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<このページの一覧>
5月13日号「バラ色のプラスチックリサイクル?」
☆プラスチックのリサイクル推進者との会話
5月15日号「続バラ色のプラスチックリサイクル?」
☆大坂氏との対談に関する読者からの反応
☆循環型社会形推進基本法への緊急声明
5月16日号」続々バラ色のプラスチックリサイクル?」
☆元樹脂メーカー社員の方からの意見
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ゴミゼロ通信電子メール版2000年5月13日号(今号177通発信)
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク(略称ゴミゼロネット) 〈第32回会合のお知らせ〉
毎月第2土曜日 日時 2000年 6月10日(土)午前10時〜12時
所 アイセル21 4階 41集会室
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※今回は「定例会用の定期通信」前の特別バージョンです。(定例会の報告等は次回に)
 とあるルート・キッカケで本日のゴミゼロネットの定例会終了後、プラスチックリサイクルの専門家とお話しを聞く機会を持ちました。鉄は熱いうちに打て!早速報告します。
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お会いしたのは 大坂吉行氏(41歳) セゾングループでの勤務を経て、現凱.O.S企画代表取締役 「東京ルールV」実行計画 新任研修講師 豊島区資源回収、再商品化情報交換会メンバー、環境ジャーナリスト、その他プラスチックのリサイクル事業計画着手…等々(バリバリのプラスチックのリサイクルのスペシャリスト) ご同行は 衆議院議員大口善徳氏(公明党)の政策担当秘書 中條氏
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現在、国会上程中の循環型社会形成推進基本法案の行方もおおいに気になりながら、政府与党側の環境シンクタンク(と勝手に私は思った)に出会える予感で胸を膨らませての定例会後、ゴミゼロメンバー私を含め5名との約2時間の昼食をしながらの懇談でした。
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私はいきなり名刺代わりに、3.26の循環経済法とペットボトルのチラシを大坂さんに渡しました。
大坂氏
「企業側の運送エネルギーコストの観点から言えば、ペットボトルはビンと比べればずーと環境にやさし〜ですよ!」とペットボトル擁護発言で応酬。


「循環型社会形成推進基本法が国会論議中だが、拡大生産者責任等不明確なところがあって心配なんです!」

大坂氏
「魔女狩りみたいな批判はやめた方がよい。この法律には日本で初めて発生抑制が一番でリサイクルは再利用の後の3番目なんだということが書かれているです」(この後は結局つっこんだ議論はきませんでした)

大坂氏
「国会のじゅうたんも郵便局の制服もペットボトル。ペットボトルのリサイクルの先は国内で開発中で、需要が供給を上回っているし、需要は増えている。中国では化学産業の遅れで、ペットボトルのフレークの需要がものすごい。ペットフレークが日本国内40円/kgなのに60円/kgくらいで取引されている。
 もちろん、発生抑制・使わないことが基本。石油は有限であり、あと68年でなくなる。容器包装リサイクル法の施行で、事業者責任でのリサイクルが本格化している」


「容器包装リサイクル法は大量生産・消費・廃棄を助長する法律になってしまっている。リサイクル費用を企業は一部負担するだけで、企業は大量生産すればするほど負担が軽くなるシステムです。特にリサイクル費用の一番重い回収費用ペットボトル1本2〜30円が自治体負担なのはおかしい」
大坂氏
「そんなことはない」(時間の関係か話題がかわり、時間切れでこれに対する回答もありませんでした)


「トレーのリサイクルは完全に行き詰まっている。結局、燃やされたり、埋められたりしているとの噂が耐えない。価格は暴落している。10円/kgが2〜3円/kgになったと去年聞いた。」
大坂氏
「香港では急騰している。需要はまだまだある」
(写真 ポテトチップの包装材から作られた固形燃料。特別なボイラーでなくても燃やしてダイオキシン発生ゼロ?だそうです)

大坂氏
「その他プラスチック包装容器は固形燃料として、十分に使える段階にきているしプラスチックの分別は絶対必要で需要も十分にある。RDFの固形燃料とはまったく違う。普通のお菓子の包装材も固形燃料になる
(写真上)。ペットボトルのペレットも静岡みたいに三重県まで運んでいるとそれだけ長く保存してしまうことになる。そうすると、洗浄しても中の糖分とかの残渣が悪影響すると粗悪品(黒いもの)ができてしまう。
(写真下)東京では良質のフレーク、ペレットがペットボトル処理施設が都市部にあることで良質のペットボトルフレークが生産されている。
(写真 左の黒いペレットが粗悪品。回収後、長く放置するとペットボトル処理工場で洗浄してもきれいにならず粗悪品になる。ペットボトル処理工場は都市にあるべきだ。自治体に作らせろ!という意味?)


「静岡市はトレー等のペットボトル以外の自治体回収リサイクルを見送っています。その代わり、ごみ発電を行っている。プラスチック類が結局燃料にしかならないのなら、リサイクルしても意味がないのでは?」
大坂氏
「燃やして発電方式では、生ゴミの堆肥化の道を閉ざす。東京では生ゴミの堆肥化は成功している」
ゴミゼロメンバー
「失敗していると聞いているが?
大坂氏
「いや成功している」 (集団回収して生ゴミの堆肥化の話しではなく、コンビニの弁当の残飯回収での話し。それ以外では本格的家庭生ゴミ回収の話しはできませんでしたが、とにかくプラスチックの分別回収をするためには、と受け取れたのですが…)

(注:これ以降ペットボトルと添加剤は3月26日の集会情報に基いて、ゴミゼロネットのメンバーは発言している詳しくは 関連0年4月19日号を参照、そして5月15日号5月16日号とこの討論は発展して行く!))

ゴミゼロメンバー
「ペットボトルは中身(水、お茶、コーラ-等)の違いによって添加剤を変えていると聞いているが…?」
大坂氏
「それはウソだ。入れる中身によって、厚さ、形状は変えるがみんな同じPET樹脂。触媒を変えることがあるが添加剤をつかってはいない」
ゴミゼロメンバー
「添加剤は3000種類のなかからいろんなモノを使っていると聞いているが…?」
大坂氏
「それはウソだ」
ゴミセロメンバー
「ペットボトル(フレーク)のからペットボトルを作れないのは、その添加剤の影響が問題だからと聞いているが?」
大坂氏
「それはウソだ。PETのフレークからペットボトルの再生は技術的にもすでに完成しており、安全検査もすでにクリアされている。ただ、同じもの2回使うということに日本人が抵抗感があるため食品衛生法に基いて厚生省が許可しないだけ。」

「ペットボトルからペットボトルのリサイクルが理想ではないか?問題ないならやるべきだ。問題があるからできないのではないか。ペットボトルは入れたものの臭いが残る。それは逆に何かがペットボトルから溶け出している危険性がある」
大坂氏
「何も溶け出さない。安全だ。ペットボトルのフレークは需要が根強くあるので、そんな必要はない。」


「ペットボトルのシャツは誰も着ていない」
大坂氏
「私は着ている。」(名刺もPET樹脂製。確かに利用促進の努力の跡あり)
大坂氏
「プラスチックは有用。塩化ビニルも燃やさなければ、十分役立つ。メーカーにどんなプラスチック使っているかを問い合わせ中!」

「メーカーはなかなか教えてくれない。せめて表示が義務づけられれば」
大坂氏
「そのとおり」
さて、不明な点をもっとつっこんで話そうとしたところ、他のゴミゼロネットのメンバーが退席を始めると同時に大坂氏も「それでは」と帰られました。

注:このまとめは私(壷阪道也)の記憶に基くまとめであり、事実特に大坂さんの発言と多少ニュアンスが違うこともあることをご了解いただきいたい。私は本当はもっと話しをしたかったのですが、それはなりませんでした。いくつかの論点がありましたが、事実は何なのでしょうか?どなたかお教えください!
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク
連絡先
壷阪道也
〒421-0111 静岡市丸子新田277-4     
TEL・FAX 054-257-3177
Email mirai2@bj.mbn.or.jp
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ゴミゼロ通信電子メール版2000年5月15日号(今号177通発信)
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク(略称ゴミゼロネット)
〈第32回会合のお知らせ〉
毎月第2土曜日 日時 2000年 6月10日(土)午前10時〜12時
所 アイセル21 4階 41集会室
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危うし!循環型社会! 循環型社会形成推進基本法案衆議院通過!  新聞ではどうなったかが確認できないまま、東京に問い合わせたところ、去る5月9日に法案は衆議院で議決され参議院に送られたようです。  添付した資料のように、この法案が論議不十分、実効性の不透明のままお急ぎで作られたもののようです。今後の動きには注視し、必要に応じ、地域の与党政治家等に要請活動をしていきましょう。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「続バラ色?のプラスチックのリサイクル!」 5月13日号の大坂氏とのプラスチックリサイクルに関する懇談に関し、珍しく多くの反応が届いています。
☆大坂氏 「企業側の運送エネルギーコストの観点から言えば、ペットボトルはビンと比べればずーと環境にやさし〜ですよ!」 これに対し、1998年11月25日朝日新聞夕刊をFAXいただきました。
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「瓶やPET優しさ比べ」題する記事で日本生活協同組合連合会の元川浩司さんによる「しょうゆ容器のビンとペットボトル」「牛乳容器のペットボトルと紙容器」のリサイクル率も含めたLCA分析(ライフサイクルアセスメント)の結果評価の記事です。 評価の仕方は原料採取、製造過程、容器製造、輸送、リサイクルなど各段階における資源やエネルギーの収支と環境負荷を積み上げる方法だそうです。 ・「しょうゆ容器」ではリターナブル(繰り返し使用)すれば、ペットボトルを80%リサイクルしたとして2割以上環境にやさしい。 ・「牛乳容器」では紙容器がリサイクル率80% でビンより紙容器が優る というもの
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☆大坂氏 「それはウソだ。入れる中身によって、厚さ、形状は変えるがみんな同じPET樹脂。触媒を変えることがあるが添加剤をつかってはいない」 これに対しては
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厚生省H10年度厚生科学研究「食品包装等関連化学物質の安全性確保に関する調査研究報告書」を入手しましたが、それによるとPETは樹脂製造業者の段階で13、加工業者の段階で23の計36の化学物質が添加されているという結果になっています。ちなみに塩ビは合計175の化学物質が添加されているという結果が出ています。 なにがどれだけ入っているかは明かにしていません。厚生省は今回はじめてメーカーへアンケート調査をして添加剤について把握したのです。循環型社会では、有害物質を循環させては大変なことになります。それで厚生省も何が入っているのか調べる必要があったと思われます。添加されている化学物質の内容をぜひ明らかにしてほしいものです。 プラスチックを固めた固形燃料が、どこで燃やしてもダイオキシン等が出ないなんてことはありえないと思いますが。 プラスチックをそのまま燃やすのとどこが違うのでしょうか? 固形燃料をつくる過程でも、プラスチックを圧縮する時に添加剤等の化学物質が空気中に出ているのではと気になります。(東京 Hさん)
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でした。ご存知の方もっと教えてください。
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<資料>
                                      2000年5月9日 5/9
「循環型社会形成推進基本法案」の衆議院議決に関する緊急声明(案)             
「循環型社会基本法」円卓会議実行委員会                              連絡先:(井口法律事務所)T/ 03-3234-0268                                        F/03-3234-0269                                       日本消費者連盟
    東京都公害防止条例改正市民案をつくる会          

  与党自民党・自由党・公明党(その後は自民党・公明党・保守党)3党は、昨年10月に連立政権の政策合意を行い、その中に「循環型社会の構築」がありました。3党は当初政治主導で法案作成作業をしましたが、難航の末、結局4月上旬に政府案による合意が成立し、去る4月14日これを閣議決定、同日国会に提出しました。その後4月21日には衆議院環境委員会の第1回目の審議、4月25日には同委員会で参考人召致が行われ、与野党推薦による4名の参考人が意見を述べました。4月28日には同委員会の第2回目の審議が行われ、本日5月9日衆議院で議決されました。しかし、法案内容の協議はほとんど密室で行われ、法の目的も曖昧であり、国民の意見を聞くこともなく、極めて短い時間で作成されたものです。 この法案が、これからの日本社会の指標となるべき重要な法案、すなわち、私たちすべての国民の生き方や暮らし方を変え、次世代にも深く影響を及ぼす重大な意味を持つ法案であることから、各市民団体は市民案を提案する等の活動をしてきました。 しかし政府・国会はもとよりマズコミからも実態的な情報の提供はありませんでした。私達は、情報収集に苦慮しながらも、衆議院環境委員会を傍聴してきました。 参考人召致では、円卓会議実行委員会のメンバーの一人が出席し、的確に問題点を指摘する意見を述べましたが、参考にされた形跡はなく、政治的思惑のみが優先して法案は型どおり原案のまま衆議院を通過してしまいました。
 持続可能な循環型社会の実現がなぜ必要なのか、それはどういう社会なのか、実現させるための具体的な手だては何なのか、これらの一つ一つについて十分な国民的な議論と合意形成もはかられないまま、一方的な法律が国民に押し付けられようとしています。

法案に関しては多くの重要な問題点がありますが、その主たるものは以下の通りです。
1. これまでの慣習として、重要法案については公聴会や連合審査が行われていたが、法の主体であるはずの国民からの広い意見聴取も連合審査も行われなかったこと。
2.「循環型社会形成推進基本法」と言いながら、対象を廃棄物・リサイクル分野に限定しており、自然循環やエネルギー等も含めた総合的な法とはなっていないこと。
3. 個別関連法(廃棄物処理法、再生資源リサイクル法、建設資材リサイクル法、食品廃棄物リサイクル法、グリーン購入法、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、家畜排泄物リサイクル法)との有機的整合性・一貫性がないこと。
4. 多くの条文に「技術的及び経済的に可能な範囲」などの条件がつけられており、恣意的な解釈による運用の危険性があるほか、ザル法になりやすいこと。
5. 拡大生産者責任を盛り込んだと言いながら、生産者の回収責任等による処理費用が製品価格に内部化がされる意味の規定を置いていないこと。
6. 経済的手法(環境税、課徴金、デポジット他)について調査・研究レベルに止まり明記されていないこと。
7. 再生利用と熱回収については、現状の焼却主義を肯定し「循環的な利用」とはいえないものを無条件で入れていること。
8. 現状の中央環境審議会は第3者機関とは言えないし、基本計画の目標値の設定・実現できない場合の行政への義務づけがないことや、年次報告は国会に提出し審議は必要であるのに明記されておらず、実効性が期待できないこと。
9. 有害物質の発生回避と回収義務が明記されていないこと。
10.日本政府は、バーゼル条約の再利用を名目とする有害廃棄物の越境移動を禁止する条項を批准しておらず、本法案においても廃棄物の輸出については規定がないため、今後廃棄物の輸出が拡大し環境汚染をひきおこす可能性があること。

 以上の致命的な問題点を抱えた本法案が衆議院を通過したことに、私たちは強い憤りを表明するとともに、今後の参議院審議では広く国民の声を聞くなど十分な時間をかけた上で、廃案を含む慎重な審議を望むものであります。 何のために誰のために法律をつくるのか、国会は立法府としての責任をもっと厳しく自覚することを強く要請し、緊急声明とします。
【実行委員会構成団体】  
「塩ビとダイオキシンを考える」東京市民会議実行委員会、川崎・ごみを考える市民連絡会、環境市民、環境フォーラム文京、古紙問題市民行動ネットワーク、ごみ・環境ビジョン21、ゴミクラシー、市民ネットワーク・千葉県、循環型社会システム研究会、消費科学連合会、人類生き残り研究会、デポジット法制定全国ネットワーク、東京都地域消費者団体連絡会、止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク、廃棄物処分場問題全国ネットワーク、リターナブルびんを見直しペットボトルをやめさせる会 (以上16団体) **********************************************
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク
Email mirai2@bj.mbn.or.jp
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ゴミゼロ通信電子メール版2000年5月16日号(今号175通発信)
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さっそくプラスチックの添加剤について読者から届きました。かなりの長文ですが、元樹脂メーカーの社員の方からの貴重な意見ですのでほぼ全文掲載させていただきます。
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私が作った簡単な要約は以下の通りです。
☆ペットボトルには添加剤が使われていて、その添加剤の種類・量によって樹脂の性質を決定している。
☆ただ食品に使われる添加剤には行政の激しいチェックが入っているはずです。
☆添加剤が企業秘密なのは添加剤によってプラスチック樹脂類の出来不出来(伸び具合、透明度等)が決まってしまうからです。
☆化学物質=危険というのは過剰反応です。
☆ただ逆に添加剤が安全という厚生省の判断も疑ってかかる必要がある。
☆「触媒」は樹脂の製造の鍵といえる部分。添加剤はできあがった樹脂の性質を調整する。添加剤によって樹脂の性質を決定するのでリサイクル樹脂はバージン樹脂と比べ、添加剤がごちゃごちゃになっている分だけ、クズ樹脂と言える。
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以下本文です。
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こんにちは、壷阪さん。僕にわかることがいくつかありますのでお伝えいたします。

私は以前樹脂製造メーカーで事務屋をしておりました。技術的なこと、詳しいことはわかりませんが、そのときに見知った事です。いくつか間違いがあるかも知れませんが、知っている限りのことをお伝えいたします。

1.添加剤の有無 間違い無くあるはずです。私はPEやPPしか知りませんが添加剤の種類、量でできあがった樹脂の性質を決定しています。どのようなものが入っているか全てのものはわかりません。ただし、PETボトルに使用する樹脂という事であれば、求められる性質は同じなので同じメーカーのPETボトル用PET樹脂であれば、同じ添加剤が使われていると思います。

 一方、樹脂というものは製造する設備によって、微妙に性質が違います。その性質の違いを添加剤で吸収したりするので、違うメーカーのPET樹脂、または同じメーカーであっても違うプラントで作られたPET樹脂はそれぞれ、含まれている添加剤の量や種類に違いがあるかと思います。

2.添加剤は安全か? 少なくとも、食品用の樹脂に使われる添加剤については、食品衛生法に従い、かなり厳しい行政のチェックが入っていました。また、樹脂を利用している製品メーカーなどはPL法のこともあり、非常に神経質に安全性について確認してきていました。現在のように環境ホルモンの問題が公になる前段階の話ですので、当時はたとえば「毒性」や「発ガン性」といったチェックが主だったと思います。環境ホルモン系のチェック項目が追加されているのかどうかは知りません。

  ひとつ面白い話があります。イギリスで狂牛病が流行し、その原因のプルオンと呼ばれるタンパク質がアルツハイマーの原因ではないかと言われたときのことです。ポリエチレンと呼ばれる樹脂には、一般的にステアリン酸カリウムという添加剤が使われていますが、これは牛の背油から抽出されたものでした。その際、当然のごとく樹脂利用メーカーや行政サイドから、多くの問い合わせがあり、該当する部署ではてんてこ舞いになって、使用しているステアリン酸カリの原料となった牛の生産地などを調べ、安全性についてひとつひとつ回答していました。

3.何故添加剤は公表されないのか? 詳しい事情は知りません。推測という事で御理解ください。 先ほど、ステアリン酸カリウムが使用されているということを言いましたが、これは企業秘密です。ステアリン酸くらいまでくると、どこでも使っているものなので公然の秘密ですが、中には本当に他社に知られてはならない添加剤もあります。

プラスチック、あるいはポリエチレンと一言で表現しても、さまざまな種類があります。同じポリエチレンであっても、配合剤の入れ具合によって、たとえば滑り具合が良いもの悪いもの、伸び具合が良いもの硬いもの、透明度が高いもの白濁したものといった、様々な特徴を持たせることができます。相反する性質を兼ね備えさせることもできるかも知れません。ポリエチレンのような安い樹脂に少量の添加剤を混ぜることで以前はもっと高級な樹脂でなければできなかったものがポリエチレンで作れるようになったり、またより軽量化できたり、そういったことで製品の製造原価を下げようと試みます。製品メーカーが製品をよりやすく作るために、化学メーカーは色々と添加剤を工夫して売り込みます。そして添加剤の出来不出来で製品の採用が決まってしまうわけです。

  一方、厚生省の方は、こういったものに使われる添加剤について、詳しい情報を手に入れないと安全性のチェックができません。メーカーと守秘に関するなんらかの取り決めをしているのではないでしょうか。そこで、「恐らく」ですが、「アンケート調査」という形をとってメーカーに公表の意思表示を求めたのではないでしょうか。

  これは、ほとんど揚げ足取りになりかねない要望なのですが、お願いしたいことがあります。それは、「化学物質」という言葉の遣い方です。

  先ほどらい、添加剤で使用していると書いたステアリン酸カリウムは、牛の背油からとられた天然由来の化学物質です。もちろんサリンも化学物質です。「化学物質は危ない」という暗黙の前提があるように僕には感じられますが、食塩や味の素も含めて全ての化学物質が危ないと言われているとは到底思えません。僕は「危ない化学物質もあれば、安全であったり有益な化学物質もある」と思います。

 これは、あきらかに「わかりやすさ」と「怖さを強調」したいマスコミ等のメディアが、こういった言葉遣いを「敢えて」することに原因があると思います。役所の配布する文章には、このような曖昧な言葉は使用されていないと思います。

同じようなものの例をひとつあげさせていただきます。ひところ「電磁波は危ない」という事が言われていました。電子レンジで使用している1.5GHz帯の電磁波は、間違い無く人体にとって危険でしょう。X線やγ線のような俗に放射線と呼ばれる電磁波も危険です。紫外線は量が多すぎると皮膚ガンの危険があるといわれています。しかしながら、僕には遠赤外線や可視光線(光)と呼ばれる電磁波が危険だとはとても思えません。

 前提条件を無しでジュッパヒトカラゲ的な表現をすると、「地球にやさしい」「電磁波カット」「天然由来成分配合」といった、怪しげな宣伝コピーにだまされてしまう結果になると思います。僕は壷阪さんとお話をする機会に恵まれ、壷阪さんがそのような方ではないと確信していますが、聞く側の思慮がそこまで及んでいない事も多いように思います。

  たとえば、
「プラスチックを固めた固形燃料が、どこで燃やしてもダイオキシン等が出ないなんてことはありえないと思いますが。プラスチックをそのまま燃やすのとどこが違うのでしょうか?」

同じ事を、僕はこのように考えます。

塩素を使用したプラスチックでダイオキシンが出るなら、塩分を多量に含む生ごみを燃やしてダイオキシンが出ないなんて事はありえないと思いますが、塩化ビニルをそのまま燃やすこととどこが違うのでしょうか?

注)僕は、塩化ビニルを燃やすと塩素ガスが出るという理由で、塩化ビニルは嫌いです。ダイオキシン騒動の結果とはいえ、塩化ビニルが無くなるを結構歓迎しています。

「固形燃料をつくる過程でも、プラスチックを圧縮する時に添加剤等の化学物質が空気中に出ているのではと気になります。(東京 Hさん)」

文句無しに出てくるでしょうが、混ぜられている添加剤の安全性については、厚生省がチェックをしているということだと思います。ただし、その本当の安全性については、誰も保証はできません。「厚生省のチェック項目が今までのものでは不十分ではないか?」というのが、環境ホルモン問題の核心だと思っています。

添加剤を公表してしまうと、メーカー間の競争に影響を与えてしまいます。そこで厚生省は、チェック項目については公表しても、個々の添加剤の名前などは公表できません。メーカーにしても、厚生省が認めることについて、余計な論評をすることは厚生省ににらまれる可能性もありやりたいことではありません。特にサラリーマンの立場では。この辺にひとつの問題があるように僕には思えます。添加剤の種類よりも、厚生省のチェック項目が本当に正しいのか、十分なのか、そこに問題の核心があるのではないかと僕は思います。

そして、「なかなかはっきりしたことを言わない」、あるいは「臭いものにはふたをしたい」態度を示すメーカーもありますが、これは「担当する人の人間性の弱さ」が原因だと思います。

こういった問題を、対話や相互理解で、北風ではなく太陽になって、解決していく方が良いのではないかと思っています。

P.S.なお、僕は大坂氏という方は存じ上げませんが、提灯科学者の類はどこに行ってもいますので、変なことを言う方は信用しないほうがよろしいのではないかと思います。

添加剤を変えることは頻繁にありますが、触媒を変えることは滅多にありません。触媒は樹脂の製造の鍵といえる部分です。添加剤はできあがった樹脂の性質を調整する事だと考えれば良いと思います。女性にたとえると、添加剤の変更は「ファンデーションや口紅を変えてみました」程度の話で、触媒の変更は「美容整形」くらいの話です。今使用している触媒より良い触媒を見つけることができたら、それだけで樹脂メーカーは蔵が立ちます。

P.S.2異なる樹脂を混ぜ合わせてリサイクルした場合、添加剤の配合具合が混ぜた結果どうなるのか想像できません。そういったリサイクル樹脂は、一般的にバージン樹脂に対してある性質を狙って出すための添加剤を混ぜただけの樹脂の性質には遠く及びません。つまり、リサイクルでできた樹脂はクズ樹脂という事です。できあがった製品の品質よりも安さを追求するような用途でしか使えないので、需要に限界が生じると思います。
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以上です。皆様のご意見ご感想引き続きお待ちしています。
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「ゴミゼロプラン静岡」市民ネットワーク
壷阪道也
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