[PR]3
24


 津川です。10月1日、信じられないことが起きました。溶融炉の運転業務を請負った
企業が「採算ペースに乗りそうもない」を理由に撤退する、といい出したのです。詳しくは添付の新聞(佐賀新聞)を見ていただきたいのですが、運転を委託したのは佐賀県の鳥栖三養基(とす・みやき)西部環境施設組合(鳥栖市、みやき町、上峰町)で、住友金属工業が手がけた「酸素吹き込み式直接溶融炉」が導入されています。
 この話が持ち上がったとき、まだ町村合併前で、現場は旧中原町の給水タンクを囲むように西側にリサイクルプラザ、東側に日量132トンの溶融炉(総事業費54億6,000万円)を配置する計画でした。稼動は2004年4月です。

 2001年、中原町の人々を中心に反対運動が起こり、その中心になったのが山崎義次さんという方です。この方は例の吉野ヶ里遺跡を世に広めた郷土史家でもあります。建設差止めの裁判も財政的に苦しいなか、粘り強く続けられました。
 90年代半ばはどこのメーカーも「本業」が振るわず(鉄鋼も造船もダメ)、環境プラントに活路を求めた時期です。ご承知のように当時はいわゆる「ダイオキシン特需」を当て込んで27ものメーカーがガス化溶融炉・灰溶融炉の分野に進出しています。

 住友金属工業はパイプ(鉄)の製造がメインで環境プラントの分野ははじめてでした。十分儲かると踏んだわけですが、2004年4月に稼動を始めたとたん、様々なトラブルに見舞われ、またランニングコストの思わぬ高騰でついに悲鳴をあげたのです。去る7月30日、周辺住民151人が原告となって2003年に起こした建設・操業差止めの裁判(佐賀地裁)ではAMESA(ダイオキシン連続モニター)をつけることで和解となりましたが、関連してメーカーの出費も嵩んだようです。

 当然のながらこの技術は住友金属工業だけのもので、石原慎太郎東京都知事じゃないけれど「余人をもって代え難し」ですから、同社が撤退するということはどこにも引き受け手がないということになります。いわゆる瑕疵担保(5年)は2009年に切れますからその時点で「ハイさょうなら」では組合のいうとおり「無責任」としかいいようがありません。

 4年も前、サーモセレクトを委託運転していたドイツカールスルーエの業者が「採算が取れない」を理由に撤退した事件がありました。その時は、まさか日本で、という思いがあったのですが、そのまさかが起きたのです。
 考えてみれば「儲かると思ったらアテが外れた」というのは住友金属工業だけの問題ではなく、どのメーカーもダイオキシン特需が生んだ過当競争の波に呑み込まれ、ダンピング競争のとがめもあって環境プラント部門はどこも「赤字企業」に転落しています。この調子では第二、第三の住友金属が出ないという保証はありません。

 そのため全国の自治体でいま普及を見ようとしているのが「運転」委託ではなく「長期包括運営委託」です。これは自治体・メーカー双方にメリットのあるシステムということで一気に広がる気配ですが、双方によい、ということは双方共倒れの可能性も秘めているのです。長くなりましたが、この問題は改めて検討したいと思います。
 
tsuga@mtj.biglobe.ne.jp
津川敬
047-446-0212


2007年10月2日(火)佐賀新聞
鳥栖・三養基広域ごみ処理施設
業務委託社撤退の意向
09年めど 収益性見込めず
 
 鳥栖・三養基西部環境施設組合(管理者・末安伸之みやき町長)の広域ごみ処理場焼却施設の運転業務を受託している住友金属工業小木社・大阪市)が、二OO九年四月以降、契約を継続しない意向を示していることが一日、分かつた。収益性の低さが理由という。施設は全国唯一一の処理方式を採用しており、設備開発メーカーの同社の撤退は運転中止につながる可能性もあることから、同組合は頭を抱えている。

運転中止も、組合困惑

 焼却施設は「鳥栖・三養基西部溶融資源化センター」で、約五十四億六千万円を投じて建設。住友金属が二OO二年に同センターの環境プラント事業を受注。特殊なシャフト炉型ガス化溶融炉の処理方式を採用し、O四年四月から稼働した。鳥栖市、みやき町、上峰町から搬出されたごみを一五OO度以上の高温で溶融。道路の路盤材などに使われるスラグ(鉱さい)として再資源化を図っている。処理能力は日量百三+二トン、組合は年間約六億円で委託し、毎年契約を更新している。
 同社は九月中旬、組合との事務局レベルの話し合いの場で撤退の意向を正式に表明。同社が運転する一般ごみ処理施設は同センターが全国唯一で、「当初見込んでいた採算べースに乗せることが困難な状況」との説明があったという。同社は佐賀新聞社の取材に対」し、「一般ごみ処理業界から手を引くことは事実だが、詳細についてはコメントできない」としている。
 同社は契約時、導入した機械に対して、五年間の保証期間を設定。保証が切れるO九年を待つて、契約更新しない方針。これに対し、組合は同社派遣の技術要員に指導を頼っており、撤退は通常運転に支障を来しかねないことから、強く反発している。
 現在のところ、同社から撤退後の対応や、後継業者について具体的な提示はないという。組合は「全国で一カ所しかない特殊な処理方式の施設。無責任に投げ出すことは認められない」とし、話し合いは平行線のまま。
 今後は事務レベルでの協議を継続するが、難航も予想される。