第107回「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク定例会
2006年9月2日(土)午前10時〜 エコハウスしずおか
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◎ ◎ 鎌倉市は「環境都市」か「ゴミ政策大失敗の街」か? ◎ ◎
今年、ある静岡市廃棄物担当職員が「鎌倉市を見なさい。行政のことを知らない市長が誕生して、ゴミを減らすと言って、清掃工場を閉鎖して市民に大迷惑をかけた。静岡市はそんなことはしない。壷阪さんはそのことをどう思うのですか?」と聞かれたことがあった。私の予備知識としては「環境都市・鎌倉」というイメージがあったが、実は鎌倉のことを正確には知らなかったので、何も答えることはができなかった。
●ほぼ毎日が資源回収日
私の夏休みは8月15日〜17日まで義姉を訪ねて鎌倉市で過ごし、3日間古都鎌倉を炎天下歩き回った。夏に強い私には鶴ケ岡八幡宮周辺は別として、観光客が少なめの鎌倉での寺・神社巡りは好奇心をそそる最高の休日だった。歩き回って気が付いたのだが、毎週2回の焼却ゴミ・紙布の日・ペット剪定木の日・ビンカンプラの日とウィークデーがぎっしり回収するゴミステーションの看板が、50mおきくらいにある。ある地区では、ちょうど古紙とぼろ布の日で、回収車と出くわした。すると別のもう一台もやってきた。すかさず聞いてみると新聞と古布、ダンボールと雑誌と種別によって委託業者が違っている。聞くところによると地区を3台1組で回っているらしい。
ふと静岡市職員の言葉も思い出し、観光の途中に鎌倉市役所資源対策課に立ち寄り、説明を受けながら資料をたんまりもらった。その資料はHPからも見ることができる。
●確かに、一時自区内処理ができなかった時期があった
資料と説明によれば、平成8年11月(96年)に「ごみ半減都市宣言」を行い、当時約7万トンあった焼却ゴミを平成17年(05年)までに3万5千トン以下にする「ごみ半減計画」を策定した。分別収集の開始、細分化などにより、翌年で5万2千トンまで急減させたものの現在までの4万トンと緩やかに減少させていった。実はその間2つあった清掃工場を一時休止をしたが、思うようにごみ減量が進まなかったため、平成14年12月〜平成17年3月まで焼却ごみの一部を他都市に依頼することとなったが、現在は2工場で正常に操業している。家庭系の焼却ごみは一人一日アタリは410gと旧静岡市(704gH14年)の半分近い。
●焼却ゴミは旧静岡市の約半分、更にゼロウェイスト宣言で半減計画
しかも、それに満足するどころか、第二次ごみ処理基本計画で10年後(2015年)に更に半減しようという(一人一日アタリ211g=水俣市並・上勝町の二倍程度)挑戦的・大胆なごみ減量計画が立てようとしていた。そこには〜「ゼロ・ウェイストかまくら」の実現を目指して〜の文言が踊る。
市民向けの広報紙(4ページ)を見てびっくり、「3R」をメインにしっかり、資源化の流れと資源化の行政負担費用が明示されている。基本計画のデータも私が計算し直す必要などほとんどないほど、経費や一人当たりの量・経費が明示され、それを含めたごみ減量計画になっていた。
説明してくれた担当者の「確かに資源化率は上がってきて(43.3%H16年)、焼却量は減ってきているが、総排出量が変わっていない。リサイクルといっても多くの税金が投入されている。大事なのはリサイクルではなく、リデュース(発生抑制)なんだから」という言葉が資料からも説得力を持って伝わってくる。
●「環境都市」鎌倉から学ぶべきことは…
鎌倉市が「ゴミ政策の大失敗の都市」と見るか、「環境都市」と見るかは明らかである。3日間歩いて、わかったことは鎌倉は歩くことに本当に適した街ということ。周辺には、格安の駐車場(パークアンドライド)があり、市内へはバスでの来訪を歓迎し、駐車場利用者にはバスの割引がある。歩く町並みは何故か風情がある。(都市景観課によれば、住民の自主的動きにも支えられているらしい)もちろん、厳しさもあるようだが、地域の商店街がまだ生きている。観光資源あふれる古都鎌倉だからできるだと言ってしまえばそれまでだ。「大失敗」と見るか、「すばらしい」と見るかはひとそれぞれなのかもしれないが、「大失敗」と見る人があまりにも悲しい。
●おまけ 私の鎌倉三日間歩行コース いずれも起点は常楽寺近く
一日目(3時間) 常楽寺〜砂押橋〜白山神社〜散在ケ森林公園〜今泉台〜明月院〜円覚寺〜多聞院
二日目(9時間) 東慶時〜浄智寺〜葛原ヶ岡ハイキングコース〜葛原岡神社(日野俊基の墓)〜銭洗弁天〜頼朝の像〜化粧板切通し〜海蔵寺〜英勝寺〜寿福寺(政子の墓)〜浄光明寺〜鶴岡八幡宮〜頼朝の墓〜荏柄天神社〜鎌倉宮〜瑞泉寺〜杉本寺〜浄妙寺〜釈迦堂口切通〜小町通り〜鎌倉市役所〜高徳院(大仏)
三日目(4時間) 大船観音 小町通り
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<参考>
鎌倉市環境部資源循環課のHP
資源循環課ホームページかまくらGreenNet
一般廃棄物処理基本計画
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上記アドレス
第2次鎌倉市一般廃棄物処理基本計画 ごみ処理基本計画(ごみ処理編)
より
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1 鎌倉市のごみ処理の取り組み
本市では、ごみの減量化、資源化を推進するため、平成2 年から「ごみダイエット運動」を展開し、平成8 年11
月には「ごみ半減都市宣言」を行い、平成7
年度に約70,000 トンであったごみ焼却量を平成17 年度までに35,000
トン以下にする「ごみ半減計画」を策定しました。
平成9 年度からは家庭からの廃棄物の5
分別収集を開始し、積極的に資源の再生利用に取り組みました。こうした中で、焼却施設から出る排ガス中のダイオキシン類濃度の基準が強化されたため(注1)、平成10
年5 月に、本市に2
箇所あるごみ焼却施設のうち、名越クリーンセンターのみダイオキシン類削減対策工事を行い今泉クリーンセンターを休止することと、ごみ焼却量半減の達成を平成14
年度に前倒しすることを決定し、市民・事業者とともに資源物の分別やごみの発生抑制に取り組みました。平成12 年11
月にはペットボトルの分別収集を開始しています。
しかし、平成14 年度中のごみ半減達成が困難となったため、平成14
年2月にごみ半減計画の見直しを行い、今泉クリーンセンターも休止せずに、ダイオ
キシン類削減対策工事を行うことにしました。
今泉クリーンセンター改修中の平成14
年12 月から平成17 年3
月までは、名越クリーンセンターで焼却しきれないごみを他都市で焼却する自区外処理を行
っていましたが、ダイオキシン類削減対策工事が終了した平成17 年4
月からは、ごみの焼却を全て自区内で行っています。また、平成17 年10
月からは、全市で容器包装プラスチックの分別収集を開始し、ごみ焼却量の削減に努めています。
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●4回目の静岡市灰溶融炉の情報公開請求をしました
静岡市では、一般廃棄物最終処分場(沼上処分場と貝島処分場)の延命のため灰溶融炉(電気式プラズマ溶融炉 60t/日×2基 建設費63億円)を建設し、2004年3月本運転開始しました。
※灰溶融炉とは焼却灰を1300度以上の高温で溶融(溶鉱炉で鉄を溶かすように)固化し、スラグと呼ばれるガラス状、砂利状の物質にすること。廃棄物を直接溶融する、ガス化溶融炉・直接溶融炉とは違う)
ご存知のように2004年7月9日灰溶融炉爆発事故を起こしました。
私は、爆発までもは想像しないまでも、灰溶融炉という技術に疑問を持ち続けてきましたので、
第1回(2004年7月)、第2回(2005年7月)、第3回情報(2006年1月)と溶融炉の運転状況、運転コスト、スラグの行方などの情報公開請求を行ってきました。
そして、今回が4回目になります。8月3日に請求し、16日付けで公開されました。
まだ十分な分析はしておりませんが、アウトラインは以下のような感じです。
(1)灰溶融炉はまともに動いているのか?
<結論>未だ十分に動いているとは言えない。
5年の1日アタリの処理量平均は22t今年1月〜7月平均は33t(最大能力は120t/日)
昨年12月までは、完全停止も含めほとんとが1号炉、2号炉の交互運転を能力の半分程度の運転が続いていたのが、今年に入って、3、4月に同時運転を行っているなど、焼却灰の処理量は、若干向上気味。しかし、未だ沼上清掃工場の焼却灰すら、処理できていないのが現状。
※沼上清掃工場57t/日 西ケ谷清掃工場28t/日 清水清掃工場19t/日 の焼却灰が発生している。(昨年今年の平均発生量)