三重RDF大事故分析…津川敬さん他03年8月31日

皆様、遅れてきた夏をいかがお過ごしでしょうか？(^o^)丿

世界中でも心を痛めることが頻発していますが、
日本も私たちが出すゴミをめぐって、死者が出るという大惨事が起こってしまいました。
RDFはなじみのない人にはピンと来ないことが多いことかと思います。
溶融炉とは別ものですが、「科学技術が何かしら解決してくれる」「誰も言わないから大丈夫」という安心感？からかRDFで事故が起きたのです。それでもまだ、この国は政府・民間・市民を問わず懲りていないような感じです。
静岡県では、全国に先駆けて、公共関与の民間エコセメント計画が進行中です。詳細はまだ明らかになっておりませんが、これにも注視していきたいと思います。

　津川敬さんから三重県RDF事故に関する分析を送っていただいたので紹介します。

　福山のRDF事故か？も気になります。出雲の引渡しが又延期になったようです。

（壷阪道也）
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＜INDEX＞
●伊勢新聞の記事から　津川敬さん　０３年8月３１日０９：２５発
●福山RDF発電所で異変？　津川敬さん　０３年8月３０日００：０３発
■エネセン引き渡しを延期／「住民感情」考慮、工期は終わる　島根日日新聞8月30日
■出雲エネルギーセンター、またまた引き渡し延期　山陰日日新聞8月３０日
●大井川町が港湾活性化構想　河口に廃棄物処理区域＜03年4月26日静岡新聞　静岡版＞
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●伊勢新聞の記事から　津川敬さん　０３年8月３１日０９：２５発

　津川です。三重のＲＤＦ発電所にご一緒した処分場ネットの大橋光雄氏が伊勢新聞（現物）を８月１５日付けから２８日分まで取り寄せてくれました。それを読んでみるといくつかの問題点が改めて浮かび上がってきます。以下、箇条書きにしてみました。

《事故に至るまで》
①　出雲広域と同様、昨年１２月１日のＤＸＮ恒久対策に合わせて建設工事が行なわれて　いる。
②　稼働直後からサイロの異常発酵がはじまっていた（１２月２３日）。
③　年明けの１月には発電タービンの損傷、３月にはボイラートラブル、７月に至りサイ　ロ内で高い発熱を起こしている。
④　８月１４日（木）、最初の爆発、下請労働者４人が爆風で負傷。
⑤　８月１９日（火）、大爆発、消防士２人が殉職。

《無責任体制》
①　夜間に県の職員は常駐せず、安全面も含め、管理運営を委託している富士電機側に丸　投げ。企業庁自体が「安全管理内容」を把握していなかった。
②　１４日の第一次爆発で稼働を中止すべきだった。県は１４日の事故に関して住民説明　会を開催せず、１９日の消防士死亡事故のあと、はじめて開いた。
③　２０日、初の共同記者会見（県企業庁、富士電機、桑名消防本部）。三者の言い分に　深刻な食違いがーーー　。
（企業庁）
「ＲＤＦのことはプロポーザル方式（事業提案型の入札）で請負業者になった富士電機に一任。消火については専門家である桑名消防に任せた」。
「１４日の火災事故で貯蔵庫に４ヵ所の穴を開けるよう決定したのは富士電機。水を掛けるよう決めたのは桑名消防」。
「放水によって石灰が反応し、発熱する危険を事前に察知しながら放水がはじまった時点で業者と桑名消防からの事前連絡はなかった」。
・以上の発言に富士電機側が頭にきたらしく、「事前協議には県の職員も加わっていた」と反論。これに対し企業庁側が「事後に連絡はあったが県も交えた事前協議はなかった」と再反論。
（富士電機）
「ＲＤＦのデータは県から貰った。しかしうち（富士電機）は装置の構造は把握しているが、我々はＲＤＦの専門家ではない」。
・両者のヤリトリに桑名消防側が呆れ、「当然管理責任者が熟知していると思っていた。聞いてビックリだ」と企業庁、富士電機双方を暗に批判したという。
　伊勢新聞はこの件についてこう結ぶ。「専門家でないとお互い責任をなすり合う県と業者の指示に従い、二人の部下を失った無念をにじませた」。
・県はしきりと「不良品が混じっていた」と取材に答えているが、ＲＤＦそのものが欠陥技術の産物という認識が皆無だった（津川）。
《放水問題》
①　最初（１４日）のサイロ爆発の際、企業庁は桑名消防本部に消火の放水量を制限して　いた。地元との協定で発電所外に排水できなかったためである。
②　発電所設置の際、「環境保全協定書」を締結し、その中で「ＲＤＦ焼却・発電プラン　トからの排水はない」と県側は断言した。つまり雨水以外は外に出さない、と約束して　いたのである。
③　しかし去年１２月のサイロ発熱で冷却処理水を河川に放流したため問題化した。今回　は企業庁が河川への汚水流入による問題の再燃を恐れて放水を制限した、という。
④　この事態に消防本部は「放水を制限されるのは痛い。燃えている以上に水を掛けなけ　れば効果はなく、消防がもっている能力が生かせなかった。火災は異常事態。消防に任　せてほしかった」と口々に話したという。
⑤　問題がもうひとつあった。ＲＤＦ発電所建設に際して土地取得がゴタゴタし、十分な　面積を確保できなかった。そのため小さなサイロを複数つくるという計画が、高さ３０　メートル、直径１５メートルという巨大サイロを１個つくらざるを得なかったという。
《またも御用学者》
①　８月２２日（金）、県の事故調査委員会（委員長・笠倉忠夫：豊橋技術科学大学）が　緊急召集される。
②　委員長は新聞記者にこう語ったという。「地球環境上、有効なものだし、廃れさせる　のではなく、安全に使うようにしていければと思う」。
・こんな人物が委員長を務める事故調査委員会が出す結論はいまから目に見えている（津川）。

《目下の状況》
①　ようやく鎮火の傾向で、２５日以降、巨大クレーンでの掴み出しがはじまった。〈ク　レーンの先にシャベルをつけた重機「クラムシェル」。テレビモニターで遠隔操作〉。②　クラムシェルの能力は１回当たり１立方メートルであり、搬出作業の終了はほぼ１週　間と予測した。
③　しかし大部分が炭化し、脆くなっている上、大量の水を含んでいるため、サイロ内の　ＲＤＦは当初、重量で４００トン、５６０立方メートルとの予測が、６００トン、１２　００立方メートルと判明。さらに１週間以上かかることになった（８月２８日現在）。④　８月２０日、企業庁は２６市町村（７つのＲＤＦ製造施設）のＲＤＦ搬入を停止。
⑤　しかし現場は納まらない。ＲＤＦ発電所への搬入はいまのところトンあたり３７９０　円だが、民間を含めた他の施設へ入れると１万４０００円～３万円かかるというので、　どこの施設も早期の発電所再開を渇望している。
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●福山RDF発電所で異変？　津川敬さん　０３年8月３０日００：０３発

　津川です。午後１１時半、帰宅したら留守電が入っていました。福山からです。何か試運転中に発火したらしく、目下停止中といいます。明日、すなわち３０日（土）に詳しい情報を入れてくれるそうです。
　また出雲で引渡し最終日にも関わらず、A系統の電気系統にトラブルが発生した模様です。出雲市長は『引渡しに問題はない』と強気ですが、周辺自治体からは「今のような状態で引渡しを受けるのは躊躇せざるを得ない」との声もでているそうです。
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http://www.shimanenichinichi.co.jp/db/show.phtml?ki=200308300101

　島根日日新聞8月30日
■エネセン引き渡しを延期／「住民感情」考慮、工期は終わる

　八月三十一日に完工引き渡しが予定されていた、広域ごみ焼却処理施設「出雲エネルギーセンター」について、発注者の出雲市外６市町広域事務組合は二十九日理事会を開き、工期の終了を認めた上で引き渡しは受けず、一カ月間は施設の安定稼働を確認するとした方針を決めた。建設と施設運営に当たった日立製作所・バブコック日立共同企業体は組合の方針を受け入れた。引き渡しは順調にいって九月末になる。施設は相次ぐトラブルによりこれまでに二度の工期延長をしていた。良好な性能試験結果を残した上の引き渡し延期について理事会は、安定稼働を心配する住民感情を反映させたためとしている。
　組合の西尾理弘代表理事（出雲市長）は延期措置に「工事は終わっているが安定的に動くかどうか様子を見る。引き受け準備期間だ」と話している。引き渡しを受けるかどうかの見極めは、日量で定格の二百十八ｔ程度の処理が安定的にできることなどを上げている。
　延長した一カ月間の施設の管理責任は日立ＪＶで、その間の運転経費も同社が負担する。九月一日以降は、これまで暫定措置として一部市町のごみを焼却していた神西清掃工場を閉鎖。出雲・平田・大田市と簸川・邇摩・飯石郡の合わせて十四市町村のごみを受け入れる。
　組合は「引き渡し延期」に当たって日立ＪＶと再契約を結び、施工管理に当たったコンサルタントとも再度契約を結ぶ考え。
　組合の判断に尾見仁一日立製作所ソリューション本部長は「住民感情が第一なので、考え方としては分かりましたと申し上げた。手続き上はこれから話し合うことになるだろう」と話している。
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http://www.sanin-chuo.co.jp/news/2003/08/30/01.html
　山陰日日新聞8月３０日
■出雲エネルギーセンター、またまた引き渡し延期

　八月末の引き渡し予定だった可燃ごみ処理施設「出雲エネルギーセンター」（同市芦渡町）について、出雲市外六市町広域事務組合（代表理事・西尾理弘出雲市長）は二十九日、安定的なごみ処理に不安があるとして、引き渡しの延期を決めた。引き渡し前性能試験はクリアしているため、工期は完了するが、メーカーが経費負担する準備運転期間を設け、稼働状況を見極める。期限は定めていないが、西尾代表理事は「十月初旬の引き渡しが目途」としている。
　引き渡し延期は、同組合理事会が同日、議会全員協議会の意見を基に決めた。三月二十日、五月末に続き通算三度目。
　全協では、九月から来年三月まで日立製作所などメーカーの技術スタッフを現体制のまま常駐させることなどを盛り込んだ確認書が提示され、同社の田島卓也理事が「完成に確信を持っている」などと理解を求めた。
　しかし、議員からは「安定稼働になお懸念があり、引き受けるべきでない」「住民の不安は高まっている」などの反対意見が続出。契約に基づく性能保証項目をすべてクリアしながら、異例の延期となった。
　理事会は、日立側が運転経費を負担する引き渡し準備期間を設けることを決定、日立の了承も得た。日立側とは、あらためて協定を結ぶ。施工監理の環境工学コンサルタント中国支社との契約も延長する。
　記者会見した西尾代表理事は「住民の心配に配慮した」と話した。
　同センターは、九月から十四市町村のごみを受け入れ、一市三町のごみ処理で暫定稼働していた神西清掃工場（同市東神西町）は、予定通り八月末で閉鎖する。
　同センターは稼働を始めた昨年十二月から、一日二百十八トン（一系統百九トン）のフル稼働が、性能保証の予備、本両試験期間中の計八日間のみ。二十六日にもトラブルが発生するなど、安定稼働に不安を残している。
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＜03年4月26日静岡新聞　静岡版＞
●大井川町が港湾活性化構想　河口に廃棄物処理区域

志太郡大井川町が、町営港湾・大井川港の将来計画の中で、外港に循環型社会のモデルになるようなごみ焼却場や焼却灰の再処理施設、バイオマス〈生物資源)施設などの民間プラントを誘致する計画を進めていることが二十五日、分かった。既に地元住民に説明を始めている。

民間プラント誘致　20年度稼働目指す

メーンは焼却灰をセメント原料に再生する工場の誘致で、県内で出る焼却灰をすべて受け入れることができる大型工場の進出を期待。実現すれば廃棄物の最終処分場確保に頭を抱えている県内他市町村にも朗報となる。
計画によると、大井川河口の未利用地を「環境関連・新エネルギー事業ゾーン」とし、南堤防内の三ヘクタールから着手する。その後、海側に用地を確保し、最終的には十ヘクタールに拡大する。
ゾーン全体での一日当たりの処理能力を①可燃物は、志太二市二町の現状の排出量の約二倍に当たる四百五十トン②焼却灰・飛灰は県全体の排出量を上回る五百トン③バイオガス化ごみ六十トン④溶融化ごみ百トン―と想定し、それができる民間事業者を公募する。
公募に当たっては、県内で発生する廃棄物を対象とすることや、最高レベルのダイオキシン対策、従業員の地元採用などを条件とする。また、ごみや焼却灰の搬入、セメント原料などの搬出は、近隣のものを除き海上輸送を基本とし、港湾活性化につなげる。
本年度中に事業者選定、環境影響評価着手の計画で、二十年度の稼働を目指すとしている。
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