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98.12.5荻原弘子さん講演
　　　「ゴミから日本が見えてきた！」
＜はじめに＞
皆さんこんにちは。今日は勇んでやって参りました。
事前に静岡の方から「お金はないんだけれともぜひ来てほしい」という話があって、私も「お金がないのはなあ～」と思ったんてすけれど、内容を聞いたら、「これは私が行かなくて誰が行く」と思って来たんです。それとその後いろんな資料を送って頂きまして内容の素晴らしさに驚きました。これだけいろんな分析をして、活動されてまた実行されている団体があるということは、私はすごく力強く思いました。
それで私は今考えていることをめいっぱい１時間しゃべりまくろうと思って、体調を整えてやって参りました。それで皆さん、私の意見は私の意見ですけれとも、私が見て、感じて発言するものです。批判もあると思いますけれどもパネルディスカッションの時も席についておりますのでそのときにいろいろ言って頂けれぱこちらも参考になります。

最初に今日話す内容ですけれとも、「なぜゴミを減らすのか？」「どのように減らすのか？」そして「何故日本はできないのか？」最後は「ゴミにかける夢」という４つの大きなテ‐マで話していきたいと思います。

１．何故ゴミを減らすのか？（ゴミ何が問題？）

a.何故ゴミを減らすのか？

まずなぜゴミを減らすのかということですけれども、先程紹介していただいたように私はｌ０年前にまったくゴミのことなんか無知無頓着に過ごしておリまして東京に住んでいる専業主婦の友達が、「ビンやカンは　資源になるそうだ、それをテレビでやっていた。」と言うのです。ＮＨＫですけれども、「それを見たら燃えないゴミとして捨てるのは嫌になったから今度はゴミの問題をやって！」と言われたのです。そのころ私は１歳の子供と３歳の子供がいまして、紙オムツで育てていました。子供がジュースをこぼすとティッシュペーパーでふいていました。フキンなんてわが家になかったのです。そういういいかげんな私がゴミの埋め立て地に行って「これは大変だ！」とわかったのです。

b.土には戻らないゴミ！

その東京のゴミの埋め立て地というのは東京湾に大きな堤防を作りまして、そして水を抜いてそこにゴミを並へていくわけです。燃えないゴミが中心ですけれども足元に転がっているのはトレ－やペットボトルなどのプラスチック類、それからビンもカンも乾電池もあるし、生ゴミも入っていました。それは燃やしきれない生ゴミが山ほど来るからなんです。そうするとゴミの上の方には「ヒッチコックの鳥」状態の鳥が群れをなして、ゴミをついはんでいるんです。すべてはどう考えても土に戻らないゴミです。戻ると言ったら鉄のカンぐらいでしょうか、あれはボロボロに酸化して戻りますけれども。アルミカンも５０年経ってもアルミカンだそうです．これは　酸性雨が降ると酸で溶けるけれども、土に埋まってしまうとほとんど溶けないのでそのまま。ガラスもそのまま。プラスチックは人間が作り出した物ですから、それを分解する微生物がいない。ということはｌ００年経ってもペットボトルのままだしトレ－のままなわけです。

c.有害物質が潜むゴミ埋め立て地！

ゴミを処理するのが最終処分場ですけれども、どうするのかという素朴な質問をしましたら、東京都の職員は「土をかぶせる」と言いました。「土をかぶせてその後は？」「おしまいです。」というのです。これはただの「ゴミ隠し」ではないだろうか？と思いました。よくよく見ると地面に煙突が立っていました。そして煙突から煙がモクモク出ているのです。煙というかガスですけれども。冬でしたから温かい煙でモヤモヤと。「あれは何？」と聞いたら「メタンガスとか」と言うのです。「ガスが出ている」と。「メタンガスいっても何だろう？」と思っていると「タパゴは吸わないでくれ！」と私は吸わないけれどもカメラマンに注意していました。よく爆発事故ではないけれども火事がしょっちゅう起きるそうです。そうするとあそこにはプラスチックがありますからダイオキシンはほとんど出放題になってしまいます。「こんな事を－番のお金持ちの東京都が行なっている。これは有害な土地ではなかろうか？」と思いました。「これは絶対に有害！こんなところに畑は作れないぞ！」と思いました。ガスは出てくる。このガスも４０～５Ｏ年以上出続けるのだそうです。それでどのくらい有害かというのを調べたら、例えばカドミウムはあるゴミの埋め立て地だと７０倍出てきたのです。普通の土に比ペて、カドミウムといったらイタイイタイ病おこしました。水銀は同じゴミの埋め立て地でｌ０，０００倍出たといいます。「どこのゴミの埋め立て地ですか。」と聞いたら「それは言えません。」「なぜ言えないか」と聞いたら、「それを言ってしまうと周辺の住民が怒り出すし、２度とゴミの埋め立て地が作れなくなるので、あるゴミの埋め立て地という言い方しかできない」と言うのです。ということは日本全国、東京もそうですけれど海や谷間を埋めてゴミの埋め立て地にしているけれども有害物質を集めているのだ、と思いました。
今ヒ素カレ－が有名ですけれども、あの真須美容疑者が持っていた紙コップはゴミ袋に捨てられていませんでしたか。結局あれはゴミの埋め立て地に行ってしまうわけです。それからその前の白蟻駆除業者がヒ素を使っていたわけですが、それは最終的にどこヘいきますか？たぶん燃えないゴミとしてゴミの埋め立て地に行ってしまうわけです。それから皆さんが家のなかで使っている殺虫剤、いらなくなったらどこへ捨てます？燃えないゴミとして捨てませんか？ということは揮発性の殺虫剤であろうとなんだろうと、農薬であろうと私たちは燃えないゴミとして出している、何故かというと容器が鉄だから。中身がどうであろうと鉄だから。こんないいかげんな出し方ないのではないか。これなら私はゴミの埋め立て地の周辺の人はもっと怒っていいと思いました。

d.ゴミは誰が出している？

「何故こんないいかげんなゴミの処理しかできないのか？東京都はけしからん！」と思ったのですけれども、よくよくみると私も紙オムツ使っているし、紙コップも時々使う。ビンもカンもしょっちゅうゴミにだしている。この「ゴミの犯人は誰か？」と言ったら私だったんです。ゴミを平気でパカスカ出していたのは東京都？そうではないです。私が買って出していた。今までの公害問題は「あの企業が悪い」と言って、例えば水俣病ではチッソという会杜を突き上げました。でも「今度のゴミの問題はあんたが悪い！」と言って指さした先には私が待っているのです。皆が待っているのです。これは大変だと思いました。この問題は誰かをやっつけて済む問題ではない。「この私も犯人だったんだ！」というか「この私が主役の犯人なんだ！」と思ったんです。

e.安全な処理方法はある！

それでこれをなんとかしなきゃいけない、と思ってあっちこっちの大学の先生に電話かけまくったんです。「あんな状態は続けていいわけがない。どうしたらいいのか？もっとましなゴミ処理ができないのか？」と聞いたのです。そしたらある大学の先生が、「お金をかけれぱ例えぱカドミウムを取り出したり、水銀を取り出したり、あるいはそれを無害化することができる」と言うのです．例えばカドミウムとかをガラス固化と言いまして、ガラス状に固めてしまって流れ出ないようにすることも今の日本の技術でできるというのです。では何故しないのですか？お金がかかるからてすよ。

f.ゴミ処理費は毎年都庁２セット分！

ではお金をかけれぱいいではないですかといって私はゴミの処理費を調ベて見ました。東京都が現在年間３３００億円かかっています。これ程大きくなってしまうと私はピンとこないんですれども、３３００億円と言いますと都庁の３セット、新庁舎２つあります、第一庁舎第二庁舎それから議事堂、とても立派です。この３セットで１５００億円だったのですよ。ということは毎年ゴミの処理費だけで都庁セットが２セット新築できてしまう。ということなのです。
これは大変なお金だと思いました。「もっとお金をかけろと言ったら教育はできなくなる、それから福祉もできなくなる、多分あれこれできなくなって仕方がないからもう目をつぶって有害だとわかっていながら蓋をしているだけなんだ。」と思いました。でもそれで諦めてしまったら私の子供の命が危ないと思ったのです。だって東京は海だけではなく、山の上にも巨大なゴミ処分場を作っているわけです。そこのシートも破れているって噂ではなく本当です。で、これが全国で起きているとしたら今私が生きている時代は大丈夫かもしれないけれども私の子供の時代は地下水なんていうのは１年３ｃｍぐらいしか動かない所が多いそうです。でもいずれ絶対地下水は私たちの体の中に入ってくる、あるいは作物の中に入ってくる、これを何とかしなければ将来はないと思いました。

g.何とかしなきゃ！

でなんとかしなきゃいけないと思っても先立つものがない。だったらどうするか、今あるゴミが１０あるとしたらこの１０あるゴミを１０分の１にしてみよう、１０分のＩにして今の予算をかけれぱもうちょっとましな無害化処理ができるのではないか、と思いました。それでは私は「ゴミを減らそう」大キャンヘ゜ーンを始めようと思ったのです。
ゴミは資源だから集めるんではないんです。ゴミは有害だから減らさなけれぱいけない。ゴミがもし資源だったら市役所は呼びかけるでしょう、「どんどんゴミを出してください、これは資源なのですから」って。そうではないんです。資源であるゴミですら減らさなければいけない、そういうふうに思いました。

h.ゴミ処理費１kg４０円！

先程のゴミの料金ですけれども、静岡の場合はこちらの資料にも出ていましたけれとも５０億円以上かかっているそうです。１キロ４０円、ゴミ袋１袋で２８０円から４００円かかっているそうです．これは東京都とほぽ同じだろうな、と思います。１袋２８０円から４００円の計算です。静岡のゴミ処理にかかっているお金は、かなりのものですよ。あの大きな袋で４００円、もし本当にゴミを有料化するとしたら１袋４００円になるわけです。こうなったら大変ですよね、そしてなぜこれをその通りだと思ったかというと、東京都の事業系ゴミというのは有料になりました。その値段は１袋やはり３００円から４００円です。これは回収するコストと処理するコストです。別に事業系のゴミに税金で補助することはありませんからきちんと計算していくくらかかるか出したものが１袋３００円から４００円だったのです。だから静岡のこの計算と東京都はほぼ同じだと思います。そのくらいお金がかかっていることをまず頭の中に入れておいて下さい。

２．どうやってゴミを減らすのか・ゴミ減量はリサイクル？

a.紙ゴミはリサイクルできない？

それで私はとにかくゴミを減らそうと思ってその時思いついたのはリサイクルでした。まずカンはカン、ビンはビン、紙は紙と分けて出したらゴミとして出すのは減るだろうでそれを始めたわけです。そうしたらすぐに壁にぶち当たりました。まず紙でぶち当りました。（その壁が見えたのは平成２、３年頃ですけど。）それは新聞紙と雑誌を縛ってちり紙交換に出していますね、皆さん、それと同時に私は雑ゴミといいますが、お菓子の箱とかティッシュペーパーの箱もビニールを取って畳んで出したのです。そしたらちり紙交換の方に「奥さんこれは捨てて下さい」と言われてしまったのです。「でも紙は紙に戻るだし資源なんですよ」と力説したんですけど。だってその束を作るのに私はどんなに苦労したことか、わかりますよねやった方は。大変な思いをして束にしてヒモでくくってだしたら「ゴミにしてください、燃やして下さい」と言うのですよ。「何故なんだ？」と聞いたら「今紙が余って困っているんだ」と言うんです。「雑誌だって持って行きたくないくらいなのにこんなゴミみたいなのを入れたら安くたたかれてしまうから、これは入れたくないんだ」と言うのです。それで私は仕方がなくゴミに出しました。その時考えてわかったのですが、いくら紙は紙に戻るといっても使い道がなければゴミ。リサイクルしたってその先がなければゴミなんだ。ではどうしたらいいのか？「使い捨てしながらリサイクルというのは虫がよすぎるのだ」ということがわかったのです。

b.ペットボトルのリサイクルの偽り！

それが今ペットボトルの状態です。ペットボトルをがんがん、がんがん出しています。それを回収しているなんてまだ１割にもいかないのです。それでももうアップアップしています。使い道がないのです。絨毯屋さんやポリエステルの洋服を作る業者さんが利用してくれているそうですけれども値段が普通のバージン原料を使うよりも２割高くなるそうです。ポリエチレンの服ですね。２割高いだそうです。そして絨毯（じゅうたん）はどんどんできるわけですけれども、今度は絨毯を使い捨てしなければならなくなる、「化繊のじゅうたんを結局使い捨てしないとリサイクルというのはできないのだ。」ということがわかってきました。
そして今ガラスが同じような目にあっています。ガラスなんてガラスビンに戻るんですよ。それなのに使い道がなくて、いま国は何を考えているか？「使い道のない色付きガラスは砕いて道路の路盤材に使おう！」なんて言っているのですよ。ガラスなんてあんなにきれいなカップが道路の砂利扱いされるわけです。私は「ガラスは道路をゴミ捨て場にするわけですか？」と通産省の人に言いました。市役所の人に言いました。「道路をゴミ捨て場にしないでくれ！ガラスはガラスに戻さなければ駄目だ、それを路盤材に使うなんて間違っている。ガラス資源は将来まで子供達に残してあげなければいけないものではないですか？」と思いました。

c.リサイクルはゴミ処理以上のお金がかかる

それで私はリサイクルの限界を感じたのです。使い道がなければリサイクルだってゴミなんです。ではどうしたらいいのか？それともうひとつリサイクルの限界を感じたのですけれどリサイクルはゴミ処理よりお金がかかるという矛盾です。これも静岡の方が作った資料に載っていました。例えば静岡の場合、１kgカンを集めると赤字が１０円、ビンは３６円、ペットボトルは１キロ当たり４５０円マイナスです。これを川口のケースで見ますと、川口市は人口４０万の昔からのリサイクル先進地域です。年間ビン、カン、ペットボトルのリサイクル費用が８億９０００万円かかっています。そして資源として売り上げが年間９０００万円、簡単な計算でビン、カン、ペットボトルの回収で毎年赤字が８億円なわけです。リサイクルしたら私はもっとゴミが減ってお金も助かるかと思ったらそうではなかったのです。ゴミは減りました。でもお金がもっとかかってしまったのです。これは何か変です。

d.集めれば集めるほど税金を使うペットボトル

例えばペットボトル、これは皆さんリサイクルできるからと喜んでスーパーへ持って行きます。そしてそれを自治体が集めます。大宮市の場合、自治体が集めます。各ステーション毎ではなくスーパーを回って集めます。そしてきちんと梱包しておおきな塊にするわけです。（税金を使って）それまでにも大変なお金がかかるのです。回収するコスト、そして中間処理(選別して塊にする)コスト、できあがったプラスチックの塊。その塊は一体いくらで売れるでしょうか？実はお金を添えて引き取ってもらわなければいけないのです。その費用が１月に２５０万円です。（それまでの回収費と中間処理コストは全部税金で払った上です）
これは変ではないですか？だから出れば出るほど引取り料がかかるんです。大宮市の人はこの矛盾に気がついているのかどうか分かりません。いいことやっていると自慢していましたから。だったら燃やしてしまった方が安いって。でもそれでは資源の無駄使いになるからと思って一生懸命やっているわけですけれどもどこか変です。税金を使って集めて塊にしても、引き取ってもらうときは何故お金を払わなければ持って行ってもらえないのか、リサイクルしている人は喜んで「これはいいことしているんだ！」と思ってスーパーなどへ持っていくわけです。でもそれが持って行けば持って行くほど税金が無駄使いになっていることを知らないのですよ。大宮市や川口市の場合計算すると１本当たり税金が３０円かかっているわけです。「１本リサイクルに出すとと３０円の税金が無駄使いになる」ことを皆知らないのです。「リサイクルすることはいいことだ！バラ色だ！私はいい人だ！」と思ってやっています。

e.我が家の生活スタイル

私の家ではペットボトルを買わせません。税金の無駄使いだからです。この３０円をもしペットボトルの使い捨て族に払うぐらいだったら、私は老人福祉施設に使ってほしいです。使い捨てのために税金を使ってほしくないのです。我が家ではペットボトルは禁止、それからカンも買ってあげません。缶飲料もピザをとるとついてきてしまうんですけれども。でもとにかくお醤油もビン、ケチャップもビンです。これは生活クラブにわざわざ入ったわけです。この生活クラブというのはとても厄介でして班に入らないともらえないのです。そのために班の会議はやらなきゃいけないし、お肉も好きな部位が買えない。だからすごくやっかいで嫌で嫌でしょうがないという人が多いのですけど、もうリターナルビンで買おうと思ったらそこへ入るしかないんです。でも品物はいいので私は一生懸命はいっていますけど、とても他の人に「入ったら？」と誘えないのがつらいところです。とても厄介なものですから。でもそうやって一生懸命我が家のゴミを減らしました。

f.布オムツを使ってハワイに行こう！？

我が家の子供達も紙オムツをやめて布オムツにしました。布オムツにしたらとても良いことがわかりました。布オムツで子供を育てると布オムツ代といったのはたったの６万円で済むのです。私の場合は途中からでしたので子育ての終わった友達に電話して、宅急便で送ってもらったのでタダでした。（宅急便代も友達がもってくれた）紙オムツで育てると５５００枚必要だから２２万円かかるのです。日本テレビのスタジオに22万円かけて買って並べてみたのです。この会場よりもっと大きいのですよ。そしてこんなにかかるんだといって撮影しました。この買ったオムツをどうしょうかと思って、また箱に詰め替えて美術の人とか手伝ってくれた人に「どうぞ持っていって下さい」と言ったらあっという間になくなってしまいました。（ちょっと矛盾を感じましたけど…）
この２２万円と６万円の差は１６万円です。ということは紙オムツをやめて布オムツで育てると１６万円のお得。１６万円でなら皆さん何をしますか？私はハワイに行きます。ハワイに行けるのですよ。オフシーズンなら７万から８万円で行けるので夫婦２人で行けてしまうのです。「布オムツを使って、子育ての終わった夫婦が赤ちゃんがまだただのうちにハワイに行こう！」というコマーシャルをやってくれたら嬉しいなあと思っています。リサイクルは駄目だけれど、紙オムツ作戦は大成功でした。

g.ゴミがおいしいサヤエンドウに！

それと生ゴミ作戦も大成功でした。この生ゴミ作戦というのは我が家が団地だったので本当は庭というのはないのですが花壇というものがありまして、割り当て花壇に生ゴミを埋めることにしました。集合住宅の場合コンポストは臭ってしまってブンブン虫がわいてしまうのでできないのです。それでしかたがないので埋めることにしたのです。埋めてみたら良いことは土が肥えてきたことです。そのころは雑草を生やしていたのですが雑草にはこんな良い成分はもったいないので、近所で種をもらってきて作物をやり始めたらものすごくおいしいサヤエンドウができたのです。つくるといっぱいできてしまうんですよね。ミニトマトを作った方は感じると思いますが、こんなに食べられるか？というくらいできてしまいます。サヤエンドウもたくさんできてしまって彩り（いろどり）くらいにしか使わなかったのですけど、もったいないからとバターいためにしたらすごく甘くておいしかったのです。「サヤエンドウってこんなにおいしかったんだ！」と思うくらい驚きました。
その時の教訓「地球に良いことをするとごほうびがくるんだ」ということです。私１０年経ってまだ生ゴミを一生懸命堆肥にするのをやっています。ゴミ減量も一生懸命やっています。これはなぜか？というと“ごほうび”があるからなんです。紙オムツのときもそうでしたし、生ゴミのときもそうでしたがもうひとつ「あんたはえらい！」という優越感に浸れます。偽善者と言われるかもしれませんけれど、「私、もしかしたらすごく良い人かもしれない、ボランティアなんてできないけど我が家でボランティアやっている」という良い気分になれるのですよ。だから１０年続いているんだなと思いました。だから一度ゴミ減量を始めた人がしつこいくらいに続いているのはそのせいなのですね。でもこれは大切な事だと思いましす。楽しくなければゴミは減らせないのです。

h.生ゴミリサイクル・ＥＭ菌・米ぬか・木屑

生ゴミでひとつ問題点を発見しました。匂いの問題がありまして、毎日毎日庭にゴミを埋めることができなかったので、台所で蓋付きのタッパーでためてしまったのです。そしたら夏に腐ってしまったのです。特にイカなんかのお刺し身をいれると翌日最悪ではきそうになるくらい気持ち悪くなるんです。もう蓋をあけるのもこわくなるくらいで、吐くのをこらえながら埋めるというのも私としても耐え難かったのでどうしようかと考えていたら当時ボカシというのを誰かがくれたんです。
これだったら耐えられるというのでやってきました。ボカシというのはＥＭ菌というのでやるのですが、最近もっと良い事がわかったのです。ＥＭ菌でなくとも同じ結果が得られるものが糠（ぬか）です。糠でも全く同じでした。「なんだ高いお金出して買う事なかったのだ」と思って生活クラブでＥＭ菌を売っていたので「そんなの売る必要ありませんよ。糠で大丈夫ですよ！」と言ってしまいました。東京の消費者団体が実は糠とＥＭ菌を実験したのです。そしたら結果は同じで、たまたまだとは思いますが作物などは糠の方が良かったりしました。
それでなんだそうか思っていたら、最近スェーデンとかでコンポストが大流行なので見に行ったらどこでもＥＭ菌とか菌は使っていないのです。何を使っているかというとその土地でゴミとして出てくる物＝糠（ぬか）なんてありませんから木屑（きくず）だったりするんです。木屑で同じように発酵するのです。なんだこれはと思って、もともと水分調節の良い物、自然の物には乳酸菌とか良い菌がついているらしいのです。それをちょっと補ってあげれば（ベチョベチョ状態では駄目ですけど）うまく発酵することがだんだんわかってきました。落ち葉でやっている人もいます。土でもよいでしょうけど。それで「なんだそういうことなんだ」ということが最近わかった大発見です。

３．何故ゴミ減量ができないのだろう？

a.レジ袋事件！私は要らないのに！

それとリサイクルの壁に当たってそれでもゴミ減量は我が家では確実に成功していったのですけど、もう一つの壁がありました。それはレジ袋事件というのがおきたのです。
レジ袋事件というのは、ゴミ減量に熱心な人というのはゴミを減らすために買い物袋を持って買い物にいきます。そしてレジ袋は断るのです。ある日、私はレジ袋をもらわないために買い物袋を持って肉屋さんに買い物にいきました。家の近くに肉屋さんがなくて、電車に乗って隣り町まで買いに行ったのです。それはお正月の買い物だったので牛肉1キロとか買うわけです。もしスーパーで買うとだいたい３００グラムずつくらいですからトレーが３つ付いてきます。トレー３つはゴミが多すぎるからお肉屋さんで買えば１つで済む、それでお肉屋さんで買ったのです。普通のプラスチック板のようなものに乗せてくれまして紙にくるんでビニールの透明な袋に入れてくれて、汁が落ちますから輪ゴムでピョンとやってくれました。
「ここまではしょうがない、ここまではいいや」と思って次にレジのコーナーに行ったのです。そこでレジ袋に入れようとしたので「待った！私袋を持っていますから結構です。」と言ったのですが、レジの人が「駄目だ！」と言うのです。「レジ袋に入れていかなきゃ困る！」と言うのです。「でも持って来ましたから」と言っても「万引きと間違えるから」と言うのです。「失礼な！この私を万引きだなんて！」とは思いましたが、でもまだその時は押さえていました。「もう買い物終わったので出ますから私はこの店内をウロチョロしませんから」と言っても「領収書代わりだから駄目だ！」と言うのです。それで私は押さえていたのものが爆発しまして、言いたくなかったのですけど「私はゴミを家に持って帰りたくないんです。」とレジ係の３人に言ったんですが、３人はあきれた顔しちゃいました。変なおばさんというメツキだったのです。その時うちの夫が「おいおい！」と言って「並んでいるんだからもらっておけ！」と言ったんです。

b.ゴミが有料であったら……

私の闘いはここで終わりました。もらって帰りました。そして外では夫と大ゲンカでした。「どうして私がゴミを減らそうとしているのに誰も応援してくれないんだろう。夫すら理解してくれない！一体どういう事か！」と。夫は「お前は変わり者だ！」と言うのです。
その晩、私は一生懸命考えました。離婚しようかと思ったわけではないのですが、「どうして断られてしまうのか？」そして一晩考えて「ゴミがタダだからではないだろうか？」と思ったのです。もしゴミが有料だったら「ゴミを持って帰りたくない」の後にもう一言付け加えるです。「ゴミ代を節約したいです」と。そういえばお店の人はわかるんです。お店の人は「無料で袋をあげようと言っているの何故断るの？」という気持ちしかないのです。「持って帰るとゴミ代がかかる。だから持って帰りたくない！」と言えば説得力があります。私はその時から「ゴミの有料化だ！」と思ってしまいました。だからゴミの有料化だと思ったのは、すごく早くからです。

c.モラルに頼っていては駄目！

ゴミ問題を私は１０年間テレビで放送してきました。スタッフもカメラマンも一緒にやってくれる人も変わっています。その人達は実際ゴミを減らしているのか、私はチラチラ観察しています。それが減らしていないのですよ。平気でペットボトルで飲んでいるのですよ。「どうして？この間ペットボトルはいけないと放送したじゃないですか！」と言っても「だって私ぐらいがやったって…」とかいろいろ言うのですけど、一生懸命やるのはやはり１００人に１人くらい。ゴミ問題をわかっていても、私と同じようにゴミに埋め立て地を見ていても実際に行動に移せる人は１００人に１人なのだ。これは私の回りのスタッフを見ればよ～くわかります。これは情報がないからゴミを減らせないのではない、情報があっても動かないにはモラルがないから。そうかもしれない。でもモラルに訴えていたら永遠にゴミは減らせない。だって分かっているのにゴミを減らそうとしないのですから。だったらどうしたらよいかやはりモラルではなくて、「現実的に減らしたいという気にさせるモノが必要でなないか！」と思ったのです。

d.ゴミ有料化への市民の関心も高い！

このゴミの有料化をテレビで放送しますと、反発されると思うでしょう？これが反対なのです。でもストレートに言うと反発されますよ。「お前の家は金持ちだからそうやって言うんだろう。」と言われてしまします。でも「私だって税金を払うのはイヤです。お金を払うのはイヤです。だけれども…」と言うと視聴者の方はみんな「そのとおりだ」とＦＡＸをくれるのです。これは驚きです。昔、「追跡」という番組がありました。その時に勇気を持ってゴミの有料化で１本作ったのです。どこからも批判の手紙は来なかったです。それどころか全国の新聞の投書欄に「日本テレビの追跡という番組を見てゴミの有料化はやはり必要ではないか？」という投書があっちこっちの人が書いてくれたのです。本当にゴミ問題を考えた人はゴミ有料化に反対しないだということがわかりました。でも考えていない人は「昭和の初めの頃はゴミは有料だったんだ」なんて降って沸いたように言われたら「とんでもない、今だってこんなに消費税が高いのに」と怒ってしまうかもしれません。でもよくよく話し合っていったらわかってくれるのではないかという気がしたのです。

４．「ゴミ有料化」もっと考えてみよう！

a.ゴミ有料化は税金の２重取り？

まず批判その一。「ゴミの有料化は税金の２重取りではないか」と言われます。住民税払っているし、子供のいない若夫婦にとって自治体でお世話になっていると実感できるのはゴミの収集だけなのです。子供が義務教育受けているわけでもなし、ゴミ収集以外何のお世話にもなっていないと感じるものです。ゴミが有料になってしまったら、「あの住民税は何だったの？」ということになります。もし２重取りがいけないのだったら、ゴミで浮いたお金があるのだけ、それを老人福祉等他に回してもらいたい。バックしても良いかもしれない。でもどこの自治体も赤字ですからバックする余裕なんて今の自治体にありません。それとかもっとましなゴミ処理に使ってくれればよいのです。

b.ゴミ有料化は弱者イジメ？

もう一つの批判がゴミというのはどうしても出る物、それを有料化するのは弱い者イジメではないか？年金生活者をいじめる事になりはしないか？母子家庭をいじめる事になりはしないか？と福祉の関係から言われる事があります。日本でもしゴミが有料化するとしたら、一袋１００円になるとか、そういうことだと思います。もしそういう生活が厳しい人がいたらそういう人達だけには１年分あげてしまえば良い。でも普通の人は一から買うのです。そうすれば問題は解決できるし、ゴミが２割３割減ったらゴミ処理費はかなり浮きます。浮いたお金を福祉に向けることもできます。
もしどうしても出てしまう物というのなら、生きていくのに絶対必要な水、水道代をタダにしたら何が起きますか？水道出しっぱなしでも親が注意しなくなります。それと同時に洗濯機や食器洗い機など水圧できれいにできます、洗剤は不要の「水出しっぱなしの機械」が登場するかもしれない。そうなったらあっちこっちにもっとダムが必要になります。水が不足して川を又せき止めてダムを造ります。また水が濁ります。魚達が川を行ったり来たりできなくなります。環境破壊が起きます。そこにすんでいる人達は村が沈む為に出て行かなければならなくなります。水をタダにしたら環境破壊が起こる。では電気をタダにしたらどうですか？これも生きていく上で必要ですよ。タダにしたらつけっぱなしになります。原子力発電所や火力発電所を増やさなければいけない。環境破壊が起きます。だから電気代は高い方が良いのです。

c.何故ゴミだけ無料なのですか？

では何故ゴミだけタダにしているのですか？だからゴミのダムがあっちこっちにできているのではないでしょうか？ゴミの堤防が平気で名古屋や東京やあちこちの浅瀬を埋めていくのではないでしょうか？ゴミをタダにしているからそういうことが起こる、何故それに気が付かないのかと思います。名古屋の人達が一生懸命あの干潟を埋めないようにと運動しています。その運動している人達の中から、是非自分達のゴミを１０分の1にしてみるぞという行動が起きて欲しいのです。「ゴミを一袋１００円にして下さい」と言いたいのです。そうしたら解決策は見えてくるのです。「いくらゴミを出してもタダ」のままでは「干潟を埋めないでくれ！もっと他に方法があるだろう！」と言っても説得力もありません。自分達も痛みを感じて「１袋１００円でも良いからゴミを減らします。だからあの干潟を守ってくれ！」そういう運動にならなければ行政だって耳を貸さないと思うのです。

d.ゴミ有料化は不法投棄を増やす？

でももう一つ「ゴミ有料化に対する有力な反対論」があります。それは不法投棄です。ゴミを有料にすると不法投棄が増える。増えるかもしれない。でも昔はリンゴとかはタダでしたね。タダでなくて売るようになってから泥棒というものが現われたのです。「泥棒が出てくるから」と言ってリンゴをタダにできませんよね。お金がかかっているのだから。不法投棄はよくない。不法投棄には罰則、取り締まりというものを講じていく。泥棒がいるからと商品をタダにはできません。もし商品が全部タダだったら泥棒は一人もいなくなります。だから不法投棄を恐れて有料化をやめるということはできないのです。
ただこの普通のゴミ袋のことを考えますと、現実に不法投棄が増えているか？例えば伊達市に聞いてみました。有料化の直後に「不法投棄が増えましたか？」と聞きに行きました。そしたら「増えていない」と言うのです。私はすごくケチなおばさんですから「もし有料化になったら私だって何をするのか？」昭和の時代の感覚を呼び戻してみました。袋にゴミを詰めて駅まで持って行くだろうか？みんなが見ているじゃないですか！カバンに詰めて持って行きますか？それもしません。では１袋１００円のことで車に積んで山まで持って行くだろうか？車が汚れます。だから私ならそれはしないだろうと思いました。

e.お店からゴミを持ち帰るのはイヤ！

それよりも手っ取り早いのがスーパーで買い物をしながらゴミを捨てて行く事です。例えばケロッグコーンフレーク。「外箱は捨てて行こう」と思うわけです。これが一番誰からも咎められない（とがめられない）良い事です。ゴミオタクである私はいつも商品を買う時に腹立たしい思いになるわけです。例えばコーンクリームスープなんてありますけど、我が家の子供達は大好きで、それを買うわけです。３袋しか入っていないのに箱に入っているのですよ！ちょっとひどすぎません？せめて４袋ですよ！どうしてこれ文句を言わないのかと思うのです。でもゴミが有料になったら私みたいな人が増えるのだと思います。何故こんなのが過剰包装なわけ？サキイカに台が付いていなきゃいけないのですか？これがメーカーを動かすのです。スーパーを動かすのです。それからスーパーのゴミ箱にどんどん捨てる人が増えますと、困ったスーパーがメーカーに言うわけです。
今はゴミを有料にしている所はまだ点でしかありません。日本全国のゴミが有料になったらそんな「おばさん」たちが増えますから、商品が変わり始めます。だからゴミを有料にするのだったら一気にと思っています。そうすると商品が変わるのだと思っています。本当のゴミ減らしが始まります。よく「消費者だけにゴミの有料化の負担を負わせるのはおかしい！メーカーがおかしいんじゃないか！」と聞きますが、それはそうなのですが、メーカーと消費者が両方責任を負わなきゃいけない。そのキッカケを作るのは消費者がカギを握っているのです。消費者が買わなくなる事、買いたくなくなる気持ちにさせる事が必要なのだと思います。サキイカに台なんて付けてはいけませんなんてくだらない法律を作れませんからね。

f.庭先でゴミを燃やす危険！アウシュビッツ？ダイオキシン！

それともう一つゴミの有料化で気を付けなければいけないのは庭でゴミを燃やす人が増えてしまう事です。これは禁止するのです。庭先でゴミを燃やすのは禁止。落ち葉程度なら良いですよ。でもゴミは駄目。これは今がチャンスです。どこの人もワイドショーや女性セブンでダイオキシンの問題を扱ってくれましたから、ダイオキシンのことはみんな知っています。
それと、ダイオキシンだけではなくて、もっと恐いガスが出るのだという事を知らせれば良いのです。私はそれを調べました。例えば私がはいているいるナイロンのストッキングやウレタンのソファーマットとかありますね。これを燃やすと何が出てくると思いますか？完全燃焼すれば二酸化炭素と水ですけれども、不完全燃焼すると確実に様々なガスが出てきます。その中の一つにシアン化水素というものがあるのですが、青酸ガスです。アウシュビッツの毒ガスなのですよ。そんなアウシュビッツの毒ガスが簡単にできるわけがないじゃないかと思って、疑い深い私は検査してもらいました。そうしたら本当に出て来てしまったのです。シアンが出てくるとピンクに変わる試験管があるのですけどピンクに変わってしまったのです。ああ本当だと思いました。今火事が起こると実に不完全燃焼です。庭先で燃やしたって不完全燃焼です。完全燃焼なんて高度な技術が必要です。だからシアン化水素を吸い込んでしまうのですよ。プラスチックを燃やすと他にも発がん性のあるガスや肺機能をおかしくするガスがいろいろ出てきます。
そして塩化ビニルや塩化ビニリデンというサランラップやクレラップのような物を燃やすとダイオキシンのもとになります。蓄積されて行きます。体の中に、脂肪の中に、排出されずに蓄積されていって子供達に移っていきます。母乳の中に出ていきます。今ものすごく流産が多いです。私の友達は仲良し５人組のうち３人が第１子流産しています。真面目な普通の人です。でも本当に多いのです。晩婚でもなんでもない。これは親の世代には起きていなかったことです。絶対におかしな事が起きています。環境ホルモンの問題も出てきました。それを我が家の庭で作り出しているかもしれない。それを市役所が「庭でゴミを燃やすとこんなガスが出てきます」と言ってお知らせを一緒に流せば恐くて燃やす人は出て来ないと思います。一番吸うのは燃やす人ですから。だからこれはきちんとした正しい情報を伝えれば庭でゴミを燃やす人は現われないと思います。子供のうちから教えれば良いのです。幼稚園の頃から、「プラスチックを燃やすと恐いんだぞ！ガスがでるんだぞ！」と。

g.ゴミ有料はヨーロッパでは常識！生ゴミを堆肥化するとゴミ料金が半額に!

海外ではどうか。海外はヨーロッパのゴミ先進地域を私は見てきましたけど、どこも有料化が当り前のように大昔からゴミはタダではありません。そしてドイツの人が言いました。「何故日本は有料にしないのですか？それでゴミは減るのですか？」というんです。例えばスウェーデンはゴミは有料ですけども、家の庭で生ゴミを堆肥にしている家はゴミ料金を半額にしてあげているんです。だからどこの家も庭のある家は生ゴミを堆肥にします。集合住宅でさえ３０軒の家が集まってコンポストの大きな機械を買ってみんなでそこに入れるようにします。それでゴミを減らすとゴミ料金が半分になります。「ゴミ料金はいくらぐらいか？」と聞いたら、「電気代と同じ位だ」と言うのです。日本は１万円ぐらいですから１万円ぐらいかもしれない。物価が違いますが、それくらいゴミって負担になっているわけです。だから必死にリサイクルにも励むし、ゴミになるものを嫌うわけです。そしてお店で変な過剰包装のものがあったらみんなが文句言ってます。「これはちょっと付き過ぎよ！やめるべきだ！」と若い女の子が文句言っている姿を見ました。

h.日本人とスウェーデン人の違いはない

こういう国民性はスタートが「ゴミが有料」というところから始まっているのだと思いました。日本人がおかしいのではないですよ。私は日本人ほど真面目な国民はないし、自然を大事にする国民はないと思っています。秋は紅葉狩りやきのこ狩りを楽しみ、春にはお花見をする国民性なのです。国民性から言ったらスウェーデンとほぼ同じだと思いました。でも仕組みが違うのでゴミに対する見方が違ってきただけだと思いました。「ゴミの有料化を何故やらないのだろう？」と思うのですけどこれは議員さんや市長さんからは言い出しにくいものです。何しろゴミに無関心な人は１００人中９９人、選挙をやれば９９人が票になってしまいますから、ゴミの有料化というのは昔の私を考えてみればわかりますけれど、消費税をあげるのと同じぐらい嫌なものなのですよ。だから言い出しにくいものです。

i.景気対策＝消費の拡大＝ゴミ増加！

受けが良いのは商品券です。ちょっとピクピクする人がいるかもしれませんが、お金をばらまく方が誰だって喜びます。商品券をばらまいたら物が買えます。物を買ったらゴミが増えます。ゴミ処理費が増えます。又、自治体は苦しくなる。それでいいのかなと私は思っています。受ける政策と受けない政策があるわけです。でも日本人はバカではないと私は最近思っています。商品券問題だって今の報道を見て下さい。誰が賛成意見を書いていますか？みんな「そんなツケを次の世代に残していいのか？」という論調に変わってきています。
ゴミの有料化もそうです。アンケート調査をすれば半数以上の人がやむをえないに変わってきているのですよ。
それとちょっと話しはとびますが、日本は買い物大好き民族です。「もっと消費を！」と叫んでいる国を見て下さい。、日本に向って「もっと買ってくれ！もっと買ってくれ！」と言うのはアメリカでしょ、東南アジアでしょ。自分の国の商品を買って欲しいだけなんですよ。ゴミを作って欲しいのですよ。

j.景気指数ってどこか変！

不景気対策と言っていますが、その景気の指数を調べてみました。だってこんなことをどんどん政策として税金使ってやってもらったらゴミだらけになってしまいますから。景気指数の大元は、例えば大口の電気需要量が増えれば景気が良くなったことになるのです。消費がすすんだら景気が良くなったことになります。それと「新築の床面積」これも景気指数の判断材料になってきます。新築の床面積が増えれば、景気がよくなるのです。使い捨ての家をどんどん建てれば景気は良いのです。でもその反省にたって、「たった３０年で壊される家ではなくて、５０年、１００年使える家を提案しよう！」に変わったのではないですか。電気製品もそうです。長く使おうというふうに変わったのです。車もです。
景気指数はこれから下がる一方だということです。もともとこの景気指数は３０年以上前に作られた計算方法なのです。それはモノを造る産業からあみ出された「物を作らなければ．．．。」「ゴミを作らなければ．．．。」景気は良くならないという数字です。
２１世紀になったら、景気を測る数字は変えるべきだと思っております。反対に物を片づける産業がこれからおきなければいけない。そして、それが指数に反映してきたら、同じように雇用が生まれ、豊かな生活が送れるのです。本当の豊かさは物ではないということを、日本は今こそ気づかなければいけないと思いました。

５．ヨーロッパから学ぶことはいっぱい！

a.スウェーデンの景気対策！

例えば、スウェーデンでは、バブル崩壊後、何が起きたか。やはり雇用不安が起こりました。失業者がたくさん出て、でもその時にもっと物を買おうという運動にはなりませんでした。そうではなくて、環境産業を起こすのだということに変わったのです。私もちょっとしかヨーロッパに行っていませんから、えらそうな事は言えませんが、この間、ドイツに長年住み、また、スウェーデンにも長く住んでいる人に聞いてみました。「日本に来てみて、日本はもっと物を買った方が良いか？」と聞いてみたところ「とんでもない！日本ほど物をじゃんじゃん買っている国はないのではないですか？」
ヨーロッパあるいはドイツなんか、日曜日はスーパーは休みですからね。何も買い物していないのです。夕方５時になると、お店閉まってしまいます。物をじゃんじゃん買うなんてことない訳です。それでも景気は安定している。（日本は）物を買わないという事に目覚めるべきだと思います。
スウェーデンの人は、バブルが崩壊した時に、物がなくても幸せになれるんじゃないか、ということを感じたんだそうです。失業者が多い時には、もっと休んで労働をシェアしようなんて言い出したのですよ。労働を例えば３人でやっていた仕事を４人でやるわけですよ。みんなもう少し休むわけなのです。「皆がもっとゆとりのある生活をしようじゃないか！」と失業者対策として、政治家達が党の意見として言い始めたのです。

b.スウェーデンの余暇の過ごし方

日本と全然違います。そして、余った時間何をしていると思います？スウェーデンの人たち、日本人ほどあくせく夜まで働いていないです。夕方には終わってしまいます。夕方から３分の２位の人達が地域のボランテイアをします。
エレクトロラックス、日本で言う松下や日立とかの大手の家電会社があります。そこのえらい人が週末や平日の早く帰った時とかに、野外生活推進協会のリーダーをやったりするのです。地域のそういった活動を手助けするのです。自分から進んでいろんなことをやっている訳です。これを、あたりまえのこととしてやっている。豊かな国民とはこういうことなのではないかと思うのです。
例えば、静岡のゴミについて興味を持っている人が、サラリーマンの中にどの位いるでしょうか？忙しくてそれどころじゃないじゃないですか？…普通は。でも、生活にゆとりがでてきたら、静岡のゴミはどうなっているか？経理に詳しい人は経理の目でその問題点を見てくれるかもしれない。経営にたずさわっている人は、他の面から見てくれるかもしれない。街づくりについて、興味を持っていろいろやってくれる人が出てくるかもしれない。そしたら街はもっとよくなります。

c.ドイツは何故リターナブルが多いのか？

それと、もう一つ。環境産業で言うと、私はデポジットを今こそ、やるべきだと思います。さっき、リサイクルはダメだと言いました。すぐに壁にぶち当たるから。リサイクルよりリユースって当たり前のようにいいますけど、これが海外ではどう思っているか？というと、ドイツでは、リターナルビンという何度も洗って使うビンの比率を法律で決めています。７２パーセントだそうです。飲料容器の７２％は何度も洗って使えるビンでなければいけないと法律に書いてあります。でも７２％というのは、「ビールはどうなんだ？ミネラルウオーターはどうなんだ？どうやって調整しているんだ？」と疑問に思いますね。それぞれの商品毎にもっと細かくなっています。「ビールは９０％」がリターナルビンでなければいけないと決まっているのです。「ミネラルウオーターは９０％」「炭酸飲料は８０％」「缶ビールは１割」しか作ってはいけないのです。売ってもいけません。「もし、この７２％という数字が法律に書き込まれていなければ、ドイツはどうなったと思いますか？」とドイツの商工会議所の人に聞いてみました。そうしたら、「たぶん日本と同じになっていた！」と言うのです。（どんどん使い捨てに変わっていったと……）ドイツ人は環境意識が高いと言っていますけれど、この法律がそれを支えているだけなのです。その証拠に、この法律ができて、もう何年もたちますけど、ドイツのリターナルビンの比率は、７２％から上がっていません。７２．６％で止まってしまっています。上がりもしなければ、下がりもしないギリギリの線でこらえているのです。ドイツの国民は環境意識が高いから、リターナルビンを使っているんではなくて、この法律が支えになっているだけだと言うことを知りました。
日本の場合、こういう法律がありませんから、３０年前、私が子供の頃は、ジュースはスプライトやプラッシーなどでガラスビンでした。牛乳は牛乳ビンだったりで、リターナルビンだらけでした。コカコーラの自動販売機もリターナルビンが出てきました。その場で飲んで置いて行ったのです。３０年前は１００％リターナルビンだったのが、今は、ビールの場合、たったの３７％です。缶ビールが５７％。その他は樽ですけど、缶ビールがものすごい勢いで出てきました。ジュースなんてもっとひどいと思います。

d.スウェーデンでデポジット制になった理由！

スウェーデンは全部デポジットにしました。どのような方法でしたかというと、アルミ缶で向こうは売っているのですが、環境の面から考えると、散乱や資源の問題から見ると、アルミ缶が良くないと言われ始め、すぐ手を打ったのです。それは、「缶ビールや缶ジュースを作っている会社に、回収率を７５％以上回収しなければ、飲料容器にアルミ缶を使うことを禁ずる」と法律で決めたのです。７５％以上にしなければいけない。これは、たいへんなことです。それで、メーカーの方がデポジットにしてきたのです。デポジット以外でこんな高い回収率を作れるわけがないから、メーカーが、リツール会社というのを、皆でつくりました。それが、アルミ缶のデポジットを進めることになったのです。今、スウェーデンのアルミ缶の回収率は９３％です。

e.デポジットの買取り価格の決め方

そして、その後ペットボトルの問題がでてきました。今度は、ペットボトルはリターナブルでなければいけない。それで、デポジットを義務づけました。１９９１年くらいのことですが、使い捨てのペットボトルですと、どんどんリサイクルゴミが増えて、使い切れません。だから、リターナブルのデポジットです。ヨーロッパの場合、ドイツもそうですが、リターナブルの何度も洗って使えるペットボトルに１９９１年から変わりました。今、ヨーロッパに行って、ペットボトルを買ったら、ゴミ箱に捨ててはいけないのです。お店に戻すと、スウエーデンの場合、７０円とか８０円。ドイツの場合６０円くらい戻ってきます。「１本当たり戻って来るお金が何て高いんでしょう！」と思いますね。それは、新しいビンを作る料金よりもちょっと安い料金にしているんだそうです。たとえば、ペットボトルは、８０円かかるとしたら、７０円にしているのだそうです。戻ってこないとメーカーが損をします。そういう値段設定になっているのだそうです。缶の場合、スウエーデンでは、１缶戻すと２０円くらい戻ってきます。散乱ゴミもなく、税金も使わずに、完璧なリサイクルができているんです。

f.日本では何故デポジット制ができないのだろう？

何故、日本が法律にできないのか？私は１０年間考え続けてきました。そしたらですね、反対しているのはメーカーですね。メーカーといっても一部ですから、政治家がしっかりしていればできるはずです。経団連も反対しています。なぜだろうと思ったら、間違った情報がいっているのです。デポジットの事を調べた時に、経団連に資料をもらいましたが、アメリカではデポジットはうまくいっていないと書いてあるんです。「どこがだと思いますか？」うまくいっていないと書いてあったので、見に行きました。ニューヨークへ。
ニューヨークは、ビン、缶、ペットボトルの３つ共デポジットです。ビン、缶、ペットボトルも、お店に戻すとお金が戻ってきます。５セント。だから道端には、空き缶やペットボトルは転がっていません。あの人種の坩堝（るつぼ）のニューヨークですから、ゴミは転がっていますが、飲料容器は転がっていないんです。そして、ゴミの埋め立て地にも行って来ました。ゴミの埋め立て地にも缶もペットボトルも来ていない。これは、すごいことです。回収率はどの位ですか？と聞いたら８０％くらいだと言いました。８０％というのは、道端に缶やペットボトルが転がっていない。ゴミの埋め立て地に行っても見つからない。これが８０％です。

g.空缶回収率のウソ

さて、日本の空缶の回収率、いくつだと思いますか？アルミ缶業界やスチール缶業界が発表しているのは、８０％ぐらいなんですよ。７５％、８０％とかこの春発表していました。誰が信じますか。この数字。私は実感としてウソだと思いました。そして調べました。徹底的に！その結果その半分くらいでした。なぜ、こんなウソがまかり通るのか。この空缶回収率を発表しているのは、飲料メーカーなのですよ。飲料メーカーが自分の都合のいい数字を出していると思った方がいいと思いました。日本テレビが日本テレビの視聴率を発表しているのです。これは、いくらでも変えられますね。データを出して下さいと言ったら出さないのです。出さないというのがおかしいでしょ。それで、データは出さなくても、ある程度まで出してくれた数字をもとに検証していったら、まったくのデタラメ！この回収率は、半分以下だと思った方がいいということがわかりました。
でも、このデタラメの数字を、毎年発表するわけです。通産省の記者クラブで。そうすると、新聞業界も書くわけです。今年のアルミ缶の回収率は７９％ですって。アルミ缶協会の発表ですって、ドーンとその数字が出てしまいます。そして、実際のパンフレットには、その数字が載るのです。アルミ缶の回収率は７９％と、世界一を誇っていますと書かれてしまうのです。ちゃんと検証されていない、第三者機関がきっちりこの通りだと、言ってもいない数字を使うのは大まちがいです。だから、法律にならないのです。「日本は世界一の回収率を誇っているのに、何故、デポジットにする必要があるか？自治体の回収で充分じゃないか！」ということになってしまうのです。まちがった情報はまちがった法律を生む。正しい法律を作らない。私はつくづくそう思いました。この、ウソの弊害というのは、空缶回収率もそうですが、他にもいろいろあります。

h.高層ビルは先進国のシンボル？

先進国は高層ビルがつきものです。ヨーロッパに行ったら、ウソウソ！高層ビルは時代遅れだと言われるます。ドイツのボンに行って、高いところから市内を見下ろす情景カットを撮りたいと言いました。そしたら、「高いところはここです。」って、市役所の上に行って、８階建てだったのですが、屋上へ行ってみたらですね、向こうの方に高い団地があったのですよ。１０階建てくらいだったかな？あっ、高いビルがあるじゃないかと思ったら、「あれは、１０階建てですね。あれは失敗だったんです。もう２度とああいうものは造りません。」と言うのです。「この市役所でさえ、高過ぎます」と言うのです。イギリスは５階建てのマンションを（これ高いと言えませんよ！）３階建てに建て直していますよ。
「人々の心の中の様子を見てみたら、高層ビルで暮らすことは、マイナスが多すぎる。特に、子供には良くない」という様々な研究成果が出てきているのです。６０階建てなんて、住めたもんじゃないです。精神的にも、物理的にも、人間は鳥じゃないのですから。それと、エレベーターで行ったり来たりするには、電気がかかります。窓ガラスも開けられない。高層ビルは時代遅れだということがわかったのです。アメリカですら、ダウンゾーミング、高さ規制を厳しくしてきている。こんな情報が、なぜ伝わってこないのか。それは、ゼネコンがこんな情報を流してくれないからです。高層ビルを造りたがっている訳なのです。これは、間違った情報なんだということがわかりました。だから、みんな失敗しちゃったじゃないですか。大阪だって、高いビル建てて、財政難に陥っちゃったし、東京だって、あんな高いのばかり造っちゃって財政難です。維持管理費が何倍もっかっちゃいますから。

i.下水道は文化のバロメーター？

それと、もう１つ。「下水道は文化のバロメータ。下水道普及率は日本はたったの何十％！先進国とはいえない！」とか言って、そうかなと思って、下水道先進国のスウエーデンへ行ってみました。そうしたら、「下水道？あれは失敗でした！」と言うのです。えっ？と耳を疑いました。
それは、一気に集めて、海のところでそれを浄化して、流すのは海です。それでは、窒素とか、リンとかそういったものが、取りきれないのだそうです。「一番いいのは、その場で、うんちやおしっこを取って、畑に戻すこと」だって。なんだ、日本で昔やってたことじゃないかと思いました。それを、今風にやり始めているんです。最新のエコビレッジは、うんちやおしっこを下水道に流すんじゃなくて、畑に戻しているのです。そして水もその場できれいにして、小川に戻しています。そうすると、水は三尺流れれば、きれいになる。太陽の光と微生物で、水はきれいになる。栄養分はそれぞれの葦やよしだとか、そういうものに吸い取られていく訳です。集中的な下水道は、あれは失敗だったというのです。日本がこれから進むべき道は、もう一歩先を見た方がいいなと思いました。合併浄化槽とか、そういうものが、もっと良かったかもしれないなと思いました。自分で確かめてみることだというのが、私の結論です。

６．ゴミにかける夢（まだやれることがあるはずだ！）

a.脱石油文明！

今起きているダイオキシンや温暖化は、石油文明のツケです。温暖化は、何故起きたのか。これは、地下深くに眠っている石油、石炭、天然ガスをたった百年くらいで燃やしてしまっているからです。だから、石油、石炭、天然ガスをやめることだと、スウェーデンで言われました。「えっ？そんなことできるのですか？」「できます。それは、木を燃やすことです。」何なんだそれは、と思ったので「どういうことですか？」と聞きました。例えば、火力発電所。石油でおこしていた火力発電所が、今スウェーデンでは、どんどん木くず発電所になっています。それは、林業が盛んなところですから、枝や葉の皮が出てきますね。あとは間伐材、製材工場で出てきたゴミ、それを原料にしています。そして、発電するのです。「でも、それでもCO2が出ますよ！」と言ったら、「植物や木はたとえ朽ちても、朽ちていくときにCO2を出すでしょ。燃やしても、同じ量のCO2です。だから、地上に生えているものは、再生不可能になるほど伐採しない限りは、バランスがとれているのです。木を切ったら、その後に木を植えます。新しい木は、CO2を吸ってくれます。だからバランスがとれているのです。バランスを崩したのは、１億数千年前の炭素を取り出して、一気に燃やしているからです。何百何十年分の炭素かもしれない。これを燃やしてしまったから、温暖化になったのです。」と教えてくれました。「だから、地上に生えているものを計画的に使うことが、これからの温暖化対策だ」と言うのです。

b.大型ゴミ焼却場でダイオキシン対策

それから、みなさんご存じのように、ダイオキシンはプラスチック文明になってから、どんどん出て来ました。この２つをいっぺんに解決する良い手があるのです。ゴミの熱回収です。ゴミはダイオキシンの場合、高温で燃やせば分解します。高温でずっと燃やすことなのです。立ち上がりと終わりにダイオキシンがいっぱい出ます。ということは、ずっと燃やし続ければダイオキシンは出にくくなる。２４時間連続運転です。ということは、たくさんのゴミを集めなければいけない。これは、大型のゴミの焼却場を造らなければいけないということになります。厚生省が大型のゴミ焼却場を造ることを推進したとき、「また、そんなプラントメーカーを儲けさすことをして……」と一瞬思いました。
でも、スウェーデンやドイツに行って考えが変わりました。みんな大規模です。たとえば、スウェーデンのゴミ焼却場は２１ヵ所しかありません。ドイツも５０数ヵ所。日本は自治体だけで１６００あります。産業廃棄物のものを含めると９万カ所あります。なぜ、こんなに多いのか？みな小さいからです。ヨーロッパのゴミ焼却場はなぜ大きいか。これは、熱エネルギーを回収するために造られているからです。２４時間運転して、熱エネルギーを出す。発電もします。でも発電なんかいくらがんばったって、熱エネルギー回収効率は２０％止まりです。

c.熱エネルギーでお湯！

日本のゴミの場合は、残り８０％は捨てています。この８０％をヨーロッパの場合、お湯にして取るのです。お湯にして取ったものを、パイプラインで各家庭、病院、学校に配って回っています。暖房もだからそのお湯です。家に穴を開けるのですよ。パイプを通すために。その後は自分たちで、パイプラインを工事してもらって、パネルを設置します。パネルの中にお湯が通っているのです。ほのかな暖かさ、だから、寒い冬は、一晩中つけています。だから、石油ストーブはいらなくなりました。電気のエアコンがいらなくなったのです。ゴミの熱で家の中を暖房していますから。
日本は８０％エネルギーを捨てています。造ったとしても温水プールぐらい。温水プールなんて、焼却場一カ所で２０個くらいできしまいます。そして、なぜ、大型がいいかというと、ダイオキシンを減らすのも、熱エネルギーを取るためにも有効だからです。だって夜になって止まってしまったら、暖房になりませんから…。電気も止まったらいけませんから、２４時間動いていなければいけない。そして、もう１ついいのは、ダイオキシン濃度を０．１ナノグラム下げるためには、ものすごい設備投資が必要です。小さな焼却炉にも、設備投資は同じくらいのお金がかかりますから、ダイオキシン０．１にするため、１６００カ所もある日本の焼却場に、それだけのお金をかけられますか？と言いたい。これまた、破産してしまう。スウェーデンもドイツもみんな大型でしたから、２１カ所にダイオキシン濃度を下げるための、徹底的な機械システムを導入しました。ものすごくお金をかけました。でも経営はできます。なにしろ、熱エネルギーを売っていますから…。自治体が電気もお湯も売っています。黒字会社です。だから、お金をかけるかいがある訳です。産業廃棄物もそれで燃やしております。解体ゴミがあちこち不法投棄されていますが、家の解体ゴミなんて、いい燃料ですから、買っているのです。スウェーデンは、燃料になる産業廃棄物は買ってあげる。そしたら不法投棄はおきません。燃料になってそして環境も守れる。

d.ゴミにかける夢！

ゴミにかける夢というのは、これなのです。ゴミのエネルギーを見直そう。これが温暖化対策とダイオキシン対策になる。まるで桃太郎の世界。おばあさんは川へ洗濯へ、おじいさんは山へ芝刈りに、芝は燃料を取りに行ったわけです。昔から芝は燃料でした。
日本はスウェーデン以上に木材に恵まれています。これを利用しない手はありません。「おばあさんは川へ洗濯に…（＝これは合成洗剤を垂れ流して…）」分解できないものは垂れ流したりはしていません。分解できるものしか流してはいけないという、おとぎ話だと思うのです。循環型社会はこの２つだと思います。そして、鬼退治の鬼は何か。私たちの欲望だと思います。もっと便利に、もっと楽に。それを退治した、おじいさん、おばあさんの生活になることだと思います。

＜編集のあとがき＞

98年１２月５日荻原弘子さんの講演記録をここにお届け致します。挿し絵もなくグラフもない文字ばかりの記録集になってしまいました。しかし、荻原さんの講演それ自身がとても分かり易く、かつ論理的で現場からの生の声を元にしたものであるので、編集のまずさを打ち消してくれるすばらしいものだと思います。
１２月５日の集会に参加されてこの講演をすでに聞いた方も含め、多くの人に是非読んでいただきたいと思います。全編にわたり、荻原さんのゴミ問題、ゴミ有料化、デポジットにかける熱意に満ち溢れています。
荻原さんには、テープ起こしをして、ワープロに打ち直した段階で原稿を電子メールでお送りしたところ、何ヶ所かにわたってチェックを入れていただきました。しかし、編集の未熟さ故、まだまだ誤字・脱字・意味不明のところが多々あるとは思いますが、どうぞお許し下さい。
この講演記録をカンパもいただきながら静岡で配布することを快く承諾していただきました荻原さんに本当に感謝したいと思います。そしてテープ起こし、ワープロ打ちにご協力をいただきましたゴミゼロネット参加者の鈴木明子さん、林泰子さん、鈴木章夫さんに心から御礼を申し上げます。

１９９９年５月３０日ゴミゼロネット壷阪道也

発行責任「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク