「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク（略称ゴミゼロネット）
〈第２４回会合のお知らせ〉毎月第２土曜日
日時１９９９年１０月９日(土)午前１０時～１２時
所アイセル２１４階４１集会室「街と生活を考える市民センター」名で借りてあります）

<９月１１日第２３回の概要>
１１名の参加者がありました。県環境フェア出展についての実務的準備について、もうひとつのゴミゼロプラン再生紙推奨品リスト作成の経過報告、紙ヒモツアーの反省等を話し合い、２時間を終えました。

〈紙ヒモツアー報告〉
去る８月２３日中学生以下４名を含め計２７名（東京から５名参加）で志田紙工、植田産業（紙ヒモ、紙ヒモＰＰバンド製造）、中村製紙（紙ヒモ用の原紙を牛乳パック、紙コップから抄紙）、富士工業試験場を見学し、東京からの来客を含め、新富士駅近くで交流会を持ちました。静岡の古紙回収には欠かせない白い紙ヒモ、ついこの間までビニールヒモだったのが、茶色ヒモ…とあっという間に変わってしまったという印象がありますが……。

牛乳パックや紙コップは内側に撥水効果を出すためにラミネート加工されています。１０ｔの古紙を再生しようとしても３ｔ以上のラミネート入り製紙スラッジ(製紙カス)が発生し、ゴミとして処理をしなければなりません。
中村製紙ではこのラミネート製紙スラッジをガス化してボイラーの燃料にする装置があり、ボイラー燃料の９割以上をこのガスによってまかなっています。理想的なリサイクルシステムではあるのですが、「この設備に数千万円以上かかっているので元はとれていない」（専務の弁）そうです。
バージンパルプから抄紙するよりははるかにマシですが、再生紙を古紙からつくるには莫大なエネルギーと大量の水を消費し、その汚水管理も製紙工場にとってはたいへんなな仕事になっています。そして製紙工場は熱くて厳しい労働環境です。
植田産業では紙ヒモからＰＰバンド(通常はビニール製)製造や紙ヒモ手工芸をはじめていました。紙ヒモから新しい文化の創造の息吹すら感じられました。（Ｔ）

それではどうやって静岡で紙ヒモが普及するキッカケがつくられたのでしょう。その理由の一つがわかるゴミゼロネット参加者の栗岡さんの記録を紹介します。古紙ネットの機関紙への投稿文を本人の了解のもと縮小編集しました。（Ｔ）

　古紙回収の時、大量のビニールヒモがゴミになっていました。娘の通う小学校の古紙回収では１回の廃品回収でワゴン車いっぱいのビニールゴミがでます。（ビニールヒモがなければ引き取り価格を１～２円／㎏上げてもよいと業者から言われていたぐらいです）リサイクル運動をしながら、新たなゴミを出していたわけです。
　紙ヒモの良さは、古紙と一緒に再生できるのでゴミが出ないこと、回収業者の手間が省けるのでリサイクルコストが安くなること、紙ヒモ自体がリサイクル品であることです。

　私が紙ヒモに出会ったのは1997年です。当時は静岡ブランドのトレペ・静岡坊主に関わっていたため、古紙問屋の組合の人達とも交流があり、ある日、組合の半田商店や開発紙業、そして一緒に静岡坊主に取り組んでいたＫさん等と、紙問屋・タカサワに寄り、雑談している時にたまたま見せてもらったのが白い紙ヒモでした。話題が一気に古紙回収に飛び、これで新聞を束ねよう、紙だからそのまま製紙会社に納入できるという話しになったのでした。

　静岡に戻り、Ｋさんとあちこち紙ヒモを紹介して廻りました。市内はもちろん、焼津市や御前崎町の人等も推進してくれ広まりかけた時、トラブルが発生。それは紙ヒモの色でした。初め私達は、半田商店が運んでくれた紙問屋タカサワの在庫の白ヒモを紹介していましたが、高沢社長の紹介で、秋田での紙ヒモ運動を知り、その紙ヒモを探し当てました。
やがて届いた紙ヒモを見てビックリ。なんと茶色（クラフト）だったのです。問い合わせてみると「確かに塩素で漂白したものより無漂白の方がいい。どうせ切るなら切ったヒモを段ボールに混ぜればゴミも出ないし、白ヒモより茶色の方が丈夫だ」からと東北では無漂白で丈夫な茶色の紙ヒモを進めているとのことでした。
　古紙問屋組合の理事長に「白と茶色の紙ヒモではどちらが良いか？」と聞くと、「紙ヒモは板紙となら溶けるが新聞と一緒にはムリ。白も茶も切る手間は一緒」。ということで私達も白をやめ茶色を進めることにしました。

　茶ヒモが新聞に大きく取り上げられ広がってきたのを知り、あわてたのが古紙を実際に回収している半田商店さん。白ヒモなら新聞と一緒に溶かせるはず、と王子製紙に持ち込みました。結果は「白い紙ヒモなら新聞を束ねたまま搬入ＯＫ。でも茶色はダメ」。それを受けて、彼は組合に働きかけ、白い15号（ヒモの直径が1.5ミリ）の紙ヒモを積極的に売り始めました。私たちが進めていた茶色の30号とは強度に雲泥の差があり、初めは「組合の紙ヒモは弱い」とクレームもありましたが、実際回収する人が「茶色はダメ、白にして」と言い出したものですから、その言葉の重みに現場は混乱。
　仕方なく「新聞は白。でも15号は切れやすいから20号以上で。新聞以外は無漂白の茶色でね」とお願いを始めましたが、よほど環境に関心のある人以外使い分けは難しく、茶ヒモは急激に売れなくなってしまいました。

　実は静岡県島田市では以前から紙ヒモで行政回収を行っていました。島田は東海パルプがあるせいか、ヒモもゴミ袋もクラフト紙。新聞も茶ヒモで縛るそうです。板紙に使っているせいでしょう。王子製紙は新聞からコピー用紙等も作っているので茶ものが混ざると困るそうです。
　県内の紙ヒモ使用状況は、浜北市の市民グループや天竜市の消費者協会では無漂白の見地から今でも茶色の30号を勧めているとのこと。掛川市では市民グループの人が私の送った資料を参考に茶と白の使い分けを勧めてくれているようです。焼津市では今年１月から「古紙は紙ヒモで縛る」と決まり、全世帯に白の20号の紙ヒモが配られました。藤枝市や浜松市、御前崎町、岡部町、金谷町、由比町等でも白い紙ヒモが広まっています。目下、静岡市は７割強、隣の清水は約９割の紙ヒモ使用率です。（９９年２月現在）

　ここまで来ても、私はあくまで無漂白にこだわっていました。なぜ束ねるだけのものに塩素を使わねばならないか納得いかなかったからです。「せめて酸素漂白にして」とメーカーにいうと最初は一笑に付されていました。
　それでも静岡でも何とか白の無漂白ヒモを作ろうと、中村製紙に何回も電話したり、「どうしても無漂白の白が欲しい」と手紙を書いたりしました。その結果、新聞古紙を入れた無漂白紙ヒモを作ってもらえる事になったのでした。
　一ヶ月後、中村製紙に打ち合わせに行った時、「あるメーカーから紙コップの端材の処理を頼まれ、静岡市の古紙問屋の組合からも使用済み紙コップを回収するから買って欲しいといわれている。紙コップを漂白せずに使ってはどうだろう？」との提案がありました。ところが思ったより紙コップは短繊維で、強度がでない。そこで今度は紙コップに回収牛乳パックを３割入れて作ってもらうことになり、今度は成功。漂白していないので、紙コップの模様がまるで色砂を散らしたように残っていますが、地はきれいな白なので王子製紙も文句はないでしょう。かくして古紙問屋組合でもこの紙ヒモの15号を扱うことになったのです。

　茶色の紙ヒモは100％雑袋古紙からできますが、白い紙ヒモはバージンパルプか紙パックが主原料でなければできません。エコマークの入った紙ヒモは大抵牛乳パックが使われています。新聞を入れるにしてもせいぜい３割位が限界であとはパルプか紙パックを混ぜるしかないでしょう。それならば紙コップを回収し、それで紙ヒモを作ればゴミ減量に役立つのではないでしょうか。
　今、全国的に古紙を巡る状況は急激に変化しているのを感じます。紙ヒモの原料も今後変わっていくかもしれません。何がエコロジーかはその時の世の中の状況によっても変わることに留意して欲しいと思います。

紙コップ製紙ヒモの価格は下記にお問合せ下さい。ぜひお試し下さい。
●志田紙工（中村製紙）富士市比奈623-1 Tel.0545-38-0550 Fax.0545-38-2557
★15号（100Ｍ巻）（１ケース40個入り）★20号（100Ｍ巻）（１ケース30個入り）★30号（100Ｍ巻）（１ケース30個入り）
※代金は商品到着後１週間以内に振り込んで下さい。注文は１ケース以上
＜問合せ先＞栗岡TEL・FAX054－209－1587

〈リサイクルは万能ではない…再生紙編〉
製紙工場を見学して製紙スラッジの問題があることが見えてきました。
３００万ｔの古紙を回収して２３０万ｔの再生紙を生産しても生活用水の１０倍の水を使い、年間７０万ｔ以上の産業廃棄物“製紙スラッジ”を発生させています。そのほとんどは燃やされ、その焼却灰の半分以上の９万ｔが富士のすそ野３０㌶の産廃処分場に埋められています。（静岡市のゴミ焼却灰埋立量毎年約３万ｔ）
再生紙はバージンパルプ紙より、森林保護、エネルギー水消費の観点から、地球に優しいことは明らかですが…
再生紙と言えども、大量の生産・消費は自然に大きな環境負荷を与えていることは重要です！

光沢加工紙は環境にやさしいか？
光沢加工紙を知っていますか？本の表紙やパンフレット類で光って見えるアレです。主にはＰＰ（ポリプロピレン）をラミネート加工し表面に貼りつけてあります。紙ヒモの原料になる牛乳パックや紙コップの表面加工もそれです。

光沢加工紙業界はラミネート加工紙は古紙再生も容易であるし、ＲＰＦ（ＲＤＦの一種の廃プラ固形燃料）の重要な原料になる環境にやさしい商品だと言っています。しかし、古紙再生はただでさえ製紙スラッジの問題をかかえています。ラミネート入りの製紙スラッジの処理がたいへんなことは今回の紙ヒモツアーで目の当たりにしたことです。
光沢加工は繰り返し長く使うものを保護するためには大切な技術であると思われますが、使い捨ててしまうパンフレット類、残念ながら、１年間で寿命が終わる教科書などにはできれば避けたいものです。

公の機関はもちろん、環境問題を扱うパンフレット類も光沢加工紙が使われるのを目にします。再生紙であれば環境にやさしいと考えてしまいがちな風潮があります。再生紙であっても自然に与える悪い影響があることも広めていかねばならないと心の底から思いました。（Ｔ）

〈ゴミゼロ短信〉
瀬名のお祭りでは堆肥化拡大・環境アンケート等が行なわれ、大谷の夏祭ではゴミ分別ゲームやケナフの皿が使われたそうです
☆静岡県環境フェア

９月２３日(木)祭～２５日(土)
２５日(土)午後２時～４時半
ゴミゼロセミナー４０６・７会議室
所ツインメッセ静岡
☆静岡市生活フェア
１０月２３日(土)～２４日(日)
所静岡市市役所
「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワークとは？

９７年１０月地球温暖化防止京都会議に向けて静岡大学で行われたシンポジュウムの「ゴミ・リサイクル分科会」から生まれたゴミ問題、リサイクルを考える市民団体です。
<連絡先> 壷阪道也〒421-0111 静岡市丸子新田277-4
TEL・FAX 054-257-3177 Email mirai2@bj.mbn.or.jp