 私は、Bさんには
(1)担当が3〜4年で代わること
(2)住民からの苦情がなければ指導をしなかったのでは?の疑問
(3)いきなり告発せよとは言わないが、せっかくの文書指導をしても同じ文書指導でもレベルを上げていく方法がとられていない。
の3点を指摘して、指導の甘さがあったのではと話させていただいたが、正確なご意見はいただけなかった。ただやはり、「それぞれと担当者は一生懸命指導をしたと思いますが…」を繰り返し、「これだけしか人数がいないんですよ!」とも言ったのは印象に残った。
「やっぱり、住民は苦情申し出を緩めてはいけないんだ。ある程度指導が始まったから安心だとおもってはいけないんですね。産廃指導担当者が少ないのなら人員拡大をしなければなりませんね」
と私はBさんに言った。明確な反応は得られなかった。(まあ私は一市民だから、こうして話しをしてもらえるだけでありがたいと思わなければ…。と考えればよいのかなあ…)
 
●公開されたプロジェクト会議録
 第1回(昨年11月14日)から第7回(今年4月21日)にわたって静岡市の廃棄物・環境担当者による「吉津地区の燃え殻を含む建設残土処理検討プロジェクト会議録」が撤去しないという決定の公表と同時に情報公開条例により公開された。
 これを読むと、いろんなことがわかってくる。詳細はHP上で公開しているので是非興味のある方は読んでいただきたい。

・第3回の議事録添付の第2回プロジェクト会議のまとめでは
ダイオキシン測定結果を
(1)1000pg-TEQ/g(土壌の環境基準)未満
(2)1000pg-TEQ/g(土壌の環境基準)以上
(3)3000pg-TEQ/g(管理型処分場へそのまま持ち込めない値)以上
の3通りを想定して(1)以外ではその場での封じ込め、無害化を想定している

又第4回(1/20)添付、第5回(2/18)添付、第6回(2/25)添付、第7回(添付)の計4種類の「吉津地区・燃え殻が混合され密接不可分の建設残土問題対策について(案)」が掲載されているが、だんだんと(案)が後退していったのがよくわかる。

<参考>
吉津地区の燃え殻を含む建設残土処理検討プロジェクト会議録
第1回〜3回 
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/shiryou/yoshidu/1-3kaikaigi.PDF 
第4回〜5回 
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/shiryou/yoshidu/4-5kaikaigi.PDF  
第6回〜7回 
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/5757/shiryou/yoshidu/6-7kaikaigi.PDF 
  
●何故撤去をしないのだろう?

 いろんな経過、責任、情報公開のあり方等々問題はいっぱいある。でも、吉津における焼却灰の放置された状態が「生活環境保全上の支障が生じていない。また生じるおそれも無いと考えられる。」とい静岡市の結論になるほど、ダイオキシンとは心配ないのだろうか?

 「ダイオキシン 神話の終焉」にこんなくだりがある。
「環境基準の5倍を超す5260ピコグラム」というがその100倍=0.5マイクロgでもマウス一匹死なない」

 本の中では致死量に重きおいた後、環境省の表を基準に、上記表現がなされている。これは一部あったっている。しかし、生殖体以上や発がん性という観点からみれば、こんな高濃度でマウスも寿命が縮まることは間違いない。
 本ではイタリア・セペソの事故(76年7月)等のダイオキシンの大惨事を「3万人の住民が被爆内150人ほどに塩素座そう(短期間で全治する皮膚炎)」という感じで、実際の悲惨な被害をサラリと表現している。
 
 ここまで思わないにしろ、「この本もけっこういいぞ!」ぐらいに思う人からすれば「血税」を使った「撤去」も不法な業者を「告発して犯罪人にする」ことも「それはやり過ぎだ」と思えるだろうと想像してしまう。吉津問題へのアプローチ、意見は「ダイオキシンの捉え方の違い」があるのではないか?と思う。
 
 吉津ダイオキシン汚染問題は解決していない。それどころか、今後第2第3の事件が起きる可能性もある。
 ある学生が私に「そうは言っても、何か人事なんですね!」と正直に語ってくれた。私は機会があって、吉津地区の保守的で撤去運動に消極的と言われる人とも話しをしたが、方法論は別として「何としても撤去して欲しい」という気持ちは十分に伝わった。多分、目の前にあの焼却灰の汚染土の山あれば、理屈ぬきに「何とかできないものか」と思うのであろう。
 
 「どこか人事」にならないように、「明日はわが身」。そして、「ダイオキシン汚染軽視」の風潮をやはり止めなければならないと思うのである。(03年5月25日記 壷阪道也)
 
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┏━↓●<資料>吉津ダイオキシン汚染土に関する静岡市の決定 ●↓━━━┓
注:静岡市は正式文章は出していないので公開された資料の(案)をもとに以下紹介

<1>廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき対応する
事業活動に伴って生じた燃え殻が混合され密接不可分の建設残土は産業廃棄物である。(ダイオキシン類特別措置法は適用されない。)

<2>行為者に次のことを行うよう指導する
1 放置されている燃え殻が混合され密接不可分の建設残土の適正処分
・行為者は資力不足のため実質的に適正処分することは難しい状態である
(片付け責任は継続して残る)

<3>生活環境保全上の支障が生じていない。また生じるおそれも無いと考えられる。
○ 12月27日 公表のダイオキシン検査の結果(行為者が実施)
井戸水、河川水、河川底質、周辺土壌 いずれも環境基準以下であった。
また、全国平均値並びに静岡市内の平均値に比して、いずれも問題となるような高い値は検出されなかった
○  9月25日 市が行った井戸水の重金属類検査の結果
飲料水としての基準を全てクリアーしていた
 以上のことから、現時点においては生活環境保全上の支障が生じていないことが確認された。
 なお、ダイオキシン類は水に溶けにくいことなどから、今後もその影響が出るおそれは無いと考えられる。

<4>特別措置
 市は住民の不安を解消するため、次の措置を講ずる。
 井戸水についてダイオキシン類を含む飲料水全項目のモニタリングを当分の間実施する。
地区内5箇所×2回/年 当初予算計上済み

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┏━↓●「ダイオキシン 神話の終焉」この本の何が問題か?●↓━━━━━┓

この本の何が問題か?  「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク 壷阪道也

シリーズ地球と人間の環境を考える02
「ダイオキシン 神話の終焉(おわり)」 渡辺正+林俊郎 日本評論社 1600円

1.この本に何が書いてあるのか?

●序章この国のかたち・ダイオキシン編
この章では本のアウトラインを述べ、「…研究でダイオキシンとまともに格闘した経験のない両名としては、研究者のご苦労・苦心がにじむ数々の測定データーを借用しつつ、ときにはその不備をあげつらうのはいささか心苦しいことだった。…」と最後に断り書きをしている。

●1章「サリンの二倍」は筋ちがい
この章では「ダイオキシンで死んだ人ほとんどいない。もっと危険な毒物はたくさんある」ことを論理展開しようとしているが、ダイオキシンの毒性を誰が致死量レベルで問うているのだろう?又各種ダイオキシン事故被害を過小評価するように仕向けていると言えるだろう。

●2章どこでどれだけ生まれるか
この章では健康被害の過剰反応が横行していることを強調し、「ダイオキシン汚染は60年代の農薬で、焼却ではない」と結論を導く。

●3章人体のダイオキシン汚染
この章は下記結論を読者に思い込ませるために厚生省・環境省のデーターを巧みに使っている。参考文献の分析抜きには語れないところがあり、私には一番やっかいであった。
どこかの土や工場排水に基準の一万倍を超すダイオキシンが出たからといって、いずれ人体に入る恐れがないのなら―自然界の猛毒の細菌などに四六時中おびえるまでもないように―騒ぐ必要は何一つない。

●4章亡国の「ダイオキシン法」
この章は特別措置法のベースになる「手引き書」「ガイドライン」が焼却炉メーカーによって作られ、罰則もあまい法律であることを記述している。かなり賛同できる部分もある。最後に誰のための立法?では「JAS法(日本農林規格)が消費者を守るためではなく、業界の保護・育成のため」と同じだと結んでいるところは共感できるところだ。

●5章ダイオキシン法の誕生秘話
この章では所沢での事件が特措法成立をいかに後押ししたかが事前の厚生省等に準備も含め、詳細に書かれている。マスコミの力を私も感じ入るところである。問題なのは、ダイオキシンに関して、「環境ホルモン」「アトピー誘発」等を根拠なく批判しているにもかかわらず、それに説得力を持たせるように書かれている点であろう。

●6章つくられたダイオキシン禍
この章は著者にとっての「数値マジック」の最高の見せ場なのだろう。所沢のNGO発表グラフの「虚構」をついた。グラフの矛盾点の一部批判は当っているかもしれないが、その矛盾点を誇張してデーターの見方をそう批判している。ダイオキシン研究では有名な宮田氏に対する批判、カネミ油症事件の被害がいかに少なく見せるか、著者の独論が悪意に満ちていると思えるほどひどい。
最後に、「02年12月1日特措法本格適用が始まったのに、マスコミ・市民運動は沈黙」そらみたことか、ダイオキシンは安全だ!と言わんがばかりに文章を結んでいる。

2.この本の意図・感想

 私はこの本を吉津ダイオキシン汚染問題をキッカケに読むことができた。この本を読んだ吉津地区住民のある人が「最近はダイオキシンは毒ではないと言われているそうだ」と発言をし、この本を吉津地区住民に薦めた静岡市担当責任者は「奇形への影響もまったく根も葉もないと言っている学者もいる」と説明会で発言しているのを知ったからである。もちろん、この本にはそこまではどこにも書いていない。
 問題なのは、筆者の意図以上に「ダイオキシンは安全だ」と思わせてしまうこの本に一貫して流れる「物事に対する見方」だろう。私はこの著者と同様、ダイオキシン研究を専門にやっているわけでもないし、引用している文献をすべて検証しているわけでもない。しかし、わかる範囲ではあるが、丁寧に読めば読むほど巧みに論理のすり替えを各所で行っているとことに私なりに気がついた。
 しかし、この本に一方では感謝したい気持ちもある。何故なら、確かに著者が言うように昨年末「特措法」が完全実施されたにもかかわらず、マスコミも含めダイオキシンに関する関心が薄れてきていたからである。この本をキッカケに今一度、市民運動もダイオキシンの危険性を再認識することができれば、こんな素晴らしいことはないだろう。

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┏━↓●集会情報●↓━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
7/5 吉津ダイオキシン汚染から考える市民集会実行委員会
6月5日(木)19:00〜 NPOセンターにて
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク
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