<三重県RDF事故関連続報>
10月8日前後のクローズアップ現代(NHKテレビ)にご注目!
RDFは夢のリサイクル技術!?とNHK?
●三重県の環境省への補助金申請には、実際建設したRDFとはまったく違う「フラフRD」での実証データー添付!?
 これは一種の詐術ではないのか!?
という趣旨の津川敬さんから以下メールが届きました。(表題は壷阪が記)
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 津川です。先月、中部地方7県(愛知、岐阜、三重、静岡、福井、石川、富山)だけに放映された「ナビゲーター」という(三重のRDF事故を扱った)番組がありますが、その後半が問題です。
 つまり大牟田の発電所ではメタン、COを測定する装置。石川(志賀町)ではタンク内部の水分と温度を一定に保つための撹拌装置をつけていた。従ってまだ事故は起きていない。ところが三重ではコスト削減のためか、そういうものがついていなかったからあの事故が起きた、という構成になっていたのです。
 しかも司会者はこう締め括りました。すなわち「RDFは環境にやさしい循環型社会にかなうものとして登場してきた。そのRDFと関連施設をこれからどうしてゆくのか。夢のリサイクル技術として定着させて行くためには徹底した安全対策が望まれる」。
 これには仰天しました。実は昨日(22日)、番組を制作したNHK津放送局からこのビデオが送られてきたのですが、そこに一通の資料が同封されていました。
 内容は以下のとおりです。
「同封させていただいた資料は三重県が環境省に補助金を申請した時の添付書類です。これが9月16日に開催された県議会議員で構成する事故調査特別委員会に配られたのですが、そこには富士電機の提案が評価される際の重要なポイントとしてアメリカ・イリノイ州ロビンズ市の施設における実証データが示されています(炉はフォスターウィラ。外国で唯一フラフ状のRDFによる高効率焼却発電の実績を持つボイラー)。イリノイ州のごみ質が果たして三重県のごみ質とおなじなのか。また外国での実証データを根拠に富士電機案を採用したとすればその判断は正しいのか、資料一式を付しましたので貴殿の見解をお聞かせください」。
 つまり富士電機の提案は「アメリカの経験を十分反映したものだから信頼性が確保できる」と三重県が評価し、環境省への添付書類にした、ということです。
 しかしここに問題が二つあります。ひとつは富士電機の役割です。たしかに元請けは富士電機ですが、実際に設備の設計、機器・資材の調達、現場での施工・工事を行なったのは千代田化工建設という企業であり、富士電機の分野は電気・計装だけです。しかし元請けになっている責任から運転管理をする羽目になっただけの話で、富士電機が「RDFについては素人」と記者会見で口走ったのも無理はありません。
 一方、千代田化工建設のHPには次のように書かれています。
「特長・4、高い信頼性が確保できます。世界で唯一商業RDF発電所(米国イリノイ州ロビンス市)を建設・運営しているフォスターウィラの経験を充分に反映できますので高い信頼性が確保できます」。
 第二に千代田化工建設の記述には見当らないフラフRDFについてです。フラフRDFとはいわば「粗雑な粒状RDF」のことで、水分がきわめて少ないごみ質の欧米だから製造可能な製品なのです。この点はわが国RDF研究の第一人者・鍵谷司氏に確認しました。フラフRDFなら三重の事故は起こらなかったかもしれません。
 ところが日本のRDFは宿命的に生ごみを混入させねばなりませんから、石灰を添加したり、乾燥工程に必要以上のエネルギーをかけねばならず、少なくとも「イリノイ州のフォスターウィラ」とは同列には論じられないのです。それをあたかも性能実証の証とし、三重県もそれを国庫補助申請の添付書類にしたところに一種の詐術、もしくはいい加減さがあったといわねばなりません。
 これまで、千代田化工建設が交渉の矢面に立ったことは寡聞にして一度もありません。しかし富士電機と一緒にこの企業の責任も問わなければ合理性を欠くことになります。
 問題がもうひとつあります。NHKは今回の取材をもとに「クローズアップ現代」を制作し、10月8日前後の放映を考えています。そこで知り合いのNHK社会情報部・Yチーフプロデューサーに電話をし、RDFを「夢のリサイクル施設」などと呼んだら推進側にすら笑われるだろう、といいました。彼もかつて「NHK特集・産業廃棄物」という10年に一度出るかどうかという傑作を世に送った人物ですから、充分その辺はわかっていました。
 とりあえず10月8日前後の放映をお見逃しなくーーー。

   津川 敬
   tsuga@mtj.biglobe.ne.jp
 
注:津川です。前メール中のフラフRDFについて、「生ごみなどを入れない欧米だから」と記述しましたが、これを「水分がきわめて少ないごみ質の欧米だから」と訂正します。食品ごみや草類も若干ながら入っているようです。日本のごみの平均水分は55%以上だが、欧米のそれは20%前後だと鍵谷氏もいっていました。