津川敬さんの直島（豊島）溶融炉爆発事故レポート

皆様へ

津川さんから、レポートが届きました。
以下転送します。
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　津川です。去る１月３１日から２月２日まで高松、豊島、直島へいってきました。すでに豊島廃棄物処分（溶融）が昨年９月から始まっていますが、トラブルが絶えず、とうとう１月２４日正午近く、爆発事故を起こしました。原因究明は目下メーカーのクボタと香川県の手で進められていますが、とりあえず検討結果が出るのは約２週間後、それをもとに永田勝也氏を委員長とする豊島廃棄物技術委員会が対策を立てることになっています。原因は水素説が有力ですが、村田徳治さんは粉塵爆発もありうるといっています。
　豊島が語られる場合、「いや、いい施設ができた」（中間梱包施設や水処理施設などのこと）とか、キレイに整地され、汚いものが見えなくなった「豊島のいま」だけで終わってしまい、３０年余にわたる住民たちの苦しみや分裂の危機、県行政の犯罪的行為については忘れ去られようとしています。
　事実各地の行政マンが視察旅行の定番に豊島を選んでいるのですが、彼らの関心は、超豪華な？処理施設、つまりハコものにあるようです。
　２月１日は豊島住民会議の安岐正三さん、２日は石井亨県議が直島に同行してくれたのですが、豊島環境センターでは「２日から炉の改修作業がはじまった」ことを理由に現場への立ち入りを断りました。事故現場の写真はあとで石井さんがＣＤに落として送ってくれるそうで、届いたらまた添付したいと思います。
　なおセンターが罪滅ぼしのためか、「豊島廃棄物処理事業」というビデオを貸してくれました。ここに豊島事件の概要と実際の事業内容が詳しく紹介されていて、それはそれでよくできています。
　いずれにしても別添でルポを書きましたのでごらん下さい。一部分は消費者レポートに掲載予定です。

tsuga@mtj.biglobe.ne.jp
津川敬
０４７－４４６－０２１２
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　香川県豊島に埋まった５０万トン（土壌を含めて６７万トン）の産廃を隣の直島で処理する事業が昨年９月１８日、本格稼働の運びとなりました。期間１０年、総事業費約５００億円の巨大プロジェクトです。しかし処理といっても選択肢は溶融しかなく、シュレッダーダストや製紙汚泥など史上最悪の有害ごみを前に日本有数の溶融炉メーカーがこぞって逃げ出した中で唯一処理を引き受けたのがクボタというメーカーでした。
　しかし新日鉄のようにどんな廃棄物でも片端からぶち込んで溶かしてしまう溶鉱炉型と違い、クボタの溶融炉は事前に廃棄物をユンボなどで掻き混ぜて均質化し、最後は３センチ以下に細かく切り刻んで溶融炉に投入するというデリケートな方式だったたため、すでに試運転中の８月２６日には小規模な爆発を起こしています。本格稼働後もスラグが十分固まらず、現在までの産廃処理量は当初見込みの４７％程度でしかありません。

◆予想以上の被害
　その教訓が十分生かされぬまま、先月（１月）２４日午前１１時４０分、爆発事故が起きたのです。幸い人身事故には至らなかったため、全国ニュースにはなりませんでしたが１日１００トンの炉が２基あって、爆発は２号炉で起きました。現地の新聞は「小爆発」と表現していますが、実際はビルの５階ほどもある炉の頂点で鋼鉄製のカバーが圧力で歪み、約６０センチほど浮き上がっています。２７日に現場に入った石井亨県議会議員（廃棄物対策豊島住民会議）は「締め付けたボルトの頭が吹き飛び、残った穴が以上に広がっている。カバーの溶接部分が外れ、危険防止の黄色い鉄柵に当たってその一部が曲がるなど、そこに人がいたら死傷事故につながった筈」と事故の模様を話しています。
　問題は原因ですが、事故の起きた場所が、①産廃を頂点の投入口まで運ぶコンベアの上部、②溶融炉の頂点などプラント上部であるため、「軽い可燃ガス」と想定し、成分は水素という前提で生成メカニズムの実験がすでに県の環境保健研究センターではじめられています。ではなぜ水素が発生することになったのか。それは豊島から産廃を運び出す前の事前処理にあります。まずユンボで敷地内の産廃を十分攪拌し、そこに溶融を助けるため生石灰を混ぜて水分を飛ばすという作業をするのですが、船で直島まで運んだり、コンベアから炉に投入するまでに化学変化を起こした可能性があるのです。つまりここで豊島の産廃掘り出しと直島の溶融が一体化するのですが、逆にいえばどちらかでトラブルが起きた場合、全体の流れが止まってしまうということでもあるのです。

◆処理が遅れても
　溶融という技術は本来開発されてはならない技術でした。あまりにもリスクが大きすぎるからです。すでに全国各地で灰溶融炉、ガス化溶融炉事故が続発しています。その現実を踏まえてなお現場がこの技術を受け入れたのは「豊島産廃の処理という特殊な状況の中での止むを得ない選択」（豊島住民会議・安岐正三さん）だったからです。
　今後はクボタが出す調査資料と県の実験結果を豊島廃棄物等技術委員会（座長・永田勝也早大教授）が評価して対策を立てるという段取りになっており、期間はたぶん２週間前後と考えられますが、真鍋武紀・香川県知事は「処理事業が遅れても原因究明を最優先したい」と記者会見で述べています。とにかく施設再開を急ぐ三重県の姿勢とは対照的ですが、これも３０年間苦しんだ末、地域の体制をつくりあげた豊島住民の運動の質が真鍋知事をしてそう言わせたというべきでしょう（２月３日現在）。
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以下インターネットニュース上での記事を記載します

（壷阪道也）
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2004年1月27日　更新

http://mytown.asahi.com/kagawa/news.asp?kiji=6179

炉内のガス爆発か／直島・中間処理施設
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　　豊島の産業廃棄物の中間処理施設（直島町）で起きた溶融炉の小爆発事故について、県は２６日、炉内のガスが爆発した可能性がある、と発表した。県は当面、施設の稼働を停止し、原因の究明を急ぐ。計画の半分程度しか産廃処理が進んでいない事業に、さらなる遅れが出るのは必至で、県は計画の大幅見直しを迫られそうだ。

　　県廃棄物対策課によると、２４日午前１１時４０分ごろ、施設内にいた作業員が爆発音を３回聞いた。２基ある溶融炉のうち２号炉の鉄製ふた（直径１１メートル、厚さ６ミリ）が最大約５８センチ変形。産廃を投入する鉄製コンベヤー（厚さ３・２ミリ）も２カ所でゆがんだ。

　　県は同日昼に炉の運転を停止。２５日には県危機管理課と高松労働基準監督署が立ち入り調査をした。詳しい原因は特定できていない。

　　２号炉では昨年８月にも小爆発があり、処理再開に約２週間かかった。

　　直島町企画環境課の浜中満課長は「何度も爆発が起きるようでは町民も不安になる。速やかに原因を究明して欲しい」とし、豊島在住の石井亨県議は「情報公開と、きちんとした対策を望む」と話している。

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直島・産廃処理施設爆発事故　コンベヤーも破損、復旧のめど立たず－－県調査　／香川（毎日新聞） - 20時41分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040127-00000002-mai-l37

直島・産廃処理施設爆発事故　コンベヤーも破損、復旧のめど立たず－－県調査　／香川

　土庄町・豊島に不法投棄された大量の産業廃棄物を焼却・溶融処理する直島（直島町）の中間処理施設の２号溶融炉内で２４日にあった爆発事故で、産廃を炉へ運ぶコンベヤーのカバーも２カ所破損していたことが２６日、県の調査で分かった。県は構造は同じで被害がなかった１号溶融炉内のガスを検出、分析するなど事故当時の状況や原因の解明を急いでいる。復旧のめどは立っていない。
　県によると、２５日に県や高松労働基準監督署、施設メーカー「クボタ」の職員が同施設に立ち入り調査した。炉内は高温のため、外部の破損状況などを確認したところ、２号溶融炉の上部の鉄製ふたは、爆発の影響で約６０センチも持ち上がり、産廃を運ぶコンベヤーの粉塵対策用の鉄製カバー（厚さ３ミリ）も２カ所で変形していた。作業状況を確認するコンベヤーの点検口も吹き飛んだり、開いていた。事故当時、産廃を燃やす主燃焼室の温度は約１３７０度と正常で、事故の直前の炉内の圧力数値にも異常はなかったという。今のところ１号炉のガスに異常はみられず、専門機関で詳細な分析を進めている。
　同施設では昨年８月にも類似の爆発事故があったが、原因は異なるとみられ、県は豊島廃棄物等技術委員会委員らの意見を参考に、ガスの排出構造など施設の設備改善も視野に調査している。同施設は昨年１２月に定期点検を実施しており、異常はなかったという。
　豊島の産廃処理は、再利用予定の副成物、溶融スラグの品質に問題が生じた影響などで、昨年９月の本格処理開始から同１１月末までの処理量は基本計画の約４７％と半分以下。安全確認のため被害のなかった１号溶融炉も２４日午後に停止させており、今後はさらに大幅な処理の遅れが予想される。真鍋武紀知事は「（処理）期限ありきではなく、遅れても安全面と環境保全を第一に考えてやっていきたい」と話している。　【井沢真】（毎日新聞）
[1月27日20時41分更新]

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読売　香川版
直島産廃施設　復旧のメド立たず
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　直島（直島町）の産業廃棄物中間処理施設の溶融炉で二十四日に起きた小爆発について、県は二十六日、事故の調査状況を公表した。県は施工、運転を担当するメーカーと原因究明を進めているが相当の時間がかかりそうで、復旧の見通しは立たないとしている。 (2004年1月27日)[
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news001.htm

直島産廃施設　復旧のメド立たず
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小爆発原因究明に時間
　直島（直島町）の産業廃棄物中間処理施設の溶融炉で二十四日に起きた小爆発について、県は二十六日、事故の調査状況を公表した。県は施工、運転を担当するメーカーと原因究明を進めているが相当の時間がかかりそうで、復旧の見通しは立たないとしている。
　県の調べでは、事故が起きた二号炉の上部を覆うドーナツ形の鉄製カバー（直径約十一メートル）が約三分の一にわたり、最大で約五十七センチゆがんだほか、炉内に廃棄物を運ぶコンテナのカバーも数か所破損した。

　二十五日から本格的な調査を始めた県は「爆発性のガスが発生し、引火した」との見方を強めている。ただ、ガスはすでに排出されているうえ、炉内の温度が下がるまで四、五日間はかかるため、現在の調査は関係者への聞き取りや周辺設備の点検に限られ、原因の特定には時間がかかるという。

　二号炉は昨年八月二十六日にも、試験運転中に安全弁の誤作動で炉内の気圧が高くなって小爆発を起こした。今回は、安全弁は正しく作動しており、事故直前まで炉内の気圧も正常だった。メーカーは、これまで同型の溶融炉を十五基製造しているが「他の炉では、同様の事故は起きていない」としている。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040129-00000001-mai-l37
香川ニュース - 1月29日(木)20時41分徳島 | 香川 | 愛媛 | 高知
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直島・産廃処理施設爆発事故　県が原因究明の実験開始　水素発生が原因か　／香川

　土庄町・豊島に不法投棄された大量の産業廃棄物を焼却・溶融処理する直島（直島町）の中間処理施設の溶融炉内で、今月２４日にあった小爆発事故を受け、県は２８日、高松市朝日町５の県環境保健研究センターで原因究明の実験を開始した。現段階では、炉内に滞留した可燃性ガスは水素の可能性が高いとみられ、豊島産廃と溶融効果を高める助剤を混合した際の水素発生量を、約２週間かけて調べる。
　県によると、豊島の産廃処理は、初めに豊島で産廃の水分量を減らすために８％の割合で生石灰などを混合。この段階では水素の発生が想定されるため２日間程度保管した後、直島に輸送する。処理前にはさらに５％の割合で炭酸カルシウムを溶融助剤として混合させている。
　この日は、シュレッダーダスト（自動車破砕くず）を中心とした可燃物と汚染土壌が中心の不燃物を１対１の割合で混合した処理物約２キロに、炭酸カルシウム１００グラムを混合。ガラス容器に密閉して８０度の水槽に入れた。破損場所ごとの水素発生量を推定するため、実際の処理で助剤混合から、コンベヤー通過に要する約１時間半、炉内で燃焼するまでの７時間半を目安に、水素の発生量を調べた。
　今後は、可燃物と不燃物の割合▽炭酸カルシウムの比率▽廃棄物の水分量▽水槽の温度――を変更して２０程度の条件に設定、傾向を見極める方針。
　実験に立ち会った豊島廃棄物等技術委員会の岡市友利委員は「（滞留したガスは）水素ガス以外に、メタンや一酸化炭素の可能性もあるが、現場にすすは出てないと聞いており可能性は低い。現状では水素ガスの可能性を最も重視している。ガスの滞留状況をそれぞれの破損場所で明らかにし、最大限安全性を重視して処理を進めたい」と話している。
　３０日午後には、技術委の永田勝也委員長が事故現場を訪れ、原因を検証し、今回の実験の中間報告も行う予定。　【井沢真】（毎日新聞）
[1月29日20時41分更新]
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http://mytown.asahi.com/kagawa/news01.asp?kiji=6184
　原因究明に向け実験／直島爆発事故受け
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器具をチェックし、実験を進める県職員＝高松市の県環境保健研究センターで
　　豊島の産業廃棄物の中間処理施設（直島町）で起きた溶融炉の小爆発事故で、県は２８日、原因究明の実験を高松市の県環境保健研究センターで始めた。水素などの可燃性ガスが爆発した可能性が大きいとして、産廃とその溶融を助けるために使う炭酸カルシウムを混ぜて水素の発生量などを調べる。

　　実験は、産廃２キロと炭酸カルシウム１００グラムを混ぜ、円筒のガラス容器に投入。８０度の湯にひたし、発生した水素の量を測る。爆発で変形した炉やコンベヤーにどの程度の量が滞留するかを調べる。

　　産廃中の水分や炭酸カルシウムの比率などを変えて実験を続け、結果がわかるのは２週間後の見通し。

　　県によると、産廃には豊島と直島で炭酸カルシウムを混ぜている。豊島では、混ぜた後の産廃を不法投棄現場に２日以上寝かせ、化学反応で発生した水素を野外に放出させているという。

　　実験に立ち会った豊島廃棄物等技術委員の岡市友利・元香川大学長は「豊島側で十分な対策をとっているが、想定外の廃棄物が入って小爆発した可能性がある。水素以外のガスも視野に入れて分析したい」と話した。

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